「党首選出馬撤回を」 大統領がマルズキ氏に きょう民主党臨時党大会

 内紛に揺れる民主党が30、31日に予定する臨時党大会での党首選をめぐり、党内で新たな亀裂が生じている。来年に2期の任期を終え、大統領を退く党最高顧問のユドヨノ氏を新党首に推す意見が上がる中、出馬を検討しているとされるマルズキ・アリー国会議長に対し、ユドヨノ氏が出馬撤回を求めたことが発覚。両者が携帯電話のSMSを通じ、泥仕合を演じる格好となっている。 

 マルズキ氏に宛てられたメッセージは民主党幹部、地方幹部らにも一斉送信され、地元メディアに漏えいした。マックス・ソパチュア副党首は同日、ユドヨノ大統領が送信元であると認めた。 
 メッセージはマルズキ氏が26日、北ジャカルタ・アンチョールのホテルで自身を支持する地方支部代表者との会合を開いたことを批判。「恥ずべき問題を含む、2010年党首選で起きたことが繰り返されることを憂慮している」と通告した。10年党首選では、ユドヨノ大統領が支持していたとされるアンディ・マラランゲン氏が1回目の投票で脱落。マルズキ氏との決選投票となった結果、アナス・ウルバニングルム前党首が当選した。以降、アナス氏とユドヨノ大統領の水面下の対立が続いていたとされる。
 マルズキ氏のものと思われる返信メッセージも漏えいした。「バパッ(ユドヨノ大統領)と対立する立場に置かれたとすれば非常に悲しい。会合は地方支部との懇談に過ぎない」と釈明しているが、出馬の含みを残した内容となっている。
 ユドヨノ大統領は24日の私邸での会合で、33州支部中26州支部から党首選出馬要請を受ける形で出馬の意志を固めた。会合を通じ、クルアルガ・チケアス(ユドヨノ一族)に対する党員の支持が深まったとも言われる。ユドヨノ派の幹部からは大統領の党首就任を挙党一致で支持すべきとの発言が相次いでいる。

■事態の収拾狙う
 一連の民主党騒動は2月上旬の世論調査で民主党支持率が8.3%に低迷して以降本格化。アナス前党首の去就をめぐる深刻な内部対立がメディアで批判的に報道され、党のイメージを損ねてきた。ユドヨノ大統領は騒動の過程で自らが事態の収拾に乗り出し、自身が党首に就くことで党の実権を名実ともに掌握し、来年の総選挙・大統領選に党を集中させたい考えだ。
 アナス前党首派のサアン・ムストパ副幹事長は29日までに出馬意志を撤回し、大統領を支持する方針を明らかにしている。先月の全国代表者会議では、アナス派が党員の6割の支持を得てアナス更迭論を封じ込むほどの勢力だったが、今回は26の州支部が大統領に出馬要請したことで、アナス派の求心力が徐々に低下しつつある。
 ユドヨノ派のジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相は29日、地方支部、国会議員らを大統領支持で一本化できれば、党大会の会期を2日から1日に短縮できるとの見解を示した。(吉田拓史)

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