産業遺産と息づくものづくり 愛媛東部 名水の町も

 江戸時代に開かれ、日本の産業を支えた銅山の跡がある新居浜市、今も製紙業が盛んな四国中央市、名水の町・西条市。それぞれの特色を生かして地域振興に取り組む愛媛県東部の3市を訪ねた。

 かつて世界一の産出量を誇ったといわれる別子銅山があった新居浜市の山間部。今はテーマパーク「マイントピア別子」になっており、「端出場ゾーン」では観光用の坑道や鉄道などで銅山の歴史が学べる。近くに産業遺産の旧水力発電所もあるが、ハイライトはここから車で約30分の「東平ゾーン」だ。標高750メートルの地に、鉱石を一時的に保管する花こう岩造りの巨大な貯鉱庫の遺構があり、索道停車場跡などと併せてその威容は「東洋のマチュピチュ」とも呼ばれている。
 保安本部だったれんが造りの「マイン工房」では、銅板レリーフ作家の橋本育子さん(70)が作品を制作中だった。風景や動植物を小さな銅板に浮かび上がらせる。体験コースもあり、橋本さんは「立体的に膨らませるのが銅板レリーフの魅力です」と笑顔で話した。
 愛媛県の東端に位置する四国中央市は、手すき和紙などの伝統産業から大手製紙会社の工場まで、紙関連の産業が盛んだ。
 和紙が原料で、ご祝儀袋などの飾りとなる水引もその一つ。水引細工など婚礼結納用品を扱う星川結納店を訪ねると、夫婦共に伝統工芸士の星川安弘さん(77)、冨貴子さん(72)が迎えてくれた。美しい細工の数々に目を奪われるが、「結婚に仲人を立てなくなり、結納がなくなってきた」と安弘さん。手すき書道半紙を作る藤原製紙所の伝統工芸士、藤原俊二さん(69)も「注文は2、3カ月先まであるが、後継者がいない」と話し、伝統産業を守る難しさを伝えてくれた。
 同市には瀬戸内海まで一望できる具定展望台があり、工場と市街地の明かりが織り成す幻想的な夜景が楽しめる。
 西条市は、四国最高峰、石鎚山系からの伏流水が自慢の町だ。湧水は「名水100選」にも選ばれている。水質の良さを生かしたコカ・コーラボトラーズジャパン小松工場を見学した後、JR伊予西条駅近くにある大正時代創業という食堂「猪谷勉強堂」でご当地グルメ「てっぱんナポリタン」を頂いた。卵焼きを敷いた鉄板に熱々のナポリタンスパゲティーが載っており、ボリューム満点だ。
 午後は、「うちぬき」と呼ばれる自噴井戸が全部で2千~3千カ所もあるという市街地で水巡り。湧き水をくめる「うちぬきスポット」もあちこちにある。西条市観光物産協会の玉井雅人事務局長(66)は「まろやかな軟水で雑味がない。ご飯やコーヒー向けはもちろん、お酒に入れる氷を作るとぜんぜん味が違いますよ」と自信たっぷりに話した。
 メモ マイントピア別子・東平ゾーンは12月~2月は冬季休業。2019年4~11月には、ものづくりをテーマにした地域振興イベント「えひめさんさん物語」を3市の各地を会場に開催予定。(記事・写真は時事)

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