アプリで被災経験共有 「災害を風化させない」 バンダアチェ (2014年12月26日)

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 スマートフォン(スマホ)のアプリを使い、津波からの復興を記録する取り組みが始まっている。京都大地域研究統合情報センター(CIAS)などは気軽に被災当時と現在の写真を撮影・比較し共有できるアプリを24日に一般公開。CIASの西芳実准教授は「被災の経験を国境を越えて共有する時代。その取り組みの一助になれば」と話している。

■京大と地元大が開発 
 CIASや国立シャークアラ大学津波防災研究センター(TDMRC)などが共同開発したのは「アチェ津波被災地メモハン」などアンドロイド版の三つのアプリ。「メモハン」はあらかじめアプリ内に登録された被災地の当時の写真を見本とし、アプリ使用者が同じ構図で現在の写真を撮影・共有していく。
 日本語とインドネシア語双方に対応しており、CIASの山本博之准教授は「写真を通して、災害を通した日イの交流が広がることを期待する」と話す。
 できるだけ元の写真と近い構図で撮ったり、同じ構図に人や物を入れてオリジナリティを競うことで楽しみながら記録を共有し、災害を風化させずに街の変化を記録していくことを狙う。
 他にも、自分がいる場所や、向いている方向にある被災地の景観の変化が分かるアプリ「アチェ津波モバイル博物館」も24日に公開。26日には「グーグルアース」を使い、被災者の証言や各地の津波の高さを一覧できる「アチェ津波アーカイブ」も公開する。
 今後は同じアプリ内で阪神淡路大震災や東日本大震災の被災地の写真も共有できるようにしていく。
 24日、バンダアチェ市で開かれたアプリの公開式典にはイリザ・サアドゥディン・ジャマル市長が出席。「アプリを通して、世界の人が復興の様子を知り、アチェが被災と復興を学ぶ中心地になることを期待する」と話した。
■災害発生にも対応
 TDMRCのナサルディンさんらが開発したアプリは、使用者が電話番号を登録することで
(1)位置情報(2)写真(3)その他の被災状況をアプリに送信し、共有することができる。集まった情報はウェブサイトでも閲覧できるようにする。
 ナサルディンさんは「津波のように広範囲にわたる災害が起きた時、全体の状況を把握する助けになる」と意義を語る。各地の被害の程度がわかれば、行政や支援団体が素早く優先順位を付けて救援に動くことが期待できるという。
 ナサルディンさんが開発したアプリのアンドロイド版も来年に公開することを目指す。  

■きょう津波10年 谷崎大使が式典出席へ
 26日、インド洋沿岸の12カ国で22万人以上が死亡、行方不明になったスマトラ沖地震・津波から10年を迎えた。7万人以上が亡くなったアチェ州都バンダアチェ市ではカラ副大統領が出席する式典が開かれる。
 式典には各国の代表者や復興に協力した非政府組織(NGO)などが参加。日本からは谷崎泰明駐インドネシア大使のほか、バンダアチェと災害対策などで協力を深めてきた宮城県東松島市の代表者が出席する。(堀之内健史、写真も)

アプリの公開式典に出席した(左から)CIASの原正一郎センター長、イリザ・サアドゥディン・ジャマル市長、TDMRCのハイルル・ムナディ・センター長
アプリの公開式典に出席した(左から)CIASの原正一郎センター長、イリザ・サアドゥディン・ジャマル市長、TDMRCのハイルル・ムナディ・センター長

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