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2004年11月17日 じゃかるた新聞掲載

西博士が語る火山大国インドネシア(7)
世界最大のカルデラ スマトラ島のトバ湖

 九州熊本県の阿蘇カルデラについて、日本一のカルデラとか、場合によっては世界一のカルデラ、などという説明をご覧になったことがあるのではないでしょうか。
 正確に言うと、阿蘇カルデラは世界一ではありませんし、日本一でもありません。日本一のカルデラは北海道の屈斜路カルデラで二十六×二十キロメートルの大きさです。阿蘇カルデラは二十四×十八キロメートルで第二位の大きさです。
 では、世界一のカルデラは? となると、これがなんとインドネシアのスマトラ島北部のトバ・カルデラ(トバ湖)で大きさは約百×三十キロメートルもあります。
 第二位は米国ワイオミング、アイダホ、モンタナ州にまたがるイエローストーン国立公園内のイエローストーン・カルデラです。
トバ湖−世界最大のカルデラ。ランドサット衛星より(1987年NASA)
トバ湖−世界最大のカルデラ。ランドサット衛星より(1987年NASA)
 このイエローストーンでは、五十万─八十万年ごとに超巨大噴火が起こり、その都度三百─二千五百立方キロメートル以上の軽石や火山灰が放出され、直径二十─五十キロメートル以上の陥没カルデラが出現しています。
 トバ・カルデラの場合は、今から八十四万年、七十万年そして七万四千年前の超巨大噴火によって、カルデラが形成されました。
 特に七万四千年前の噴火は、過去二百万年(第四紀)における最大の噴火でした。この噴火によって二千八百立方キロメートルもの軽石、火山灰が空中に放出され、降灰は中東や中央アジアにまで及んだと考えられています。
 トバ湖から三千百キロメートルも離れたインド洋の深海ボーリングのコアー中にも、このときの火山灰を見ることが出来ます。
 この噴火が生態系に与えた影響は深刻で、人類が経験した最大の噴火でした。地球の気温が五度低下し、世界人口が一万人以下に落ち込んだであろうと考えている人もいるほど恐ろしいものでした。滅多にないことですが(数万─数十万年に一回程度)、この超巨大噴火による生態系への影響は小惑星の衝突と並んで人類に与える大きな脅威と考えられています。
 現在のトバ湖は中央に高さ七百五十メートルの大きなサモシール島があります。これはその後のマグマ貫入によって地盤が隆起したものです。


つづく


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