 | 西博士が語る火山大国インドネシア(9) |
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クルート火山の怖さ 火砕流とラハール
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米国スミソニアン博物館は完新世(約一万二千年前から現在まで)における爆発指数(VEI)4以上の火山噴火のカタログを発表しています。
それを用いて、インドネシアの火山で、西暦一五〇〇年以後の過去五百年間にこのカタログに登場する火山を拾い上げてみると、東ジャワのクルート火山が七回登場しています。
これはインドネシアの火山の中では一番多く、次は東ジャワの東端に近いラウング火山で四回となっています。
クルート火山の場合、一五〇〇年から一八〇〇年代までの三百年間に三回でしたが、一九〇〇年代になると百年間に四回発生して活発化しています。
VEI・4の規模の火山活動を分りやすいように、日本でよく知られている噴火の例で探してみると、一九一四年、大正期の桜島の大噴火があります。
この噴火では、桜島の東西の山腹に火口列が生じ、合計約三十億トンの溶岩が流出し、それまで鹿児島湾上の島であった桜島は、大隈半島と陸続きになりました。
ちなみに、一九九〇年の雲仙普賢岳噴火や二〇〇〇年の有珠山噴火は、VEI・2であり、二〇〇〇年の三宅島噴火はVEI・3程度です。
クルート火山では一五八六年にVEI・5の噴火がありましたが、ラハールにより一万人の人命が失われています。
ラハールは国際的に通用するインドネシア語です。大量の火山噴出物が降雨、山頂の氷河の融水、火口湖水等と混合し斜面を流下する、洪水、泥流、土石流等の総称です。
一九一九年のVEI・4の噴火では、ラハールと火砕流により百四の村落が壊滅し五千百十人が亡くなりました。火山局の前身であるインドネシア火山調査所はこの噴火が契機となり、翌年の一九二〇年に設立されています。
クルート火山は山頂に火口湖があるためラハールが起きやすくなっています。 このため一九二六年から山頂火口の西壁にトンネルを掘削し火口湖の水位を下げる工事が始まりました
五一年、六六年、九〇年にはVEI・4の噴火が発生していますが、トンネル排水により火口湖の水位が下がり、泥流が小規模なものになったこともあり、それぞれの死者数は七人、二百十人、〇人で、一九一九年と比べると激減しています。
クルート火山では、ラハールの他に火砕流も発生します。火口湖の水位を下げ、湖水によるラハールについては、発生そのものをコントールすることが可能ですが、火砕流の場合は発生そのものを止めることはできません。
きちんとした観測に基づいて的確な噴火予知を行い、時間的な余裕を持った避難勧告が出せるようになることが必要です。