トヨタが渋滞対策 マンパン交差点を改良 1500万円を日本政府と折半

 トヨタがトヨタ・アストラ財団を通じて実施した南ジャカルタ・マンパン交差点の改良計画の完成式が30日、同交差点であった。ジャカルタの渋滞が日に日に悪化し、好調な販売が続く自動車業界への風当たりも強くなる中、自動車メーカーの渋滞軽減への取り組みが一層求められそうだ。  
 改良計画は日本政府の草の根・人間の安全保障無償資金協力で769万円を供与。官民連携の枠組みで、インドネシアのトヨタ・グループや部品供給企業など23社がほぼ同額を拠出し、総予算約1500万円で約2カ月間かけて完成した。
 高架道下の交差点で、安全地帯や中央分離帯を増やしたり削ったりし、交差する車両の通行を妨げて渋滞の原因となっていたUターン地点を交差点から後退させ、左折車線の道路幅も2車線分を確保した。交通標識、信号機を移設、舗装や標識設置なども行い、より効率的な通行を図った。
 式典に出席した在インドネシア日本大使館の牛尾滋公使は「交通渋滞に万能薬はない。MRT(都市高速鉄道)ですべてが解決するわけではない。ジャカルタ特別州もそれを認識して、(渋滞対策に)予算計上している。現実的に問題を捉え、今日できることは小さなことからでもやり遂げる。これがトヨタをはじめとする日本企業のものづくり精神だ」とあいさつ。トヨタ・アストラ財団のジョニー・ダルマワン理事長(トヨタ・アストラ・モーター=TAM=社長)は「単純だが効果は非常に大きい」と述べた。
 マンパン交差点は国際協力機構(JICA)が目に見える即効性の高い渋滞緩和への取り組みとして、2011〜12年に実施した交差点の小規模改良調査の中で挙げた交差点の一つ。ジャカルタ特別州のスタント・スホド産業・運輸担当補佐官は「33カ所のうち、すでに州予算で3カ所が改良され、今回は残りの30カ所の一つ。州政府と民間が協力して実施したプロジェクトの好例だ」と話し、今後、一層の企業の協力に期待を示した。
 トヨタはこれまで、最適な交通を分析するプログラムを開発し、南ジャカルタのラスナ・サイド通りのUターン地点の効率化にも取り組んでいる。トヨタの現地製造法人トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)の野波雅裕社長は今回の交差点改良について、「まずは第一歩を踏み出してみようということで始めた。今後も州政府や日本大使館と協力していきたい」と述べた。(上野太郎、写真も)

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