西スラウェシ州沿岸に約八十万人が居住するマンダル人と海の関係は深い。
マジェネ県のモハマッド・ダルウィス知事によると、マンダル人の祖先は中国南部から筏(いかだ)に乗ってやって来た。オランダ統治時代はマルク州アンボンから香料、シンガポールから陶器を運ぶ大型帆船「ランポ」の乗組員として活躍。戦前まではマンダル人の有力者たちがランポに乗り、一年をかけてメッカ巡礼を行った。
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子供たちが裸足で歩く海岸は多数のゴミが散乱していた
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スラウェシ西岸は、舷外に張り出した竹の浮材を付けたアウトリガー船発祥の地としても知られ、今もマンダル人の男たちは帆を付けた小型のアウトリガー船「サンデック」に乗り、スラウェシ海峡でマグロを追う。
しかし、現存するランポはなく、サンデックも近代漁船に取って代わられつつある。モハマッド知事は「毎年八月、マジェネ−マカッサル間で争われるサンデックレースの開催、ランポの歴史を記した本の出版を通じ、マンダル人の伝統を風化させない努力をしている。サンデック・エクスプローラー号で大平洋横断の冒険に出た山本良行さんがサンデックの名を世界に広めてほしい」と語った。
■プラスチックが散乱
マンダル人と海の密接な関係は日常生活からも見てとれる。
パンブスアン村など海岸沿いの村人は、サロン(腰布)を体に巻き、海岸から数メートルの浅瀬にしゃがんで用を足す。集落から排出されるゴミもすべて、干潮時の海岸に捨てる。満潮時に波がゴミをさらっていくからだ。
しかし、プラスチックなど現代文明が生み出した製品が村に流通するようになった結果、海岸に無数のゴミが散乱するようになった。昔はすべて自然に還っていたゴミも、プラスチックは自然に還らない。西スラウェシ州の漁村には、ゴミ処理システムなど存在しない。
飲料水のペットボトルやインスタントラーメンの袋が散乱する海岸は、伝統社会に流入した現代文明とのひずみを如実に表していた。