首都圏で雨期入り 気象庁 竜巻・洪水に警戒
気象気候地球物理庁(BMKG)のアンディ・エカ・サクヤ局長はこのほど、首都圏(ジャボデタベック)周辺で雨期入りしたと明らかにした。現在乾期から雨期の変わり目で天候が変わりやすくなっており、豪雨や突風などに注意を呼びかけている。
雨期への変わり目は突風や竜巻が発生する可能性が高く、特に昼から夕方にかけて警戒する必要がある。アンディ局長は衛星画像などからインドネシア北部では雨期の影響で豪雨や突風が発生しており、首都圏でも気温が下がり、降雨もあることから雨期入りを確認したと説明した。
突風や竜巻は(1)前日の夜が蒸し暑い(2)午前中は快晴(3)急に冷たい風が吹く(4)ひょうが降る―などの経過をたどるため、建物内への避難を呼びかけている。
同局長は12月から降雨量が増加し、ピークを迎える1〜2月中旬より早い時期に洪水が発生すると予想している。さらに首都圏ではコンクリート構造の建物や道路が増え、雨水を吸収できる土地は2割程度だという。8割が貯水池や河川に流れ込み増水し、洪水の原因となる。早急に排水設備や河川の整備を進めるよう要請した。
同庁の過去30年のデータによると、ジャカルタでは年間の降雨日数が減少しているにもかかわらず、1日当たりの平均降水量が50ミリ以上増加している。都市化によるヒートアイランド現象などでゲリラ豪雨が増えていることが原因とみられる。
またアンディ局長は、西ジャワ州などに集まる日系企業に対しても洪水への警戒を呼びかけ、「先端技術を持つ日系企業とインドネシア政府が協力して洪水などの災害対策をしていきたい」と話している。
■600地区は浸水
19日に就任したアホック知事は州内で洪水になりやすい地区は約600と明らかにし、被害軽減に向けて河川の整備や道路工事を急いでいるとコメントした。各地域の排水設備や住宅を調べた上で、洪水の危険地域に排水ポンプなどを設置するという。
国軍や警察は洪水に備えて計1万4500人を配備し、救援チームの体制を整える。ボートやラジオ、懐中電灯などの備品を約20カ所の消防署に設置している。
西ジャワ州バンドンでは19日夜から20日にかけ降雨があり、同州ボゴールからジャカルタを蛇行するチリウン川の水位が3.6メートルに達した地域もある。一部地域では家屋が70センチ浸水し、300人以上が避難している。チリウン川沿いの東ジャカルタ・カンプンプロやカンプンムラユにも浸水被害が出ている。(西村百合恵)