政党CM規制知らず 「テレビ局持ち」に有利 選挙資金肥大、汚職の温床も (2014年01月27日)

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 「テレビ局持ち政党」が支持率を上げている。コマーシャルをたくさん打てるのが強みだ。広告合戦が過熱すれば選挙資金がかさみ、潜在的な汚職の要因になり得る。だが、規制はうまくいかない。

▼番組の態をとり
 ―民放テレビ局RCTI、24日午後4時ごろ。
 河口付近にある典型的な低所得者の村落(カンプン)。徒歩で視察する大物政治家がいる。ウィラント元国軍指令官だ。背丈の大きい男性は住民と対話し要望を拾う。まるでジャカルタ特別州のジョコウィ知事のようだ。
 イスラム小学校。薄暗いあばら屋に、ジルバブを被った子どもたちがぎゅうぎゅう詰めだ。敬虔なムスリム女性2人が報酬をもらわずに教えている。感激したウィラント氏は支援を手渡した。村には公用トイレがなく困っている。個々の住居にはほぼ付いていない。ウィラント氏は公用トイレを供与する。VTRで供与前と供与後の様変わりした様子が映される。住民に担ぎ上げられるハヌラ党大統領候補に拍手喝采が注がれた。ここで約15分の番組が終わる。
×  ×
 RCTIを率いるハリー氏はハヌラ党に入り党の副大統領候補になった。以来民放3局がハヌラ党の広告を盛んに報じる。「一番きれいで一番選挙に弱い」国会第9党がにわかに活気づいた。有力紙コンパスの世論調査でハヌラ党は2012年12月の支持率0.5%から13年12月は6.6%まで伸ばす。ウィラント党首も支持率を4倍にし4位に入る。
 「テレビ持ち政党」に共通の現象だ。11年結党の新党、国民民主党(ナスデム)も同調査で大政党に次ぐ5位に食い込んでいる。メトロTV、新聞でスルヤ党首の顔を見ない日はないほどの攻勢。TVワンを保有するゴルカル党のバクリー党首もユドヨノ大統領の略称「SBY」を参考にした略称「ARB」の周知を急ぐ。政党支持率は首位をうかがう。

▼3兆の大半が広告
 「大統領候補は最高で3兆ルピア必要」。ゴルカル党政務調査部会長のインドラ・ピリアン氏は24日の政治セミナーで話した。「対面活動、支援者の報酬、政党の交通費・食費、社会団体の集会、内部世論調査、広告に使われる」。長期間にわたる資金投下は、総選挙委員会(KPU)に報告される3千億〜5千億ルピアを上回っているようだ。
 広告費が最も大きなパイ。東西5千キロを超える群島国家では、各地を巡業するよりテレビ広告の方が効果がある。コマーシャルは特に高い。総選挙期間はゴールデンタイムに惜しみなく投下される。これらの原資を得るため政党は議員候補に公式、非公式の寄付を募ることがある。議員になる費用がかさみ、就任後、汚職で回収するようになる。

▼止まる規制
 広告への規制は機能していない。「3月16日に紙・電子媒体での選挙広告を解禁する」。KPUが定める規則は有名無実化。各媒体で政党広告に類するものがあふれている。
 総選挙監視庁のダニエル理事は24日の記者会見で、2政党のテレビ広告での選挙違反について「国家警察刑事局に通報した」と話した。同庁には取り締まり機能がなく、通報後も起訴はほとんどない。
 さらにテレビの監視機関、国家放送委員会も規則に詳細を加え、規制強化する方針。ただ取り締まり機能はなく警告書の送付、大統領への報告程度しかできない。委員は国会の審査を受けている。(吉田拓史) 

民放テレビ局RCTIの歌番組「愛の奇跡」で「神にできぬことはない」を熱唱するウィラント元国軍司令官。オーナーのハリー氏夫妻が観客席で見守っている=動画サイト「ユーチューブ」から
民放テレビ局RCTIの歌番組「愛の奇跡」で「神にできぬことはない」を熱唱するウィラント元国軍司令官。オーナーのハリー氏夫妻が観客席で見守っている=動画サイト「ユーチューブ」から

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