船神事「ホーランエンヤ」の地を訪ねて 5月に10年ぶり開催 松江市

 日本三大船神事の一つ「ホーランエンヤ」(松江城山稲荷神社式年神幸祭)が5月、松江市で10年ぶりに開催される。400年近くの歴史を持つ伝統神事ゆかりの地で、準備に余念がない人々を訪ねた。

 祭りは1648年、天候不順による凶作を案じた松江藩主、松平直政によって、松江城の敷地内の城山稲荷神社の御神霊が運び出され、東へ10キロほど離れた阿太加夜(あだかや)神社で豊作を祈る大祈祷(きとう)が行われたことに由来する。その後、十年から十数年に1回行われてきた。1808年には御神霊を乗せたおみこし船が風雨で遭難しそうになったが、中海に近い馬潟村の漁師が助けた。その後は馬潟など5地区の船が御神霊のお供をするようになり、現在のきらびやかな船行列につながっている。
 約100隻の船団で御神霊が運ばれ、色鮮やかに飾られた櫂伝馬船(かいでんません)のこぎ手「櫂かき」による「ホーランエンヤ」の勇壮な掛け声や、船上で披露される櫂伝馬踊りが特徴だ。そんな歴史を、松江城近くにある松江ホーランエンヤ伝承館の資料や映像で学んだ後、馬潟地区に向かった。
 船団が通るのは宍道湖と中海を結ぶ大橋川。中海への河口近くにある「いの一会館」で、櫂かきの男たち約30人による唄の練習を見学した。指導役のベテランの下、独特の節回しの掛け声が会館内に響き渡っていた。
 別会場では、船上で櫂伝馬踊を披露する小学校高学年から中学生の男子生徒8人が、勇壮な男踊りの「剣櫂(けんがい)」、女姿でしなやかに踊る「采振(ざいふ)り」、「太鼓」の3班に分かれて稽古中だった。稽古は週3回で、直前はさらに増えるといい、剣櫂担当の中学生は「踊りを大きく見せたい。ホーランエンヤの練習で生活が変わりました」と話した。
 馬潟地区のホーランエンヤ行事の総代長、矢田浩さん(63)は「(大規模な祭りは)馬潟村の漁師が210年前におみこし船を助けたことがきっかけ。この地区は、誇りと使命感を持っている」と語る。一方で負担も大きく、約160戸の地区で50人以上の乗船者を確保するのは簡単ではない。「櫂かきは1回経験したら2度とやらない伝統だったが、今では3人に1人は経験者。人口減少の影響が出ています」と、将来の神事の在り方を心配していた。
 翌日は、松江城の敷地内にある城山稲荷神社を見学してから、祭りの期間中、御神霊のおみこしが安置される阿太加夜神社を訪ねた。境内では櫂伝馬踊を陸上で披露するための陸船5隻が保管され、本番を待っていた。
 メモ 2019年のホーランエンヤは5月18日に渡御祭、22日に中日祭、26日に還御祭が行われる。問い合わせは松江観光協会 電話0852(27)5843。(記事・写真は時事)

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