大手製紙会社の駐在員としてスラウェシ島の山林などから木材調達にあたった尾崎賢悟さん(五四、千葉市在住)が、インドネシア語を日本語に翻訳する電子辞書を独力で作った。十四年かけて編集した労作の収録語句数は約十四万語。外来用語や略語など時代の変化に対応した「インドネシア語の新聞や雑誌の記事が読める」辞書として公開する。尾崎さんは近くジャカルタに活動の拠点を移し、「日イ両国の架け橋」となることを願って、理想の辞書作りにさらに傾注していくつもりだ。
拓植大学在学中、第二外国語としてインドネシア語を学んだ尾崎さん。卒業後は、インドネシアに行きたくて山陽国策パルプに就職した。
反日暴動「マラリ事件」の翌年の一九七五年、南スラウェシ州に赴任。合併で日本製紙となった後も、九八年から二〇〇〇年までジャカルタ駐在事務所所長を務めた。
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自作のインドネシア語辞書の使い方を説明する尾崎さん
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「現地駐在の七年間を含め、サラリーマン人生の半分以上はインドネシアとともにあった。お世話になったこの国と日本をつなぐ架け橋になりたいと思った」という。
パソコンの辞書作成ソフトと出会ったことなどがきっかけとなり、九〇年ごろから電子辞書の作成に着手。「インドネシア語を知れば知るほど、満足な辞書がないことを痛感した。それなら自分で作ろうと考えた」と振り返る。
以来十四年間、休日を利用してパソコンに向かい、インドネシア語の辞書や新聞などをもとに語句の登録を進めてきた。駐在員時代は、現地スタッフに細かいニュアンスや言い回しを教えてもらった。
〇一年に収録語句数は十万語を超え、まもなく十四万語に達する。既存の辞書では対応できなかった外来語、略語、スラングなど現代用語も網羅する。
尾崎さんの辞書の特徴は、収録語句の多さはもちろん、接頭辞や接尾辞を付けた単語を登録しているところ。
既存の辞書は、主として、接辞をつけた活用形でなく語幹を羅列しているため、さまざまな種類の接辞による語形の変化を覚えないと辞書が引けなかった。
この辞書では直接活用形が検索できるため、「インドネシア語を学習していない人でも簡単に意味を調べられるようになっている」と尾崎さん。
パソコンのほか、モバイル機器に収録すれば、外出先でも気軽に利用できるので、在留邦人の強い味方となりそうだ。
〇三年末から、入力ミスなどのチェックをかねて、新たに品詞や用例集を加える作業に入った。この春で日本製紙を定年退職。四月からジャカルタで第二の人生を送りながら自慢の辞書にさらに磨きをかけていく予定だ。
尾崎さんは「もっとインドネシアを知り、インドネシア人と交流を深める手段として活用してほしい」と話している。