財政・経常赤字縮小へ 原油安が追い風 ガソリン、航空燃料値下げ

 国際原油価格がこの半年で4割以上下落し、石油の純輸入国であるインドネシア経済にとっては財政赤字や経常赤字が縮小するほか、ガソリンや燃油サーチャージも値下がりするなど追い風になっている。一方採算の悪化から、石油ガス関連投資は減少しそうだ。

 原油価格の国際的な指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は15日、5年7カぶりに1バレル55ドル台まで下落した。
 中銀は原油価格が1ドル下がるごとに経常赤字が1億7千万ドル(約200億円)縮小すると見積もる。
昨年1〜10月の原油の輸入額は約86億ドルだったが、今年同期では約80億ドルで済んでいる。
 UBS銀行のエコノミスト、エドワード氏は地元紙に対し、原油価格の下落で今年の経常赤字は国内総生産(GDP)比2.6%に、来年は同1.9%に縮小すると予想。下落がインフレ率を抑制し、来年には政策金利引き下げにつながる可能性も指摘した。
 下落は政府財政の燃料補助金の負担減にもなる。燃料補助金価格は固定されているので、原油価格が上がれば政府の補助金負担が増え、下がれば減る。原油価格の急落はルピアの値下がりの影響を打ち消して補助金を減らすとみられる。現在のルピアレートと原油価格だと政府の利益になっているとの試算もある。
 原油価格下落を受け、国営石油ガスのプルタミナは補助金無しの高級ガソリン・プルタマックスの首都圏外での販売価格を15日から1リットルあたり300ルピア値下げした。同販売価格は地域によって異なり、14日時点でのジョクジャカルタ特別州や東ジャワ州スラバヤでは1リットル1万300ルピアで販売。11月の燃料値上げから続く、補助金付き燃料から質の高い補助金無し燃料への移行が加速するとみられる。

■航空券5000円値下げ
 観光業界には追い風になりそうだ。日本航空(JAL)は9日、10月と11月の燃料価格の下落を受け、来年2、3月分の燃油サーチャージを引き下げると発表。日本〜インドネシア便は1万3500円から8500円となり5千円の値下げとなる。全日本空輸(ANA)も来年2、3月分、同程度、値下げするとみられる。

■関連投資は20%減
 石油関連業界へは逆風となる。インドネシア石油協会(IPA)は来年の石油ガス上流部門への投資は前年比20%減の256億ドルになると見積もる。
 IPA幹部は「原油国際価格の下落で延期される大型事業が多い」と話した。(堀之内健史)

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