ビル街にドラムの音響く 世界のお巡りさんコンサート インドネシアで初開催

 世界各国の警察音楽隊が音楽を通じて交流する「世界のお巡りさんコンサート・イン・インドネシア」(主管・毎日新聞社)のパレードが1日、中央ジャカルタで開かれた。日本、インドネシア、韓国、ベトナム、米国の5カ国の警察音楽隊が、モナス(独立記念塔)があるムルデカ広場からホテル・インドネシア(HI)前ロータリーまでの約1・5キロをパレード。休日の娯楽の場となるモナスに集まった市民ら約15万人(国家警察・毎日新聞社発表)が沿道に詰めかけ、カーフリーデーとなったタムリン通りのビル街にドラムや金管楽器の音が響き渡った。(上野太郎、上松亮介、写真も)
 午前8時の開会式後、前座のブタウィ(ジャカルタ土着の民族)の楽団、行政大学(IPDN)の鼓笛隊に続き、ムルデカ広場を5カ国の警察音楽隊が順番に出発した。
 先陣を切ったのは日本の警視庁音楽隊。女性警察官によるカラーガード隊(旗衛隊)が、ピンクと白の華やかな衣装と笑顔で観衆を魅了した。ベトナム警察音楽隊は白と赤の制服で厳かな雰囲気を醸し、民族音楽を奏で、ソウル特別市地方警察庁楽隊は、韓服に身を包んだメンバーが先頭に立ち、小さなラッパやシンバルで演奏しながら練り歩くパフォーマンスも披露した。
 オーソドックスな演奏を聞かせたニューヨーク市警察音楽隊はドラムや管楽器に、紅白で彩ったインドネシアの地図をあしらった。アジア外から唯一の参加で、携帯電話やデジタルカメラで、記念撮影をせがむ市民の姿も目立った。
 トリを務めたのは、中部ジャワ州スマランにある国家警察士官学校のチェンドラワシ音楽隊。先頭を歩く隊員が指揮棒を空高く投げたり、ホルンを口で支えたりすると大きな歓声が上がった。外国から参加した各隊は50人前後だったのに対し、約380人が参加。迫力ある演奏で堂々とホスト役を果たした。
 パレードでは、地元7大学の約50人によるごみ拾いのボランティアチームも活躍した。イベント後はごみが散乱するジャカルタで、黒いポリ袋を持って、ごみ拾いを淡々と進めた。
 コンサートは毎日新聞社が主管し、1996年から毎年実施。これまで10カ国で開催してきた。18回目の今回は、日本インドネシア国交樹立55周年、日本ASEAN(東南アジア諸国連合)友好40周年を記念して、インドネシアで初開催。同日、開幕した第5回ジャカルタ日本祭り(JJM)の目玉イベントの一つとなった。
 開会式には、樋口建史前警視総監(警視庁音楽隊名誉団長)や鹿取克章・駐インドネシア日本大使、小林一則JJM実行委員長、インドネシア日本友好協会(PPIJ)のラフマット・ゴーベル理事長、毎日新聞社の常田照雄専務らが参加。同日夜には、中央ジャカルタのホテル・ルミレで歓迎パーティーもあり、国家警察のバハルディン・ハイディ治安確立局長らが出席した。
 2日夜には、招待客向けのコンサートが中央ジャカルタ・チキニの文化施設タマン・イスマイル・マルズキ(TIM)内の「ジャカルタ芸術ホール」であるほか、警視庁音楽隊は3日にジャカルタ日本人学校(JJS)で演奏会を開く予定。
■「交流促進し、楽しい街に」
 市民の憩いの場となっているカーフリーデーの日曜、5カ国の音楽隊が首都の目抜き通りをにぎわせた。幼児はやって来る音楽隊を指差し、抱きかかえる父親に微笑む。若者は自転車を降り、携帯電話のカメラを構えた。
 家族9人を連れ、沿道からパレードを見た会社員のソニ・カメロさん(39)は警視庁音楽隊に手を振り、「きょうはにぎやかな朝。良く訓練された隊列に日本人の規律正しさを感じる」と話した。
 自営業のディオ・マルコさん(27)は友人とのジョギング中にパレードに出くわした。インドネシア開催が日イ国交樹立55年などを記念するものと知り、「市民を楽しませる行事が他国との交流促進を兼ねる。もっと増えて、楽しい街になればうれしい」と話した。
 弟がインドネシアのチェンドラワシ隊員として参加したというリカさん(31)は「インドネシアの警察が、市民により近付く良い機会になることを願っている」と期待を示した。
 インドネシアがコンサートに初参加した昨年の東京開催で、士官学校校長として引率を務めたアナン・イスカンダル現国家麻薬委員会(BNN)委員長も、沿道で家族とともに声援を送っていた。
 「昨年のチェンドラワシ音楽隊は一部のみだったが今年は全員が参加し、すばらしい演奏を聴かせることができた。東京の時以上に多くの市民が詰めかけ、盛大なパレードになったと思う」と目を細めた。

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