日イコラボCDが完成 「アチェと日本のかけ橋」 交流から生まれた10曲
2004年のスマトラ沖地震、11年の東日本大震災で大きな被害を受けたアチェ州、東北。2年間にわたる被災地間交流の中で生まれた全10曲を収録したCDアルバム「あなたとわたし アチェと日本のかけ橋」が完成した。震災体験や被災地への思いなどが日イ両国の言語で歌われている。
全10曲のうち、9曲の作曲を手掛けたのは仙台在住の現代アーティスト、門脇篤さん(49)。歌詞は交流を通して知り合ったインドネシア人が書き、一部は日本語に訳されている。
門脇さんは16年、以前からアチェと東北の被災地間交流を行っていたNPO法人「地球対話ラボ」から、アートを使った交流をしていきたいと話を受けた。
高校生らとコラボをして東北での震災体験を伝えるラップを作っていた門脇さんは同年、アチェブサール県ランビラ村の小学校でラップを披露した。その際に同席していた現地のNGOで働く女性が、「アチェ語で歌詞を書いてみました」と門脇さんに送ってきたことをきっかけに、初めての曲「ARIGATO, SAHABAT」が完成する。曲は、ランビラ村の小学生やバンダアチェ市の学習支援団体の若者たちなどによって歌われている。
その後も震災の継承とコミュニティーをテーマとした展示会、アートワークショップの開催などさまざまな交流が行われる。年に2回ずつ、互いに日本とアチェを行き来して交流を深め、こうした中で曲が完成していった。
アルバムのタイトル曲である「あなたとわたし アチェと日本のかけ橋(=ティティ・アンタラ・アチェ・ダン・ジャパン)」は、西アチェ県ムラボ市で8歳のころに震災を体験したティティ・タルサニアさんが作詞、歌っている。ティティさんは、アルバム曲と合わせて震災体験をつづった「あの日」の計2曲を日本で収録した。
また、「頑張れ福島」は現地NGOのインドネシア人が、日本を訪れた際に福島の街を見て作詞作曲したもの。
国内でのアルバムCDの購入は、トコペディアで可能。一部のシングル曲はネットで購入できる。
門脇さんは「東北とアチェの交流の中で少しずつ生まれた曲。タイトル曲を歌う彼女の名であるティティは、アチェ語で「橋」を意味する。まさに両国を結ぶかけ橋となる曲に仕上がっている」と話した。(上村夏美)