イスラム過激派摘発へ バアシル氏に召喚状 国家警察
イスラム共同体の実態解明
バリ島爆弾テロ事件の捜査の法的根拠を固めるため、政府は十八日にも、テロ取り締まりの緊急政令を公布する。スシロ・バンバン・ユドヨノ政治・治安担当調整相は十七日、米国から帰国した国家警察・国家情報庁捜査チームの報告を受け、アルカイダと連携した東南アジアのイスラム地下組織「イスラム共同体」(ジェマ・イスラミア、JI)に、インドネシア人が関与していたことを正式に認め、国内のイスラム過激派の摘発に乗り出すことを示唆した。米国の反テロキャンペーンに押し切られた治安当局は、バリ島事件との関連を解明しないまま、イスラム共同体の精神的指導者とされる中部ジャワ州ソロ在住のアブ・バカル・バアシル氏(六四)に対し、一両日中に、何らかの法的措置を取る構えを見せている。
ユドヨノ調整相は十七日、バリ島で記者会見し、「捜査チームが米国から前夜帰国し、捜査結果を国家警察長官に報告した」と述べた。
捜査班は今年六月五日、ボゴール近郊で逮捕され、米国で拘留されているアルカイダ東南アジア地区幹部のクウェート人、オマル・アルファルク容疑者(三一)を取り調べた。
米中央情報局(CIA)がまとめ、タイム紙などで報道されたアルファルク容疑者の自供内容を、国家警察が直接尋問して確認をとったもので、捜査チームによると、アルファルク容疑者は、「アルカイダの一員としてインドネシア国内で、さままざまのテロ活動を指揮していた。(バリ島事件で米国、豪州が逮捕を求める)バアシル氏のこともよく知っている」と供述したという。
アルファルク容疑者が、バアシル氏の支援を得て国内で活動し、米大使館爆破やメガワティ大統領の暗殺を計画していたとのCIA情報を、九月、タイム誌が大々的に報道。「国内にテロリストはいない」として、米国の反テロキャンペーンに抵抗してきたインドネシアの世論を揺り動かした。
ユドヨノ調整相は、「バアシル氏ら三人のインドネシア人が、マレーシアやシンガポールでイスラム共同体の活動を率いていた事実をつかんでいる」とした上で、「諸外国は(バアシル氏が指導する)イスラム共同体を国際テロ組織と特定している。もしインドネシア人がテロ行為に関与していれば、だれであれ、しかるべき措置を取る」と述べた。
バアシル氏は十六日ジャカルタ入りし、十七日、タイム誌を訴えた名誉棄損訴訟事件に関し、国家警察から事情聴取を受ける予定だったが、「殺到する外国メディアの取材に応じたため、体調が不良だ」として、姿を現さなかった。
しかし、同日午後、市内のホテルで開かれたセミナーに電話で参加し、アルファルク容疑者との関係や、バリ島爆弾テロ事件への関与を一切否定、「いつでも、どこでも警察の事情聴取に応じ、無実を証明する用意がある」と述べた。
ページのトップに戻る「拘束されるだろう」 バアシル氏
国家警察のサレ・サアフ報道局長は十七日夜、「アブ・バカル・バアシル氏に事情聴取のため、十九日に出頭するよう求めた」と語った。
国家警察は、米国が拘留中のアルカイダの東南アジア地区幹部のクウェート人、オマル・アルファルク容疑者から得た証言について、バアシル氏から聴取するとしている。
中部ジャワ州ソロの本拠地に戻ったバアシル氏は、同夜、記者団に「警察から召喚状を受け取った。恐らく拘束されるだろう」と述べた。
ページのトップに戻るアルカイダ活動を確認 テロ取締へ報告書提出
米派遣捜査班
国家警察のサレ・サアフ報道局長は十七日、米国に派遣していた捜査チームがアルカイダの東南アジア地区幹部のオマル・アルファルク容疑者(三一)を取り調べた結果、「アルカイダの一員としてインドネシアで活動し、メガワティ大統領の暗殺を計画したほか、一九九九年四月にジャカルタで起きたイスティクラル寺院爆破事件や二〇〇〇年のクリスマスイブの教会爆破事件に関与したことを認めた」と語った。
国家警察のアルヤント・スプヤディ刑事局長ら、警察と国家情報庁(BIN)の捜査班は、先週米国入りし、同国が身柄を拘束しているアルファルク容疑者を事情聴取、十六日夜に帰国し、国家警察長官に報告書を提出した。
サアフ報道局長は、同容疑者の供述に基づき、インドネシア国内に潜伏している十三人の協力者を取り調べる方針を示したが、「証拠を隠滅されたくない」と述べ、詳細は明らかにしなかった。同容疑者は、キリスト教徒とイスラム勢力が血みどろの殺し合いを繰り返したマルクやポソの住民紛争にも関与していたという。
