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2004年3月12日 じゃかるた新聞掲載

色とりどりの選挙カー 目抜き通りを練り歩く
 総選挙キャンペーン開始

 首都ジャカルタの総選挙キャンペーンは十一日、候補者のポスターを飾り付けた山車やオートバイ部隊が目抜き通りをパレードする「合同カーニバル」でスタート。独立記念広場(モナス)前のジャカルタ特別州庁舎前に集結した各党は、色とりどりの山車を先頭に、タムリン、スディルマン通りなどを平穏に行進した。

■カンプンのお祭り

 有名人、ダンドゥット、イスラム音楽、オブジェ・・・赤、黄、緑、青などカラフルな彩りで飾った山車は各政党の特色がにじみ出ていた。
巨大な党マークが特徴のゴルカル党の山車
巨大な党マークが特徴のゴルカル党の山車

バスレーンの車内からパレードをのぞく市民
バスレーンの車内からパレードをのぞく市民

タムリン通りをパレードする各政党の山車
タムリン通りをパレードする各政党の山車

州庁舎前から出発する政党の山車に手を振るスティヨソ知事ら
州庁舎前から出発する政党の山車に手を振るスティヨソ知事ら

スディルマン通りを占拠した真っ赤なバジャイ
スディルマン通りを占拠した真っ赤なバジャイ
 二十四政党のうち最も目立ったカーニバルは、運動員を大量動員した闘争民主党と福祉正義党。全長約四メートル、高さ二メートルの巨大な黒い水牛、腰をくねらすダンドゥット歌手、山車を取り囲む真っ赤なTシャツに身を包んだオートバイ部隊といった闘争民主党のカーニバルは、まるで「カンプンのお祭り」。

■「アラー・アクバル」

 急進派イスラム組織を動員し、ひんぱんに大規模デモを催す福祉正義党のカーニバルは、大型トレーラー三台を連ね、巨大スピーカーからイスラム音楽を大音量で流す。トレーラーに鈴なりになったイスラム青年たちが「アラー・アクバル」と叫ぶ姿はデモそのものだった。
 ゴルカル党は、トランペットの生演奏とバロンサイで対抗。民族衣装を着た運動員の一人は「カーニバル一の美女を揃えた」と胸を張る。
 国民信託党は、前回選挙と同じく船型の山車で「改革」をアピール。憂国職能党は、トゥトゥット氏の写真とともに、全国各地の観光地の写真、モスク、教会、ヒンドゥー寺院、仏塔のオブジェで「多様性の中の統一」を訴えた。

■チンピラ集団の政党

 パンチャシラ愛国者党には屈強の若者らが多数参加した。中央ジャカルタ支部のアンドレさん(三八)は「党員の九割は、ディスコの警備などで稼いでいるプレマン(チンピラ)。スハルト政権当時はゴルカルの別働隊だったが、政党として独立して、どこまでやれるのか試そうと結集した」と話す。
 議席を確保できるかどうかについては悲観的だ。「敗北したら、ゴルカル党支持に戻ってもいい。でも次期大統領はユドヨノ調整相だ」と断言した。

■控え目の闘争民主党

 トレーラーの上で、女性ダンドゥット歌手五人が熱唱しながらパレードしたのは闘争民主党。メガワティ大統領の人気が低下していることもあり、街頭からは「前回と比べて地味になったな」という声も。
 リチャード・トゥリス中央ジャカルタ支部長は「メガワティ政権はまだ二年半。何をやるにしても時間が必要だ。ジャカルタの有権者は批判的だが、あと五年、チャンスを与えてほしい」と呼び掛けた。

■タバコや角付き帽も

 庶民にとって選挙パレードは、カラフルな山車や衣装、音楽を楽しむとともに、いろいろな政党グッズやお土産を集める楽しみもある。
 グッズやお土産で多いのは、党の名刺、ビラ、小旗、ステッカー、ポスター、カレンダー、アメ、アクアなど。政党番号の「12」にちなんだ十二本入りの政党名入りタバコ(ナフダトゥール・ウンマ統一党)や、シンボルの水牛の角の付いたかわいい帽子(闘争民主党)も配られた。

