大相撲巡業、大盛況 日馬富士が優勝 「観客が自由に応援」

 中央ジャカルタのイストラ・スナヤン屋内競技場で24、25 の両日、大相撲のジャカルタ巡業があった。モンゴル巡業以来5年ぶり、東南アジアで初めての海外巡業に2日間で延べ1万4200人(主催者発表)が詰めかけ、在留邦人が8割以上を占めた。取組はトーナメント形式で行われ、1日目に大関・稀勢の里が、2日目に横綱・日馬富士が優勝した。両日の優勝力士で争う総合優勝は稀勢の里を下した日馬富士が手にした。  
 24日、準決勝に駒を進めた横綱・白鵬は稀勢の里と対戦。稀勢の里が白鵬を寄り切って横綱に土をつけると、両国国技館さながらに座布団が飛んだ。稀勢の里は準決勝の勢いそのままに決勝で日馬富士と対戦。胸元に潜ろうとする日馬富士のあごを押し上げ、押し出しで勝利。ブディオノ副大統領から初日の優勝杯を受け取った。
 25日の準決勝では、前日に優勝した稀勢の里を4回戦で破った大関・鶴竜が日馬富士と対戦。日馬富士が寄り切りで勝利し、貫禄を見せた。横綱対決となった決勝戦では、土俵際で白鵬の投げを耐えた日馬富士が反撃に転じ、白鵬を寄り切って勝利した。
 1日目の決勝戦と同じ顔合わせになった総合優勝決定戦で日馬富士は稀勢の里を寄り切りで下し、横綱の面目を保った。日馬富士は2日目の優勝杯をロイ・スルヨ青年スポーツ担当相から、総合優勝杯を横綱審議会委員の高村正彦自民党副総裁から受け取った。
 閉会式であいさつした白鵬は「ありがとうございました。また会いましょう。トゥリマカシ。サンパイジュンパラギ」と力強く締めくくり、日イの観客から万雷の拍手を受けた。
 試合後、日馬富士は「ジャカルタの皆さんに喜んでいただけることを心がけた」と語り、「(観客が)自由に応援していた。ヨーロッパみたいだ」と巡業を振り返った。
 日本相撲協会の尾車巡業部長は、時折力士の名前を観客が呼び掛ける会場の雰囲気に「(東南アジアは)未知の領域で巡業に不安もあったが、友好的に迎え入れてもらい、不安は払拭された」と話し、「トーナメント戦は本場所と違って1日に何回も横綱の相撲を見ることができる。立ち合いの迫力を楽しんでもらい、相撲文化を分かってもらえるとありがたい」と続けた。
 尾上親方は25日の記者会見で「既に数カ国からオファーをいただいている」と明かし、来年以降の海外巡業の継続に期待を示した。

■二つの紅白旗で応援
 「きせのさと」や「ばると」、「がんばってね」と書かれた手製の横断幕や日イの国旗を手に、母や祖母と観戦していた藤田康祐君(7)は誕生日プレゼントとして両親から贈られたチケットで観戦に訪れた。力士の顔と名前、まわしの色まで記憶しているといい、特に力士が組み合う四つ相撲が好きだと話した。土俵上の激しい攻防に立ち上がって声援を送っていた。
 力士がまわしを取り合ったまま土俵下へと転がり落ちるのを見て悲鳴を上げたのはナレスさん(22)だ。日系企業に勤務し、日本人上司ら4人と観戦に訪れた。観戦を楽しんでいる様子だったが「力士は体が大きく、取り組みを見るのがちょっと怖い」と話した。
 従兄弟と観戦していたバンドン工科大学3年生のビンタンさん(20)は日系企業に勤務する母からチケットをもらったと話す。日本の文化に関心があって来場したといい、「初めて見る相撲は新鮮だ」と語る。イスラム文化圏で力士が裸で取り組むことについては「問題ないと思う。それが日本の文化なのだから」と話した。(田村隼哉)

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