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2004年9月27日 じゃかるた新聞掲載

自立するスラウェシ島(1)
地方分権の現場から−JICA人材育成
活気あふれるパルの町 にぎわう野外ディスコ

 東西五千キロの広大な国土を持つインドネシアで地方分権が始まって三年半。経済再建を進めるため、「地方」に財政的自立を求める「中央」と、スハルト時代の中央集権の呪縛から放たれ、初めて自治のフリーハンドが与えられた「地方」。しかし、地方政府の能力や財政の不足、法律面の不備などから、うまく機能していないという声も聞こえてくる。インドネシアの地方分権を側面から支援する 国際協力機構(JICA)のプロジェクトチームに同行し、行政の最前線「郡」を中心に、スラウェシ島での取り組みを見た。 

 午前七時にジャカルタを発ったボーラック航空の機体の窓から、眼下に中部スラウェシ州の州都パルの街並みが見えてきた。急峻な山をえぐったようなパル湾の奥に広がるパル市は、人口十八万人のスラウェシ島中部の中心都市。街の背後には、カユ・ヒタムと呼ばれるこの地特産の木を乱伐して禿(は)げ上がった山地が広がっている。
週末には大勢のパル市民で賑わう近郊のタンジュン・カランビーチ
週末には大勢のパル市民で賑わう近郊のタンジュン・カランビーチ

■海沿いのカラオケ屋

 「外島」のスラウェシ島は、一九九七年のアジア通貨危機の際もジャワ島と比べると比較的打撃を受けずに済んだ。ルピアの暴落で、カカオやエビ、カシューナッツなどの一次産業の輸出競争力が高まり、南スラウェシ州では「ルピアを植えてドルを収穫」が合い言葉になった。
 中部スラウェシ州は、いまなお紛争地ポソを抱えているが、他の地域は安定し、人々はそれなりに豊かな暮らしを送る。
 パル市からポソまではわずか二百キロ。パル湾に面したパル市ラジャ・モイリ通りに並ぶ屋台や野外カラオケ屋は連日、夜遅くまでカップルで賑わい、市内の屋外ディスコでは、若者らがポソから伝わったというダンスに興じていた。

■上意下達の公務員

 インドネシアはいま、地方分権を模索している。
 二〇〇一年一月、地方行政に関する法律(地方自治法)と中央・地方財政均衡に関する法律が施行され、これまで州の下に位置づけられていた県・市の地位が上がり、権限が強化された。
 しかし、地方自治を担う公務員が、経験、知識、能力ともについていけない。地方公務員は上意下達にあまりにも慣らされており、「イニシアチブを持ってやれ」と急に言われてもどうしていいか分からないのが現状だ。

■全国で2000人に研修

 JICAの「地方行政人材育成プロジェクト」(榎本正義チームリーダー)は、そうした地方政府の行政能力の向上を側面支援しようと〇二年四月にスタートした。これまでに全国三カ所で百回近い研修が行われ、県官房長や郡長ら地方の行政官、議員ら二千人以上が参加。そこで習得した知識や方法論を地元に持ち帰り、アクションプラン(行動計画)を実践した。
 このJICAの取り組みをきっかけに、スラウェシ島ではいま、各地で新たな「行政サービス」や「コミュニティー開発」が始まっている。


つづく


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