「新幹線」調査開始 首都〜バンドン間が37分 設定運賃は 20万ルピア

 ジャワ島のジャカルタ〜スラバヤ間(全長約730キロ)の高速鉄道敷設事業のうち、第1期整備区間のジャカルタ〜バンドン間(全長約140キロ)の実現可能性調査が始動した。特急で3時間、車で3時間以上の所要時間を37分まで縮める計画だ。   
 同事業ではジャカルタから西ジャワ州バンドンを経由し、チルボン、スマランを通り東ジャワ州スラバヤを結ぶ。敷設費用の試算額は250兆ルピア(約2兆円)。経済産業省などが09年から調査分野で支援していた。
 インドネシア側からは国家開発計画庁(バペナス)、経済担当調整相事務所、日本側は国際協力機構(JICA)を中心とした調査班が参加する。需要予測や建設計画を立案し敷設開始に向けた準備を進める。
 JICAは昨年12月、ジャカルタ〜バンドン間の「ジャワ高速鉄道開発事業準備調査(フェーズ1)」で建設コンサルタントの日本コンサルタンツなど5社と委託契約を結んだ。調査は2015年3月までに終了する予定。受注額は約2億6千万円。
 バペナスの発表によると、同区間の始発・終点となる駅はジャカルタは中央ジャカルタのドゥクン・アタス、バンドンはカワサン・グデバゲで、ブカシやカラワンを通る計画だ。建設費用は53兆ルピア(約5千億円)で、建設期間は約6年を見込む。
 これまでジャカルタ〜バンドン間を結ぶ鉄道は特急パラヒャンガン号があり、所要時間は約3時間。2005年には高速道路が開通し、首都から車で日帰りできるようになったが、週末にはジャカルタ市民が殺到し、バンドン市内などの渋滞が深刻化、3時間以上かかることも多い。
 運賃は1人20万ルピア(約1670円)に設定、低コストでの導入を目指す。
 高速鉄道開通への期待は大きい。バンドン在住の在留邦人(会社経営者)は「頻繁に利用することになりそうだ。ただ、安全面での不安も感じる」と話した。
 敷設について、バペナスのデディ・プリアトナ担当次官は日本企業だけでなく、インドネシアの国営企業や民間企業の参加を後押しする方針を示した。敷設費が政府予算だけでは足りず、民間の資金を活用する。「運賃を安くするには国の支援で敷設費を抑える必要がある。工事は国営企業連合か官民のコンソーシアムで実施する」と説明した。
 日本政府は20年のインフラ輸出額目標を約30兆円に設定し、東南アジアでの受注増加を狙う。インドネシアでは韓国や中国がインフラ受注で存在感を増す中、日本も攻勢を仕掛ける。昨年建設が開始されたジャカルタのMRT(都市高速鉄道)事業に参入した。(小塩航大)

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