ホーム
2005年7月5日 じゃかるた新聞掲載

石油不足が深刻化 ジャカルタにも波及

 国内の石油燃料不足が深刻化している。地方から始まった燃料不足はジャカルタにも波及、市内では四日、プレミウム・ガソリンなどが売り切れになるガソリンスタンドも現れた。産油国であるインドネシアの国民はこれまで、国際価格をはるかに下回る低価格の石油燃料を享受してきたが、近年、新規油田開発や製油所の不足などにより輸入量が増大。国際原油価格の高騰が、補助金で国内販売価格を固定している政府の財政を悪化させており、補助金の削減が急務となっている。そのため、政府は今年三月に値上げを実施したが、さらなる価格引き上げは社会情勢悪化も招きかねないだけに、苦しい舵取りを迫られている。

朝から長い行列ができたテンデアンのガソリンスタンド
朝から長い行列ができたテンデアンのガソリンスタンド
 国営アンタラ通信によると、ユドヨノ大統領は四日、訪問先の東ジャワ州バトゥ市で「補助金が膨大な金額になるため、(原油)価格が上がるたびに心配になる。国会と政府の間では、今年の補助金を七十八兆ルピアに定めたが、このままでは百三十兆ルピアにも達する勢いだ」と懸念を表明した。
 石油・ガス公社プルタミナのアバディ・プルナマ広報局長は四日、「政府が定めた割り当てを超えているため、ジャカルタでの供給を調整している」と述べ、供給量を制限していることを明らかにした。同局長によると、今年一─五月、ジャカルタの供給量は、政府の割り当てを一〇・八%上回った。

■供給量を制限中

 補助金供与の関係から、政府は今年、プルタミナの石油燃料供給量を五千九百六十九万キロリットルと定めている。これを超えた分については、プルタミナが国際価格との価格差を負担しなければならないため、やむを得ない措置だと説明している。

■給油に30分、ガソリンスタンドに車列

 首都ジャカルタでは、四日朝から多くのガソリンスタンドで「マアフ・プレミウム・ハビス」(プレミウム・ガソリン売り切れ)の看板が掲げられ、ストックが残っている一部のガソリンスタンドで給油を待つ車の長い列ができた。

■市内3カ所を回るも

 プレミウムの販売を続けた南ジャカルタ・テンデアンのガソリンスタンドは、殺到する車を制限するため、入り口を一つにして対処。しかし、通常一日当たり約百三十キロリットル供給されるプレミウムが十一キロリットルしか届かず、四つある給油ポンプのうち二つしか稼動させなかったため、朝のラッシュ時には行列が約百メートルに達した。
 三十分以上待ち続けた会社員のアディさん(四〇)は「市内三カ所のスタンドを回ったが、いずれもプレミウムが売り切れでこのスタンドにたどり着いた。市民生活に影響を与える前に政府はきちんと説明すべきだった」と話す。

■スタンド探しに大騒ぎ

 運転手の多くはプレミウムが残るスタンド探しを強いられたが、値段がプレミウムの倍近いプルタマックスを数リットル給油し、騒ぎが収まるまで様子を見る運転手もいた。
 ガソリンスタンドのマネジャー、ラシンさんは「プルタミナから具体的な説明もないまま供給量を減らされた。午後に七十二キロリットルの供給を受けたが、今後の供給量は不透明なまま。客にもガソリンの節約を呼び掛けている」と語った。

■地方もガソリン不足

 地方でもプレミウムが不足し、スタンドに行列ができる地域が拡大している。
 先月末以降、南スラウェシ州などでガソリン不足が表面化していたが、四日、西ジャワ州北部、ジョクジャカルタ、スマラン、東ヌサトゥンガラ州クパン、南スマトラ州パレンバンでもプレミウムが売り切れるスタンドが相次いだ。
 東ジャワ州スラバヤ、南スラウェシ州ゴワ県、マルク州ブル島、パレンバンなどでは、灯油も品薄になっており、灯油販売所に住民が殺到。
 灯油の販売価格も高騰しており、住民の間では買いだめを進める動きが出ている。


