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2004年10月25日 じゃかるた新聞掲載

急進派FPIがバー破壊 外国人で賑わうクマン通り
 飛び散る酒、ガラス破片 警官発砲、チンピラ抵抗

 毎年、ラマダン(断食月)になると、歓楽街を襲撃する急進派組織・イスラム擁護戦線(FPI)が、ジャカルタで活動を活発化している。週末の二十二日夜、外国人客が多い南ジャカルタのクマン地区のバーを襲い、店内をめちゃくちゃに破壊した。同地区を警備するプレマン(チンピラ)や警官が、白装束に身を包んだFPIメンバーに立ちはだかり、一時にらみ合ったが、予定していたブロックM襲撃は中止し、「われわれは巡回活動を続ける」と言い残して姿を消した。

 二十二日午後十一時半ごろ、ピックアップ・トラックやオートバイに分乗したFPIのメンバー約三百人が、外国人居住地に近いクマン地区に現れた。
 「この店だ!」−クマン・ラヤ通りの南端に差しかかったFPIメンバーが叫ぶ。ゴルフクラブや鉄棒を持った白装束の若者たちが、トラックから一斉に飛び降り、いつもは外国人客で賑わうバー「スター・デリ」を襲った。
 攻撃隊長が「お前たちが店を開いているのは分かっている。出てこないなら全部ぶち壊すぞ」と叫んだ。だが、店内は静まり返ったままで返事がない。
壁掛けを引きはがし、床にたたきつけるメンバー
壁掛けを引きはがし、床にたたきつけるメンバー
 メンバーたちは「アッラー・アクバル」と叫んで気勢を上げ、シャッターとドアをこじ開け、店内になだれ込んだ。カウンターを登り、ウィスキーのボトルや鏡を床にたたきつける。割れたボトルからウィスキーが溢れ、ガラスの破片が床一面に飛び散った。

■私服警官が威かく射撃

 メンバーたちはマクドナルド前の交差点方向へ。これを阻止しようと、飲食店の警備に当たる地元のプレマンたちがベンチでバリケードを築き、FPIに襲いかかった。
 その瞬間、「パーン、パーン」と銃声が鳴り響いた。待機していた車から私服警官が飛び出し、ピストルを空中に向けて威かく射撃。「アッラー・アクバル」の叫びと銃声が交互に響きわたる。ひるんだFPIメンバーは、いったん後退したが、今度はトラックやオートバイに乗って反撃、脇道に逃げ込んだプレマンや私服警官を追いかけた。 
 FPIがマクドナルド前交差点まで来たところで、国家麻薬委員会(BNN)の捜査官が現れ、「麻薬と飲酒の取り締まりは警察がやっている。違法営業には厳重措置を取る」と説得。FPIは、当初襲撃を予定していたブロックMには立ち寄らずに退散した。

■「警察と経営者がグル」

 風俗営業地区の巡回作戦を指揮するFPI本部のイルワン・アルシディ氏(三四)は「警察は裏金を徴収し、ラマダン中のアルコール飲料の販売禁止を定めた条例に違反する店を保護している。われわれが監視しなければ、有名無実の条例となってしまう」と話す。
 裏金で違法行為を見逃す警察と経営者に対する怒りが、血気盛んな若者らを襲撃にかき立てる。イルワン氏は「片っ端から襲撃しているわけではない。店だけでなく、隣組、町役場、警察などにも警告書を送り、それでも営業を続けている場合、最後の手段として店に標的を絞って破壊している」とFPIの活動を正当化した。
 FPIはこの日、クマン地区に先立って、テベットやパサール・ミングの商店街を巡回した。「指令に従え」と指導者が叫んでも、興奮したメンバーは道端でトランプを楽しんでいた住民に襲いかかった。カードを取り上げ、いすをけり飛ばしたり、屋台で売られているアルコール飲料のビンを引きずり出し、たたき割った。

