第2幕 ジョコウィ氏対政党 抑えつけか、権力残存か 各政党すり寄る

 憲法裁審査が終わり、ジョコウィ新政権が政界のテーマになった。連立政権になんとか食い込みたい政党と、利権の絡む政党の影響力を抑えたいジョコウィ次期大統領の駆け引きが第2幕に突入した。法廷でプラボウォ氏の挑戦を退けたばかりだが、いばらの道が待ち受けている。                               
 新政権発足にはハードルがある。▽現状37%の国会議席を過半まで増やす▽政権移譲を滑らかに終える▽政党に渡す大臣ポストを最小限にする―。これを乗り越えるには政党との調整が必要になる。
 ジョコウィ氏の「専門家内閣」構想には連合政党の不満がある。「(実績、経験のない)政党党首ではなく(実績、経験のある)専門家」とうたうからだ。足下の闘争民主党(PDIP)からも「新政権は議員や政党幹部とのシナジーに基づくべきだ」(22日、プアン氏)と圧力がかかる。
 議会多数派をつくるため、ゴルカル党か、ゴルカル党以外の2党以上が新たに加わる見通し。政党は大臣ポストがほしいが、大統領選ではジョコウィ氏がポストを確約せず、議席63%分の5党が確約するプラボウォ氏の支持に回った経緯がある。そのプラボウォ支持政党はいま、党首交替で親ジョコウィに衣替えをするさなか。
 現在の鍵は政権移譲という交渉材料を持つユドヨノ大統領(民主党党首)だ。近くジョコウィ氏と会談する。ジョコウィ氏は22日、「2015年国家予算案での調整とユドヨノ政権時に省庁で起きた問題」について話し合いたいとした。
 民主党は大統領選で両陣営に肩入れした。ジョコウィ氏の当選ムードとともに協力姿勢を強めている。政権移譲を材料に新政権と良好な関係の構築、あわよくば新政権入りを目指しているとの見方が広がった。
 これに対しユドヨノ氏は22日、ツイッターで反論。「今日はネガティブなメッセージを受け取った。私はある人々の間でそれが回っていることを知っている。それは『ユドヨノと民主党がジョコウィの邪魔をするな』というものだ」。部下のアミル党紀委員長も「新政権では野党でもいい」と付け足した。
 だが、民主党内には汚職事件の容疑者、あるいは関与が取り沙汰される幹部がいる。汚職撲滅委員会(KPK)が立件した大型汚職事件の公判で、ユドヨノ次男のイバス幹事長も現金20万ドルを受け取ったとの証言が出た。次の政権の態度が、汚職捜査に影響する可能性はある。
 パートナーのカラ次期副大統領もゴルカル党との磁力を生み出している。カラ氏も政党とポストを分け合うのが妥当とみている。ゴルカル党はスハルト時代から現政権に至るまで常に大臣ポストを握る万年与党だ。
 ジョコウィ氏は政党がほしがる大臣ポストを36から27まで削減する考え。加えて、専門家で占められると政党はたまらない。ジョコウィ氏とすれば、選挙戦終盤に公表された、直属の選対から出た700ページを超える政策提言書「自立した国家への道」を実現するには政党との妥協を最低限にしたい。大臣職のネット公募などで密室での取引をけん制している。
 政党の力を抑制する議論はイ知識人の多くが一致するところだ。ユドヨノ政権終盤の汚職追及で大臣ポストが政党汚職の具だと明らかになった。将来的には、大統領選法が定める、得票20%あるいは議席25%の出馬要件を改正する必要がある。大統領は出馬時点から政党の影響力に絡め取られるからだ。(吉田拓史)

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