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2004年10月1日 じゃかるた新聞掲載

自立するスラウェシ島(5)
地方分権の現場から−JICA人材育成
広がる住民サービス KTP発行革命

 南スラウェシ州マジェネ県バンガエ郡。ここでは、二〇〇三年十一月から郡事務所でも住民登録証(KTP)の申請、取得ができるようになった。
 KTP発行業務はこれまで県政府の所管。郡の住民は一日がかりで県庁舎まで行かなければならず、値段もまちまち。取得には一週間、時には一カ月かかることもあった。

■数時間で受け取り

 国際交流機構(JICA)の研修後、郡長のスフヤン・サジェナさん(三八)は、郡でのKTP発行をアクションプログラムとして実施、県の協力を得て、パソコン二台、事務員四人が補充された。
新しいKTP(右)を見せる郡職員
新しいKTP(右)を見せる郡職員
 現在、同郡の住民は銀行窓口のような郡事務所のカウンターで一万ルピアの「均一」料金を払えば、わずか数時間で真新しいKTPを受け取ることができる。
 カードもクレジットカードサイズになり、デザインも一新。住民にもすこぶる好評で、有効期間が残っているにもかかわらず新しいKTPに更新する住民が続出した。

■予算確保で体制整う

 マジェネ県を視察したJICA地方政府人材育成プロジェクトチームの川端岳郎さん(四四)は、「支援の際に重要なことは、支援後の自立発展性」と指摘する。
 住民サービスの向上を目的にした支援は、NGO(非政府組織)などを通じて直接住民にアプローチする形態が多い。
 川端さんは「今年末で支援期間が終了するが、その後、自分たちだけで継続していけるか。そのための制度を作ったり、予算を確保するには、たとえ即効性は薄くとも行政側に働き掛けていくことが重要」と話す。
 バンガエ郡のKTPのアクションプランの場合、KTPカード費用や外注の職員四人の派遣費用は県予算に組み込まれ、県知事の通達によって実施がすでに義務化された。たとえこの事業を導入した郡長が異動になっても、継続する体制が整った。

■国会で改正審議

 先月二十九日には、地方自治法と中央・地方財政均衡に関する法律の改正審議が終了し、地方の首長が直接、住民から選ばれるようになった。また、中央、州、県・市の責任関係も以前より明確に規定された。
 キーワードは「行政サービスの向上」。天然資源収入の分配金を受け取る権利や地方税を徴収する権利を明記する代わりに、行政サービスや住民生活の向上が義務付けられる。

■点から面へ

 南スラウェシ州マジェネ県では、バンガエ郡の住民の評判を聞いて、ほかの三郡でも郡事務所でのKTP発行サービスが始まった。また、州南部のゴア県知事が同郡を訪れた後、同県でも郡でのKTP発行を検討、近く導入する見込みだ。
 地方政府が、それぞれの地域の特色を見極めながら住民から広く税金を集め、それを地元のニーズに合った形で還元していく。そうした本来の地方分権の形を目指す取り組みが、JICAの支援を経て、「点」から「面」へ、確実に広がっている。
(おわり)




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