石油供給量増加を要請 国民に節約求める
 補助金増で財政悪化へ ユドヨノ大統領

 石油・ガス公社プルタミナが実施している供給制限に伴い、全国各地で石油燃料の不足が深刻化している問題で、ユドヨノ大統領は五と六の両日、閣議を開き、国家予算で定めた補助金を増額し、国内の供給量を安定させるよう担当閣僚に要請した。大統領は国民に対し、パニックを起こさず、石油燃料や電力の節約に務めるよう訴えた。削減が急務となっていた補助金を増額することで、政府の財政悪化は避けられない。

国民に石油燃料の節約を訴えるユドヨノ大統領
国民に石油燃料の節約を訴えるユドヨノ大統領

■国民は冷静に対処を

 ユドヨノ大統領は六日、ユスフ・カラ副大統領ら経済閣僚、国会・国民協議会・地方代表議会議長、中銀総裁、国軍・警察司令官らを召集した会議後の記者会見で、「政府は石油燃料の供給量を増加させており、国民は必要以上にパニックに陥らないでほしい」と述べ、各地で買いだめを始めた国民に対し、冷静に対処するよう求めた。
 今後の方針については「インドネシアはこれまでエネルギーの節約に関心を払わず、浪費していた。節約を良しとする文化を構築しなければならない」と述べ、政府・国民が一体となって石油燃料、電力を節約するための具体的な指針を近日中に発表する意向を表明。
 また、先月末、石油燃料を密輸出しようとした中国船籍のタンカーが摘発されるなど、国内で暗躍する密輸組織の摘発に全力を尽くす考えを示した。

■消費に応じた供給を

 プルノモ・ユスギアントロ鉱業エネルギー相は五日に開かれた限定閣議後、消費量に応じた石油燃料の安定供給を行うべく、国家財政の能力に応じた政府補助金の追加額を検討していると明らかにした。
 国会と政府は今年の補助金を七十八兆ルピア、プルタミナの石油燃料供給量を五千九百六十九万キロリットルに設定。国際原油価格が一バレル六十ドル、五月までの時点で政府が定めた供給量を一〇%上回っている国内消費量がこのまま増加した場合、補助金が百五十兆ルピアを超え、国家予算の四分の一以上に達する見込み。

■備蓄量も回復

 同相は、具体的な補助金追加額について明らかにしなかったが、「当初定めた供給量を超えた場合、政府は補助金の追加に責任を持つ」と発言。プルタミナも、補助金追加の保障ができたとして、毎週末に供給制限を続ける計画を撤回する方針を示した。
 プルノモ・エネルギー相はこのほか、十七・五日分まで低下していた国内の石油燃料備蓄量が五日までに十八・三日分まで回復したことを明らかにし、通常レベルの二十二日分を目指し、今月末までに二十・八日分まで回復させる意向を示した。
 スマトラ南部ではプレミウム・ガソリンを買う車列が二キロ以上に達し、東ヌサトゥンガラ州では一リットル当たり二千四百ルピアのプレミウムが同一万ルピアに上昇しており、政府の対応が遅れれば、治安が悪化する地域も出てきそうだ。

◇脆弱な石油供給体制

 インドネシアは石油燃料の国内販売価格を固定させるため、補助金の総額に応じた供給量を定めている。これを超えた分についてはプルタミナが国際価格との価格差を負担しなければならない。今回は、国際原油価格の高騰に伴い、キャッシュフロー(現金収支)が悪化したプルタミナが、事実上、供給量を制限した形となったが、国内消費量の増大や、石油精製所の故障に伴う輸入増、タンカーの故障や老朽化に伴う国内輸送の遅れ、交通網の不備による乗用車数の急増でガソリン消費が増えた。石油供給不安定の背景には、密輸組織の暗躍などさまざまな要因もあり、供給体制のぜい弱さを露呈した。





ホーム | この一週間の紙面
 Copyright © 2005 PT. BINA KOMUNIKA ASIATAMA, BYSCH
 All Rights Reserved.