 | 西博士が語る火山大国インドネシア(4) |
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噴煙でエンジン停止 7千5百メートル降下
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一九八二年六月、ジャワ島上空高度一万一千メートルを航行中の英国航空B─747ジャンボジェット機が、西ジャワ州のガルングン火山の噴煙と遭遇し、四基のエンジンがすべて停止し七千五百メートルも降下するという事故が起きました。
降下中に高度が下がり、気圧が上昇したせいか、幸い二基のエンジンの再始動に成功し、ジャカルタの空港に緊急着陸しました。これが、火山灰によって航空機が致命的な損傷を受けることが分かった最初の事件です。
その後、八六年に、米国アラスカ州のリダウト火山の噴煙によりオランダ航空機のエンジンが一時停止し、事故寸前に至っています。
これらは噴煙に含まれる火山灰粒子がエンジンの高熱で溶けてガラス化し、ノズルなどの目詰まりを引き起こすためです。全エンジン停止という重大事態はこれまでに三件生じています。火山灰はエンジン停止あるいは推力低下などを引き起こすほかに、操縦席の窓ガラスを破損、あるいは擦りガラス状にして視界不良による航行困難を引き起こしたりします。
その他、速度計の誤指示、電子機器、空調機器の機能障害等も引き起こします。
このため国際民間航空機関(ICAO)は各地に航空路火山灰情報センター(VAAC)を設置しました。VAACは、各国の火山観測所の火山噴火情報、パイロットからの噴火情報、気象衛星の映像などから火山灰の実況や拡散予測を発表し注意を呼び掛けます。
VACCは現在世界に九カ所設置されています。インドネシアの上空はオーストラリアのダーウィンVAACが担当しています。
インドネシアには百二十九もの活火山がひしめいていますが、その上空は重要な航空路になっています。このため、VAACはインドネシアの火山情報を必要としています。
いま、火山局は老朽化した観測機器の更新と衛星回線を使用しての観測データ伝送を計画していることは前に述べましたが、この計画に関して適切な助言をすることが、私の火山局における活動の一つです。
火山観測網が整備され、早期に精度の高い火山情報が発信できるようになることは航空路の安全にも繋がります。
火山灰は飛行場にも深刻な影響を与えます。外国の例ですが、フィリピンのピナツボ火山、九一年の噴火では米軍のクラーク基地が閉鎖され、パプアニューギニアでは九四年にタブルブル火山の火山灰により、ラバウル国際空港が放棄されました。