■バジャイ300台が行進

 水牛マークの旗をなびかせ、「18」の数字が入った布を車体に巻き付けたバジャイ三百台が、中央ジャカルタのジャカルタ証券取引所裏に集結。真っ白な排気ガスをまき散らしながら、普段は、進入を禁止されているはずのスディルマン通りを悠々と走り、通りを占拠した。
 バジャイの運転手のヤントさん(四〇)は「メガが勝つ。勝ったら、スティヨソ知事にカンチルの導入をやめるよう言ってもらいたい」と話した。

■赤ん坊もパレード

 五十台のバイクを連ねた福祉正義党のパレードには、一台だけリヤカー付きのバイクがあり、日傘を差した母親とまだ首の座っていない赤ん坊が乗っていた。
 福祉正義党の旗にくるまった赤ん坊は、周りの喧噪をよそに、お母さんの日傘が作る日陰の中で気持ちよさそうにすやすや。

■歩くアンディ幹事長

 国民にも人気の高い政治評論家で、民族民主統一党の幹事長でもあるアンディ・マララゲン氏は、モナス前から、運動員十数人とともに政党Tシャツを着て歩いて行進した。
 アンディ氏は「新しい政治勢力が台頭して、国民がもっと選挙に感心を持つようになり、改革路線が続くよう願っている」と話した。

■JJSは普段通り

 ジャカルタ日本人学校(JJS)では卒業式がキャンペーン初日とぶつかったが、特に混乱もなく、滞りなく行われた。
 青鹿輝雄校長は「選挙キャンペーンに限らず、学校では、普段から常にさまざまな事態を想定して対策を取っている。キャンペーンについても、情報には細心の注意を払い、児童生徒の安全を心掛けたい」と話した。

◇市民の反応は冷ややか

 一九九九年の総選挙では、ビルの窓や歩道橋からパレードを見物していた市民が、運動員とエールを交わしていた。今回、市民の反応はほとんどない。あきらめや無関心を装おう市民が多く、はためく政党の旗も少なめだった。

■政治ショーには飽きた

 中銀前のバスレーン停留所でバスを待っていた会社員のサルヨノさん(三六)は「総選挙選が始まったばかりで、まだ選挙に関心を持つことができない」と述べ、目の前を横切る選挙カーにも関心がなさそう。
 タクシー運転手のユディさん(四二)は「庶民の生活を良くしてくれる政治家は見当たらず、既存の政党には期待していない。選挙や政治ショーには飽きてしまった」と述べ、改革に失敗した政治家たちへの失望感をあらわにしていた。
 無関心を決め込む市民も多い。オジェック運転手アフマッドさん(五二)は「投票したい政党がないので棄権するつもり」と語る。
 八四年のタンジュンプリオク事件を目撃した経験から、前回の総選挙ではスハルト政権下で隠ぺいされた事件を究明してほしいとの期待も込め、闘争民主党を支持。「しかし、メガワティ大統領は何もやっていない。国軍の尻に敷かれているだけ」と批判した。

■SBYの山車に乗る

 この日、辞意を表明したスシロ・バンバン・ユドヨノ政治・治安担当調整相の民主党の山車に同乗した。
 トラックを改造した車体の前面には、ユドヨノ氏の頭文字を取った「SBY」の文字、荷台には高さ一メートルのユドヨノ氏の胸像。約十五人の運動員が乗った荷台には、二〇〇一年のミス・インドネシアのアンジェリナ・ソンダックさん、俳優のポン・ハルヤトモ、シス・エヌエスの両氏が「ユドヨノ氏と民主党に投票を」と声を張り上げる。
 ポン氏は「ユドヨノ人気を背景に市民の反応はまずまず」と語るが、沿道の市民の反応はさっぱり。
 沿道を市民が占拠した九九年のような選挙気運の盛り上がりは見られず、たまに市民が近付いて来たかと思えば、「カオス(Tシャツ)」と叫び、政党グッズを要求してくる有り様だった。




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