友好、ダイナミックに進展 市民レベルの交流に意義 鹿取大使インタビュー

 鹿取克章・駐インドネシア大使は、3年4か月の任期を終え、来週帰国する。勤務はユドヨノ政権の後半で、両国の交流が劇的に拡大した次期に重なった。鹿取氏は振り返って「ダイナミックな3年」と評し、「交流が市民レベルに広がった」と意義を語った。      

■経済のパイプ急拡大
▽日イ関係は画期的な進展を見せたが、全体の感想を。
 鹿取大使「幸いだったのは、両国関係が順調に拡大、発展した時期にここで仕事ができたこと。日本からの直接投資は、2010年の7億ドルから13年には47億ドルになった。文字通りぐんぐん伸びた。進出企業も10年の1005社が今年5月で1763社になった。在留邦人も毎年約2千人ずつ増えている。本当にダイナミックな3年だった」
▽市民レベルの交流も拡大したが。
 「ジャカルタ日本祭りは毎年盛大に催されて、特に昨年は外交関係樹立55周年に花を添えた。大相撲は初めて東南アジア公演が実現した。12年からはじまった両国の大学の学長会議も名古屋、ガジャマダ大で開き、来年は北海道を予定している。文化、教育の面でも関係が広く深くなってきたと思う」
▽衣食住の生活関連企業の進出も多くなった。
 「進出企業が自動車や電気製品中心から、市民の衣食住レベルに幅が広がっていることはすばらしいことだと思う。街中に日本のコンビニが増えているし、ユニクロが進出し、イオンも来るという。牛丼やラーメン店はもちろん、お菓子メーカーなど食品産業も事業を拡大して国民の食生活に浸透しつつある。保険も来ている。ジャカルタ市民にも親しまれて、市民生活が多様で豊かになることに寄与していると思う。共存共栄というか、今後も両者にメリットがあるいい関係に育ってほしい」
▽一方で、観光など課題もある。
 「インドネシアから日本への観光客は昨年約14万人。毎年伸びているが、まだまだだ。地方で山梨、愛媛、岐阜、岡山などは、ジャカルタで観光のPRや名産展を開いたり、メディア関係者を招待したりと熱心だ。こういう動きが各地に広がればと思う。ビザ免除になれば、勢いが出るのではないか」
▽留学生はどうか。
 「インドネシアから日本への留学生は13年5月で2410人。日本で学んでいる留学生全体の1.8%、各国別でも6位だ。一方、インドネシアで日本語を勉強している若者は87万人。中国に次いで世界2位だ。日本への関心はとても高いのだから、留学生をもっと増やせると思う」

■民主主義が定着
▽ユドヨノ政権10年は汚職の撲滅やインフラなど、やり残した課題もあるが、実績も多い。どう評価するか。
 「まず治安の改善。大きなテロ事件がなくなってアチェも解決した。次に着実な経済成長。リーマンショック後の落ち込みはあったが、基本的に6%前後の成長を維持した。外交は日イ関係を強化し、アセアン統合で存在感を示した。バリ民主主義フォーラムの立ち上げなどの実績もある。民主主義の定着に成果を上げたと思っている」
▽ジョコウィ氏の印象は。
 「何度もお会いしたが、紳士です。礼儀正しいし相手への配慮もある。尊敬できる人です。早い時期に訪日していただきたい」
▽国内各地を回った感想を。
 「各地でダイビングをしたが、海が美しくて、本当に感動した。ダイビング天国のパプアのラジャアンパッド、アチェ州のサバン、カリマンタンやフローレンス、バリのムンジャガンは温泉も出る。ロンボクもすばらしい。これからも大切にしてもらいたい」
▽日本人は極端にいえばバリしか知らない。
 「もったいない。日本人にはもっとインドネシアに関心を持ってもらいたい。帰国してもツイッターなどを使って、インドネシアのすばらしさを発信していきたい」(聞き手、臼井研一、写真も)

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