津波10年で追悼行事 バンダアチェ市長が訪日 25日からアチェで
アチェ州周辺だけで約17万人の犠牲者を出した2004年のスマトラ島沖地震と津波から今年12月24日で10年がたつ。多くの被害を受けた州都バンダアチェ市を中心にさまざまな追悼行事が25日から4日間の予定で行われる。日本政府主催で災害に強いまち作りを目指す国際会議に出席するため、日本を訪れたバンダアチェ市のイリザ・サアドゥディン・ジャマル市長が7日、東京で明らかにした。
アチェ州の記念行事は25日、イスラム指導者による開会式で始まる。中心行事は12月26日に行われる「津波10年記念式典」で、インドネシア政府の主要関係者、復興支援に駆けつけた各国から駐インドネシア大使らが出席する。
26日から28日までバンダアチェ市内の津波博物館などで「復興と災害の危険」をテーマにした創造芸術や写真展が開催される。また26日と27日夜には復興支援で協力してくれた世界への感謝として、アチェの芸術家らによるショーが行われる。
28日には津波10キロ・マラソンがバンダアチェ市内で開催される。市民の希望と災害の精神的束縛からの解放のシンボルとして計画。参加ランナーは市内で津波被害のあった地域を走り抜ける。被害地域を走ることで市内の津波からの復興、再生ぶりが理解できるよう考えてある。
一方、バンダアチェ市では国の慰霊行事に先だって津波の被害者を慰霊する市民の追悼集会や各種追悼行事を開催する。
18日には「水に関する講演会」を開催する。同市はかねて「水の伝道師」として国際的に知られている江本勝氏を講師に招く計画を立てていたが、同氏が10月に逝去したため、江本氏の代理の根本泰行氏が講演することになった。
イリザ市長は6日に宮城県東松島市で開かれた未来都市セミナーで「復旧ではなく復興を考えたい」と語り、津波の被害をきっかけにバンダアチェ市の将来に向けて新しい発想で都市作りに取り組む姿勢を示した。
アチェ州関係者は「復興ぶりを見てほしい」と外国からの参加を期待しているものの、宿泊施設などは十分でないとして、復興セミナーを開く非政府組織(NGO)や民間ボランティア団体に計画を事前報告するよう求めている。(斉藤麻侑子)