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2004年4月13日 じゃかるた新聞掲載

アジアの民主主義育てる
 JICA総選挙支援アドバイザー 黒田一敬さん

 日本政府のインドネシア総選挙支援(総額二千三百万ドル)の四本柱の一つとして国際協力機構(JICA)専門家チーム十七人が、選挙物資の配付などロジスティック支援、地方総選挙委の研修などを行った。全国六地域を起点に活動した専門家チームを率いたのは、一九九二年のカンボジアを皮切りに世界十カ国で選挙支援に携わった総選挙アドバイザーの黒田一敬さん(四三)。黒田さんに支援の様子や選挙支援の意義などについて聞いた。

 JICA専門家の派遣は九九年総選挙に続き二回目。今回の専門家たちも、元青年海外協力隊員、元インドネシア駐在員、海外選挙の監視を経験した非政府組織(NGO)職員ら、いずれもインドネシア語や文化に精通し、選挙支援に熱意を燃やす十七人だ。
 専門家たちは、ジャカルタのほか、東ジャワ州スラバヤ、バリ州デンパサール、南スラウェシ州マカッサル、南カリマンタン州バンジャルマシン、北スマトラ州メダンを基点に、全国各地で選挙物資の配付などのロジスティック支援や、州・県レベルの総選挙委員から投票所の係員に対する研修を実施した。

■汗を流し連帯感

 黒田さんは「地方の総選挙委は、常設機関として、総選挙後も責任を持って大統領選、地方首長選を運営していかなければならない。そのためにも専門家を地方の総選挙委に派遣して支援を行うことが重要で、こうした支援を行っているのは日本だけです」と、地方支援の意義を語る。
「選挙を通じて知り合った仲間との再会が楽しみ」と黒田さん
「選挙を通じて知り合った仲間との再会が楽しみ」と黒田さん
 ナザルディン・シャムスディン総選挙委員長からは「アジアの同胞として、共に手を携え、新しい民主主義を定着させていこう」との激励を受けた。
 「当初は不安がっていた専門家たちだったが、選挙の成功のために総選挙委員らと一緒に汗をかいて頑張っていく姿勢がインドネシア側にも伝わり、連帯感が生まれていった。投票日の前日、(バリ、東・西ヌサトゥンガラ州担当の)北村達也専門家(四三)が、総選挙委員とともに管轄地域の準備が完了したと電話をかけてきた時は涙が出るくらいうれしかった」と黒田さん。

■民主化の確実な一歩

 昨年四月から総選挙委本部に派遣された黒田さんは、今回の総選挙を「課題も散見されたが、実務的観点から見れば、民主化の一歩を確実に歩んできた結果が出た」と評価する。
 「総選挙委は前回、政府任命の五人、各政党から一人の四十八人と計五十三人となり、物事を決めるのが大変だった。しかし、独立機関となった今回の総選挙委は、委員九人が緊密に連絡を取り合うなど役割分担がしっかりしており、一定の基準の下、公明正大かつ緻密な審査で二十四党を選ぶことができた。事務局や関連省庁との連携にも進歩が見られ、(準備の遅れや投票延期に対応する)緊急政令の発令についても大きな混乱を出す前に発令することができた」と総選挙委の成長ぶりについて語る。
 地方や住民レベルの総選挙に対する姿勢についても「州、県、郡、投票所レベルに至るまで、自分たちの手で選挙を作り上げていこうという姿勢が感じられた。相互扶助、共同体意識を持つ意義として今後のインドネシアに良いものを残せたと思う」と語った。

