【ジョコウィ州政1年】大都市整備に苦心 古都ソロの20倍規模

 任期2期途中まで計7年間、中部ジャワ州スラカルタ(ソロ)市長を務めたジョコウィ知事。「ソロもジャカルタも基本的にやるべきことは同じ。規模が違うだけ」と明言した通り、人口53万人のソロで実施した施策を首都でも次々に展開している。
 就任直後に着手した低所得者対象の保健と教育の無料化・支援制度は、ソロで成功した目玉施策。家具輸出業の実業家で、目立った政治活動はしていなかったジョコウィ市長が短期間で市民の支持を獲得した。首都でも同様の反響があったが、見切り発車で病院側から猛反発を受けた。
 「不法占拠者」や露天商の移転はソロのように時間も労力もかけられず、強制撤去も目立つ。ソロでは、露天商と50回以上も食事を共にして理解を得た上、移転当日は露天商を馬車に乗せて大パレード。各地に露天商が遍在する首都では、国鉄と協力して駅周辺整備なども進めるが、移転を拒否する露天商と衝突し、負傷者も絶えない。
 特定地域の露天商の代表との交渉にも苦心する。露天商収容のモデルケースはタナアバン市場に造られたが、二輪車部品などの露天商を収容し、市長自ら宣伝した移転先のソロのクリティカン市場ほどのにぎわいはまだない。
 大晦日・新年、ジャカルタ創立記念の6月、土曜の夜などを利用した歩行者天国やナイト・マーケットなどの市民参加型のイベントは、大幅に規模を拡大して導入。コンセプトもジャワの古都から首都に変え、多様性に焦点を当てる。しかし、公共交通機関が少なく、会場周辺が大渋滞するのはソロもジャカルタも同じだ。
 郡・町長の公募制度は首都で初めて導入した。ソロでは市長の指示を実行しないとして町長4人を解任。首都では南ジャカルタ区長の左遷、「適任者を選定中」と1年近く空席の州官房長、公共事業局長ら複数の局長交代など人事刷新を断行する。
 約20倍の人口の自治体運営に着手したばかりの知事が、2億4千万人の大国の舵取りに乗り出せるかどうか。ソロ方式で首都でも要所をいくつか押さえたが、あくまで現在進行中の施策。ソロの副市長がジョコウィ氏を引き継ぎ、評価を得ているのは計7年の成果があったから。首都の基盤整備は始まったばかりだ。(配島克彦)

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