駐車場ビジネスが大盛況 首都の巨大モール裏 オートバイの通勤者増え

 目抜き通りに並び立つ高級ショッピングモール、プラザ・インドネシアの裏にびっしりとオートバイが停められていた。宅地を更地にして屋根を付けた簡易駐車場だけでなく、道路の一部を占領するなど、駐車スペースは増える一方だ。庶民のオートバイ利用増加は街に新たな変化を生み出しており、モールやオフィスビル裏の駐車場ビジネスはますます活気を帯びていきそうだ。

 利用者の大半はプラザ・インドネシアの従業員。モール内の従業員用駐車場は利用料が12時間で1万ルピアと割高なため、その隙間をうかがうようにして、駐車場ビジネスが繁盛している。
 路上の二輪車置き場を運営しているのは、モール裏の第4町内会(RW)。2004年に始まったという。駐車料金は12時間4000ルピアとモールの半分以下。
 道路の端を30〜40メートルごとに分け、大小八つの駐車場を設置し、総勢で50人ほどが管理に携わっている。それぞれの置き場が200〜300台駐車可能で、複数の列をなして停められているオートバイから、自分の物を見つけてスタッフに声をかけると運び出してくれる。道路脇の置き場は屋根がなく、雨が降るとオートバイはずぶ濡れになるため、ヘルメットの預かりサービスもある。
 月の収入は8カ所全部で一カ月2700万ルピアほど。そこからスタッフに給与を払い、残りの一部は自治会が管理して貧しい家庭の子どもの医療費や教育費など、地域の社会福祉に使われているという。
 「ショッピングモールができて地域の生活は大きく変わった。昔は治安も悪く働き口もなかったが、今は違う。ワルン(屋台)も増えて地区全体が賑わっている」と、町内会長の兄でここで生まれ育ったワフュさん(41)は話した。

■コス経営から転身も
 屋根を付けた私営オートバイ置き場や空き地を活用した置き場などもたくさん生まれている。24時間営業や月極、日本のように利用者が自分で運び出すところもある。
 そのうちの一つで6年前から働くアビーさん(34)は「家からも近く安全な仕事で同僚と楽しく働いている」と語る一方、1日12時間で週4日の勤務は「肉体労働で大変」という。スタッフのほとんどが地元出身者で、地区の雇用創出にも貢献している。
 モールで働くようになってからローンを組んでオートバイを購入したという利用者も多い。そういった需要を見越して、06年にコス(下宿)をたたんで、オートバイ置き場にビジネスを切り替えた人たちもいる。
 月極の会員制で私営オートバイ置き場を共同管理するワンドさん(30)は「管理のしやすさに加え管理費の低さと安定した収益に魅せられ決断した」と語る。コス経営では食堂奥の2部屋を貸し、1カ月で1人当たり約50万ルピアを受け取っていた。1部屋に2人宿泊しても収入は最大で月200万ルピアだった。さらに水道代や電気代などが引かれると、利益は最大でも約150万ルピアに留まる。必ずしもフル稼働するわけではなく、収入が大きく減るリスクもあった。
 滞在客の洗濯や部屋のそうじなどの雑務に加え、利用者のマナーの悪さなどさまざまな問題を抱えていたが、オートバイ置き場の費用は人件費のみ。月極のため収入も安定している。
 バイク置き場管理で得る収入は1カ月最大360万ルピアに達し、コスの2倍以上。コス運営の時代からあった食堂を残し、その奥に駐車場を作ったため、30台しか停められないが、仕事終わりに友人とコーヒーを飲んだり腹ごしらえをする利用者も多く、憩いの場としても機能している。
 どの利用者に話を聞いても不満は駐車場の狭さで、知らぬ間にボディが破損していたり傷ついていることもあるという。通路が確保されている別の置き場では、利用者が自分で運び出す方式になっている。「停める時も運び出す時も移動が簡単」と好評だが、モールからの距離がやや遠かった。利用者は、自分の勤務時間などの条件に応じてそれぞれが利用するオートバイ置き場を決めているようだ。(和歌山大学観光学部2年生・太田雅也=インターン、写真も)

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