■暴力はイスラムに反する

 二〇〇二年、別のイスラム急進派組織に襲撃されたことがあるクマンのカフェ「パシール・プティ」のマネジャー、アチュ・ディラガ氏は「警察は襲撃を放置している」と述べ、暴力集団と警察の癒着がこうした暴力行為を助長していると指摘。「私もイスラム教徒だ。ラマダン中、バンドの生演奏や酒類の販売をやめているが、急進派の襲撃自体がイスラムに反する行為だ」と非難した。

■発足に軍・警察が関与

 FPIはスハルト政権崩壊後の一九九八年十月、特別国民協議会を目前に控え、学生デモを阻止するために旗揚げされた。創立には、ヌグロホ・ジャユスマン警視総監(当時)やウィラント国軍司令官(同)も関与したと言われている。イスラム法導入を標榜し、賭博や売春の巣窟として、ディスコやバーなど娯楽施設を襲撃、近年の反米デモも活発に行ってきた。

■扇動罪で引き締める

 しかし、バリ島爆弾テロ事件以降、ハビブ・リジックFPI代表を逮捕、扇動罪で禁固刑が下されるなど、メガワティ政権は急進派組織の取り締まりに乗り出した。
 ユドヨノ新政権のウィドド政治・法務・治安担当調整相も二十四日、FPIのクマン地区襲撃について治安担当閣議で協議。しかし、イスラム勢力に対する政治的な思惑や、歓楽街の監視を理由に不正徴収を繰り返す警官の規律の乱れなど、さまざまな問題が指摘されており、ユドヨノ大統領の実行力が問われそうだ。



2004年10月27日 じゃかるた新聞掲載

歓楽街襲撃は一時中止 急進派FPI隊長語る
 ブロックM「対象外」

 ラマダン(断食月)中の営業規制に違反する娯楽施設を襲撃している白装束のイスラム急進派組織、イスラム擁護戦線(FPI)のアルウィ・ウスマン特別部隊長は二十六日、二十二日夜の南ジャカルタ・クマンのバー襲撃事件を受け、巡回作戦を一時休止すると明らかにした。政府は急進派の巡回活動の取り締まりを強化する方針を示し、イスラム指導者からもFPIの暴力行為に批判が続出していた。

「ブロックMのような商業地区は慎重に対処する」と語るアルウィ隊長
「ブロックMのような商業地区は慎重に対処する」と語るアルウィ隊長
 アルウィ氏は「襲撃後にジャカルタ警視庁幹部と会談した。夜の集団礼拝は各地で継続するが、歓楽街の巡回はいったん休止すると伝えた」と述べ、違法営業とみられる店の監視は当面、警察当局に任せるとの意向を示した。
 クマンのバー襲撃事件について、アルウィ氏は「違法営業を続けているバーを放置することはできない。警察も裏金を徴収し、経営者と結託しており、むしろ周辺のインドネシア人住民はFPIの活動を支持している」と主張。飲食店を警備するプレマン(チンピラ)と衝突したが、「雇われたプレマンは住民ではなく部外者。彼らが襲いかかってこなければ、騒ぎは広がらなかった」と述べた。 

■商店略奪波及を懸念

 外国人居住地のクマンが標的となったことで、ブロックMなど外国人が集まる他の歓楽街でも不安が広がっていることについて、アルウィ氏は「ブロックMで違法営業が行われていることは知っている。しかし、ブロックMの娯楽施設や飲食店は広大な商業地区に点在しており、三百人程度のメンバーが巡回してもカバーできない。商店への略奪行為などが誘発される恐れもある」と語り、条令に違法している店もあることを認知しているものの、あえて襲撃対象から外しているとの考えを明らかにした。
 首都圏在住の外国人に対し、「飲酒は条例でホテル内だけと制限されている。一年のうち、ラマダンの一カ月だけは静粛に過ごすことができるよう、イスラム教徒に配慮してほしい」と述べ、「賭博や麻薬、売買春といった娯楽施設で公然と行われている犯罪行為は、一般市民にも広がり、幼児をはじめとする多くの未成年者を巻き込んでいる。ラマダンをこのようなインドネシア社会の実態に目を向けるきっかけにしてほしい」と呼び掛けた。





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