「ルピア危機回避」 外貨準備高 1998年→144億ドル 2014年→1111億ドル 政府 経済指標の改善を強調

 ルピアは今月、16年ぶりの安値を付けたが、政府や中銀はアジア通貨危機時のような事態にはならないと強調している。当時と比べると経済指標は改善。一概に比較はできないが、外貨準備高やインフレ率を見ると、一定の説得力はありそうだ。 

 16日に付けた中銀発表レートは1ドル1万2900ルピア。1998年には1ドル1万7千ルピアにまで下落した。
 一番の違いは外貨準備高。1998年は3月時点で144億4千万ドルだったが、今年11月末時点では1111億4千万ドルと1桁多い。外貨準備高は自国通貨が売られたときに買い支える余力の指標。少なければ通貨危機時のように「通貨を支える力が無い」と見なされ、売りが売りを呼ぶことにもなる。インドネシアは通貨危機時の教訓を生かして、積み増していた。一般的に輸入額の3カ月分が適正とされるが、11月末時点で6.6カ月分で十分な水準とされている。
 インフレ率は98年、前年比58%に達しスハルト大統領が退陣に追い込まれる主因になった。今年は7〜8%とみられ、今のところは抑制できているとみられている。中銀債券(SBI)利回りも当時は70.8%。現在は7%以下だ。
 一方で米国の利上げや原油安など当時と状況が似ている部分もある。バンバン財務相は地元メディアに、必要ならば政府債を市場から買い戻す用意があると発言。中銀幹部も必要なら為替介入を続けると話しており、ルピア防衛の姿勢を強調している。
 ジョコウィ大統領は17日、「日本やマレーシア、ロシアと比べればより良い水準だ」とドルに対する通貨下落は世界で起きているとして楽観視した。さらに「ルピア安のアドバンテージを生かすために輸出を促進しなければらなない」と述べ、輸出製品にインセンティブを付与する考えを明らかにした。(堀之内健史)

◇ アジア通貨危機 1997年にタイから始まったアジア各国の急激な通貨下落。ルピアは1997年の1ドル2400ルピアから1万7千ルピアにまで下落した。インドネシアは国際通貨基金(IMF)による緊縮財政策を受け入れ、補助金付き燃料を大幅に引き上げたことなどで暴動が起き、スハルト大統領が退陣に追い込まれた。

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