インドネシアでデング熱が記録的な猛威を振るっており、ジャカルタ在住の外国人駐在員の入院患者も報告されている。熱帯特有の感染症にかかるのを防ぐため、在留邦人はどのような対策を講じれば良いのか。在インドネシア日本大使館の栗田実・医務官に話を聞いた。
◆デング熱が流行する背景は何でしょう
──デング(ウイルス)が土着するための条件は、(1)デング熱患者の移動(2)患者や蚊の増殖に対する対応がない状況(3)ウイルスを媒介する蚊が生息しやすい環境─の三点です。
ジャカルタの現状は、(1)非常に雨が多く水たまりができやすい(2)蚊の増殖に対する行政対策が過去に取られていない(3)ごみ放置が非常に多い(4)不衛生な環境で多くの低所得者が生活している─で、流行の条件と一致し、ウイルスが繁殖しても不思議ではない。
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デング熱流行で在留邦人に注意を呼び掛ける栗田医務官
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◆今年に入ってのデング熱の国内感染者はすでに約二万人に達しています。これほどの大流行に至った原因は何でしょうか
──感染症はある時点で爆発的に増加するのが一般的。保健省の統計によると、毎年十万人当たり十人程度がデング熱に罹患(りかん)した。二〇〇三年の感染者数は約五万人。この数字は、過去の統計に当てはめると十万人当たり約二倍の二十三人が感染したことになる。(感染者数は)放物線を描いて増加しており、これまでの平均値を超える規模になった。
月ごとの比較では、例年二─六月で一年分の感染者が出ている。八─十一月はほとんど患者が出ないのが普通だが、昨年八月以降、外国人の入院患者も途絶えなかった。年末以降はさらに増えるのではないか、という話が医療関係者の間で出ていた。
ただ、その要因については、人の移動もあれば、ウイルスの変異説もある。環境問題や気候問題もあり、断定はできない。
◆在留邦人が取るべき具体的な予防策は
──第一に、蚊を家の中に入れないこと。窓や戸は必要のないときは閉める。掃除のときの閉め忘れも注意する。車についても同様で、蚊がいないことを確認して乗車し、不必要に窓を開けないこと。
二番目に、蚊に刺されないようにすること。屋内の蚊は徹底的に駆除し、心配であれば蚊帳(かや)に入るのが良いでしょう。
最後に、蚊を増やさないための対策として、(1)庭やバルコニーを含めた家の中に水たまりをつくらない(2)植木鉢や空き缶を放置しない(3)家の中のごみをきちんと捨て整理整とんを心掛ける─が挙げられる。
また、(1)スラムが近い(2)近隣に建築現場がある(3)近隣にごみが放置されている─などの住環境の人は注意が必要。特に一軒屋、長屋、アパートメントの低層階に住んでいる人は注意を。
万一、感染した場合、完全に熱が下がって血小板数が正常に戻るまで入院するか、それに準じた対応を取り、家庭内感染を防止すること。また、デング熱に感染した経歴がある人、ほかの病気に感染している人、高齢者、乳幼児が感染した場合は特に注意が必要。
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デング熱の感染予防策
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蚊を屋内に入れない
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・窓や戸の戸締りを徹底 ・大きな通風孔にも注意
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蚊に刺されない
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・蚊を見つけたらすぐに駆除する
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蚊を増やさない
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・家の中に水たまりを作らない ・植木鉢や空き缶を放置しない ・ごみや食べ残しはきちんと片付ける
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ただ、ここ三、四年に限った話では、外国人の駐在員がデング熱に感染して死亡した例はないと聞いている。きちんとした対策を講じれば、外国人が死に至る可能性は極めて低い。
◆インドネシア政府は適切な対策を講じていますか
──患者の増加を認め、きちんとメディアに広報した点を一番評価している。患者が病院へ行きやすい環境をつくり、病院の敷居を下げたという点、蚊の駆除などの対策を始めた点も大事。
病院に入った患者数を政府が把握し、その上で地域ごとの対策が講じることができるように機能させることが重要だ。
■ネッタイシマカ媒介に感染
デングウイルスは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属するウイルスで、ネッタイシマカ(一部ヒトスジシマカ)などの蚊を媒介に感染する。
蚊に刺されて約一週間後、頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛、関節痛、倦怠感とともに突然の発熱がある。一週間以内に治癒するケースが多いが、特に再感染の場合、デング出血熱という重症型になることがある。
デングウイルスには四種の血清型があり、インドネシアでは3型のウイルスが最も多いが、保健省は現在、遺伝子が変形した新種ウイルスが発生した可能性が高いとみて調査を続けている。