与党がKPK包囲網 テジョ調整相「口撃」に非難 警察長官人事

 ブディ・グナワン次期国家警察長官をめぐり、連立与党はブディ氏の汚職容疑を公表した汚職撲滅委員会(KPK)への攻勢を強めている。闘争民主党(PDIP)だけでなく、他党の有力者や筆頭閣僚もKPK批判を公然と展開し、包囲網を狭めている。28日に政権発足100日を迎えるジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、警察を擁護する政党とKPKを支持する世論の間で難しいかじ取りを迫られている。

 PDIPのメガワティ党首が大統領時代、警護官を務めたブディ容疑者は、党派を越えて幅広い人脈を持つとされる。国会は15日、KPKが容疑を公表した直後であるにもかかわらず、民主党を除く9会派が人事案を承認した。
 ナスデム党のスルヤ・パロ党首は「就任は早い方がいい」と明言。カラ副大統領も「犯行で生じた損失額を示すべきだ」とKPKに注文を付けた。メガワティ氏側近のヘンドロプリヨノ元国家情報庁(BIN)長官も「最も賢明な方法は速やかにブディ氏を就任させ、政治決着を図ることだ」としびれを切らす。
 週刊誌テンポは、ブディ容疑者には国防研究所(レムハナス)時代の同期で親しいゴルカル党幹部がいるほか、ユドヨノ前政権当時から法案審議などで国会と良好な関係を築いてきたことを指摘。さらにゴルカル党のバクリー党首が警察長官人事の承認と引き替えに、東ジャワ州シドアルジョの泥噴出事故の補償金を政府に肩代わりさせたと報じている。
■「支持者を煽動」
 KPK副委員長が相次いで告訴され、警察とKPKの対立が緊迫化する中、今度はテジョ政治・法務・治安調整相がKPK批判を展開。「支持者をあおり、動員するKPKは子どもじみている」「支持者は(どこの誰か)不明瞭な国民だ」などと矛先を向けた。
 テジョ氏はナスデム党幹部で元海軍参謀長。ウィラント元国軍司令官(ハヌラ党)もテジョ氏擁護の発言をするなど、連立与党はKPKへの包囲網を狭めている。これに対し、27日には市民団体がテジョ氏を中傷容疑で告訴するなど、筆頭閣僚の「口撃」は波紋を広げている。
 閣内の問題に発展したのを受け、カラ副大統領は27日、「ジョコウィ大統領はテジョ氏に対し、(記者団に)話すときは気を付け、不適切な表現は使わないようにと注意した。私もテジョ氏に忠告した」と事態収拾に乗り出した。
■ジョコウィ氏の抵抗
 一方、KPKは国家警察に一時拘束されたバンバン・ウィジョヤント副委員長の辞表を受理せず、ブディ容疑者の汚職捜査を断行する姿勢を示している。KPK支持運動が広がりを見せる中、ジョコウィ大統領が設置した識者による独立調査委員会は「与党のKPK包囲網に対するジョコウィ氏の抵抗」(政治評論家ヘリ・ブディアント氏)との見方も出ている。(道下健弘)

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