今年六月八日午後三時、東ジャワ州プロボリンゴ県のブロモ火山が四年ぶりに噴火し、観光客二人が死亡、七人が重軽傷を負う惨事が起きました。
当時、活動レベルはIで特に警報は出ていませんでした。そのため、日本ではあまりないことですが、現地の観測員らが警察の事情聴取を受けています。
どうして警報が出せなかったのかというと、当時、地震計テレメータの動作が不安定で、シグナルが地動によるものか、テレメータからのノイズによるものかの判定がつきかねていたからです。使用している地震計システムは老朽化が進み動作が不安定なものでした。
噴火が起きたときも、観測員の一人はカルデラに降りて、砂漠の中を地震計点検のために観測点に向かっていました。
では、観測システムに問題がなければ警報が出せていたかと言うと必ずしもそうとは言い切れません。
観測員は現地採用の職員であり、火山学の知識が十分でなく、火山性地震や微動の記録を見てもそれが噴火につながるかどうかの判断がいつもできるとは限りません。
火山局は一日二回、観測員からの報告を無線電話で受け、この資料を基に火山活動状況を判断し、警報を出しています。
つまり観測員の目を通して判断している訳で、現地の地震計がどのようなシグナルを発していても、観測員の能力以上の情報は伝わりません。
従って、前兆現象が出ていても火山局がそれを認識するとは限らないわけです。
火山活動を監視する際に障害となる観測機器の老朽化や観測員の火山学上の能力の問題は、今、火山局が計画している観測システムが実現すれば解決されます。
火山局はジャワ島とバリ島の特に活発な九火山を選んで観測機器を更新し、衛星通信回線を使って観測データを火山局のあるバンドンへ直接伝送する計画を立てています。バンドンでは火山の専門家がこの記録を見て活動度判定の資料を作成します。
これが実現していて、数年の経験を経た後であれば、今回のブロモ火山噴火のような悲劇は起きなかったものと考えられます。この計画には多額の経費が必要で火山局は外国の援助を当てにしています。
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今年6月8日のブロモ山噴火(噴火開始から約9分後の様子、右側の台形の山は約400年前に活動したバトク火山=西さん撮影)
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