「ハリウッドに対抗を」「愛を語るときに、語らないこと」 モーリー・スルヤ監督に聞く 東京国際映画祭で上映

 第26回東京国際映画祭(10月17〜25日)で、インドネシア映画「愛を語るときに、語らないこと」が上映された。ジャカルタの盲学校を舞台に、目や耳に障害を持つ少年少女の恋愛模様を描いた作品だ。インドネシア映画界期待の新鋭女性監督として、国内外から注目されるモーリー・スルヤ監督。映画祭に合わせて来日し「インドネシアに若い監督は多いが、発表の場は少ない。どうすればハリウッド大作に対抗できるか、考える必要がある」と語った。
 盲目の少女フィトリ(アユシタ・ヌグラハ)は20歳。聴覚障害のあるエド(ニコラス・サプトラ)に思いを寄せる。同級生で近視のディアナ(カリナ・サリム)は、事故で失明したアンディカ(アングン・プリアンボド)に恋をする。光と音のない世界を行き交う思い。平行移動を多様したカメラアングル、せりふの「間」で語る手法が印象に残る。
 「親戚に目の見えない女の子がいました。彼女が大人になり、(交流サイトの)フェイスブックを楽しんでいると聞き、この物語を思いつきました。インドネシアの民話に見えない、聞こえない、話せない3人が、食事の時に助け合う話があります。そんな仮想現実、たとえ話を語りたかったのです」
 1980年、ジャカルタ生まれ。幼い頃から本を読んだり、文章を書くのが好きだった。両親には「作家かジャーナリストになれば」と勧められていたという。豪メルボルンのスウィンバーン大学で英文学とメディア学を専攻し、修士号を取得。帰国後に映画の道へ入った。
 「メルボルンにインドネシア人留学生のコミュニティーがあり、そこで仲間と知り合い、映像の世界に興味を持つようになりました」
 インドネシア映画界を代表するガリン・ヌグロホ監督の娘、カミーラ・アンディニとともに、新鋭女性監督として期待されている。初の長編監督作「フィクシ(原題)」(08)も高く評価された。しかし、インドネシア映画市場はハリウッド映画全盛だ。
 「『愛を語るときに、語らないこと』は今春インドネシアで封切られましたが、14館のみの公開でした。観客は単純な娯楽作品を選ぶでしょう。私たちのような若い監督は多いけれど、発表できる場が少ない。どうすればハリウッド大作に対抗できるか、インドネシアの映画人も考える必要があります」
 2010年には新たな才能発掘を目指す映画祭「東京フィルメックス」の人材育成プログラムに参加。昨年2月には、国際交流基金の招聘事業で日本に1カ月滞在した。
 「日本の国民性に興味があります。外から日本人を眺めてみたい。日本の皆さんには、インドネシアを食べ物から見てほしい。町、島、地域ごとに異なる味は、インドネシアの多様性を表しています」(東京で阿部陽子=ライター)

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