■仲間との再会楽しみ

 黒田さんが海外で平和構築、選挙支援に携わったのは、今回で十三回目。
 九二年に国連ボランティアとして訪れたカンボジアでは同僚の中田厚仁さんの死に遭遇。以来、国連職員、JICA専門家などとして、モザンビーク、ボスニア・ヘルツェゴビナ、東ティモールなど世界の紛争地で平和構築に向け、十一年間、突っ走ってきた。
 そんな黒田さんの楽しみは各地で仕事を共にした仲間との再会。今回の総選挙でも各国の選挙で出会ったインドネシア、日米欧豪などの選挙監視団やNGO、選挙を取材するジャーナリストらとの再会があった。
 「インドネシアが、広大な領土、民族の違いを超えて今回の総選挙を成功させたことに達成感を持って、その経験を世界に誇ってほしい。そうした経験を持ったインドネシア人たちが、日本人と手を携えながら、今度は民主化を支援する立場となってくれることを期待している。世界のどこかでまたインドネシア人と会えたらいいですね」と黒田さんは話している。


2004年4月8日 じゃかるた新聞掲載

「自由で公正な投票だった」 6地域、150投票所を監視
 日本政府選挙監視団

 一九九九年の前回総選挙に続き、三日からジャカルタ、アチェなど国内六地域で総選挙の監視活動を行ってきたインドネシア総選挙日本政府監視団(派遣要員十六人、支援要員七人)が七日、中央ジャカルタの日本大使館講堂で記者会見し、監視活動について報告した。川上隆朗団長(元駐インドネシア大使)は、今回の総選挙がインドネシアの民主化に向けた過程の定着に向け大きな意義があるとした上で、「一部の投票所で総選挙委員会が定める投票手続きが取られていなかったが、監視した投票所での投票、開票、集計過程は自由かつ公正に行われた」と述べ、投票はおおむね円滑に実施されたとの判断を示した。

 八班に分かれた監視団が五日の投票日に監視した投票所は、ジャカルタ、東ジャワ州スラバヤ、バリ州デンパサール、南スラウェシ州マカッサル、北スマトラ州メダン、アチェ特別州の計百五十カ所。このうちアチェ特別州では、バンダアチェ市の三郡十八の投票所と、アチェブサール県一郡十七の投票所を監視した。

■温かく迎えられた

 川上団長は、二重投票を防ぐためのインクを指に付けたかどうかのチェック、後ろからのぞかれないよう壁を背にして置くことを規定した投票ブースが、規定通りに置かれていないなどの違反が一部投票所で見受けられたが、全体的におおむね投票は円滑に行われたとの見解を示した。
監視結果を報告する(右から)秋元義孝副団長(日本大使館公使)、川上団長、中村光男千葉大名誉教授ら
監視結果を報告する(右から)秋元義孝副団長(日本大使館公使)、川上団長、中村光男千葉大名誉教授ら
 同団長は「いずれの地域でも、各投票所で温かく迎えられた。監視団が視察したすべての投票所で、選挙を成功させるため、投票の設営、投票、集計に真剣に取り組んでいたことが印象的だった」と感想を語った。

■民主化がきちっと根付くか

 アチェ特別州の投票所でも大幅な違反や圧力、監視などはなく、投票状況は良好との監視結果を明らかにした。
 川上団長は、選挙準備、一部地域での投票の延期などの問題が生じたが、今後の選挙過程が公正かつ誠実に行われることを望むとした上で「総選挙が成功裏に終わり、大統領選も無事終了すれば、はっきりと民主化のプロセスが見え、民主化がきちっと根付いたと言えるのではないか」と語った。

■投票用紙の穴点検に関心

 北ジャカルタ・コタなどを視察した一般公募参加者で、特定非営利法人(NPO)「ピース・ウィンズ・ジャパン」職員の牛田眞也子さん(二七)は「住民たちが協力して大きな投票用紙を広げて穴の開いた場所を示すなど、真剣に選挙を成功させようと一生懸命な姿が印象に残った」と語った。
 選挙監視団の派遣は、投票箱の購入や投票ブースの設置などの財政支援、国際協力機構(JICA)専門家の派遣、有権者教育のための現地のNGO支援を行った二千三百万ドルに上る日本政府の無償資金協力の一環として行われたもの。
 監視団のうち、日本から来イしていた団員十二人は同日深夜、日本に帰国した。




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