インフラ事業を再検討 スンダ海峡大橋を凍結 港湾・食糧自給を優先 

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)新政権は、前政権が建設を目指していたスンダ海峡大橋計画を凍結する方針を固めた。海運網のための港湾整備や、食糧自給達成のための土地整備など、公約実現のための事業を優先する。政府はインフラ政策全体を再検討しており、さらに見直される事業も出そうだ。 

 ジョコウィ大統領は4日、海外の投資家グループと会談、「政府予算だけでは十分ではないが、高速道路や港湾、発電所、ジャワ島外の鉄道など物流部門は遅れるほどコストが高くなってしまう」と述べ、物流の改善に優先的に取り組むため、民間の投資を求めた。
 バスキ公共事業・国民住宅相は3日、地元メディアに2025年までの包括的な開発計画「経済成長促進拡大マスタープラン(MP3EI)」を再検討し、優先順位を変更すると述べた。ジョコウィ氏が掲げる「海洋国家」構想では開発が遅れている東部地域を含む海上物流を向上させ、地方への投資を促す。これにそぐわないものは見直し、優先事業へ予算を振り分ける。凍結になったスンダ海峡大橋計画は1960年代に浮上。ジャワ島とスマトラ島を全長29キロの橋で繋ぐもので、建設費165億ドル(約1兆9千億円)の超巨大プロジェクトだ。2011年には経産省や日揮などが円借款案件として調査したこともある。ユドヨノ政権下での着工を目指していたが、事業費の官民の負担割合も決まっておらず停滞していた。
 アンドリノフ国家開発計画相は凍結理由について「海洋国家としての発展に沿わない」と説明。スンダ海峡大橋は両島間の物流能力の大幅向上が期待されていたが、往来する船を増やし、港のサービス向上などで補うとした。
 カリマンタン島の石炭鉄道計画も「利益が一般人ではなく、ビジネスマンにしかいかない」として凍結する見込みという。

■ジャワ島外で工業団地
 投資を呼び込む工業団地はジャワ島外での開発を急ぐ。サレ工業相は3日、3年でジャワ島外に13カ所、ジャワ島に2カ所の計15工業団地を整備する計画を明らかにした。カリマンタン島やスラウェシ島、スマトラ島のほか、パプアやマルクも含まれており、開発が遅れている地域への投資を促進する。ジャワ島外は原料に近い上流製品、ジャワ島は工業製品などの下流製品の生産を想定する。
 食糧自給達成のためのインフラ開発では、かんがいやダム、貯水池整備に公共事業・国民住宅省の2015年予算81兆ルピアの25%、約20兆ルピアを充てる。(堀之内健史)

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