ダイ・バクティアル国家警察長官は同日、「アルファルク容疑者は、(バリ島テロ事件でクローズアップされた)アブ・バカル・バアシル氏とも面識があった」と語った。
同容疑者は、米中央情報局(CIA)の情報に基づき、インドネシアの治安当局が今年六月五日、ボゴール近郊の自宅で逮捕。米タイム誌は、同容疑者がバアシル氏らの支援を受け、東南アジア各国の米国大使館の爆破テロを計画していたと報じていた。
ページのトップに戻るきょう、緊急政令を公布
ユスリル・イフザ・マヘンドラ法務人権相は十七日、「政府は十八日にも、対テロ緊急政令を公布する予定だ」と語った。
テロ取り締まりの緊急政令は、テロ対策法の成立までの暫定措置。テロ関与の明確な証拠がなくても、諜報機関の情報などを 基に、予防拘束することが可能になる。
同日、政府は、国会の代表とテロ対策強化について協議した。バリ島爆弾テロ事件で、緊急に必要となったテロ対策のための緊急措置を、国会側も承認した。
ページのトップに戻るFPI代表を逮捕 娯楽施設襲撃の扇動容疑 警視庁
ジャカルタ警視庁のアントン・バフルル・アラム報道局長は十六日夜、「イスラム擁護戦線」(FPI)による娯楽施設襲撃事件を扇動したとして事情聴取していたハビブ・リジク代表を逮捕したと発表した。
アントン報道局長は「十四時間の取り調べで約三十の質問をした。その結果、扇動罪に当たる十分な証拠を得たため、逮捕に踏み切った」と語った。バリ島爆弾テロ事件に絡み、急進派イスラム勢力を捜査するよう圧力があったのかとの問いには「そのようなことはない」と否定した。
ハビブ代表は、逮捕理由が不明瞭などとして調書への署名を拒否した。刑法二十一条で規定されている扇動罪違反は、最高で禁固六年の刑に処せられる。
FPIは今月四日、ジャカルタの娯楽施設を急襲。度重なる襲撃事件に対し、厳しく取り締まるべきとの声が高まっていた。
ページのトップに戻る豪首相バリ訪問 追悼式典に出席
豪州のハワード首相は十七日午後、犠牲となった豪州人観光客の追悼式に出席するため、バリ島を訪問した。空港でスシロ・バンバン・ユドヨノ政治・治安担当調整相やデワ・ベラサ・バリ州知事らの出迎えを受けた後、デンパサールの豪総領事館に直行、同館前で開かれた式典に出席した。
豪州政府は十七日、「豪州人と豪州の権益に対する新たなテロ情報を得た」として、インドネシアに滞在する豪州人に退避を勧告した。
ページのトップに戻る死者は184人へ
爆弾テロの負傷者を収容している州立サンラ病院は十七日、入院中の重傷者三人が、前夜から相次いで死亡したため、事件に巻き込まれて死亡した人は、百八十四人となったと明らかにした。負傷者は三百二十八人に上るとしている。
また、同病院で行われている遺体の身元確認作業の結果、同日夜までに、豪州人十二人、インドネシア人十人、英国人九人、シンガポール人三人、米国人二人、仏、独、エクアドル、ニュージーランド、韓国、スイスの出身者各一人計四十二人の身元が判明。日本人の死者は確認されていない。
バリ島入りした警察庁の国際テロ緊急展開チーム(TRT)のDNA鑑定の専門家らは十七日、難航する身元確認を支援する活動を開始した。十八日午前にも、活動の経過を公表するとしている。
ページのトップに戻る「テロと断固戦う」 宗教各派が追悼集会
ホテル・インドネシア前
バリ島爆弾テロ事件から五日たった十七日夜、中央ジャカルタのホテル・インドネシア前で犠牲者の追悼集会が開かれた。
ホテル前のロータリーには、市民や学生、非政府組織(NGO)のメンバーら数百人が、ろうそくや花を手に集まった。
宗教や民族の対立を越え、共に祈り、連帯しようと、イスラム、カトリック、仏教の宗教団体や市民団体など六十団体が参加する組織「反暴力連帯行動」(SIMAK)が呼びかけた。
イスラム、ヒンズー、儒教、仏教、プロテスタント、カトリックの代表が一人ずつ祈りを捧げ、参加者は、ろうそくを手に黙祷した。
反暴力連帯行動の代表は「いまの政府にテロを防ぐ能力はない」とメガワティ政権を非難。犯人逮捕のためテロ対策法を早急に施行するよう要求した。
「もう暴力はたくさんだ」と書かれた横断幕を掲げて行進、噴水の周りに、追悼のろうそくを灯した。
会社帰りに参加したというデシさん(二八)は「悲劇がもう二度と起こらないようにと祈った。宗教を超えて団結し、卑劣なテロとは断固戦う」と語った。
ページのトップに戻る打撃受ける経済 日本に支援要請 CGI延期で政府
恒例のインドネシア支援国会合(CGI)が延期されたため、経済閣僚は十七日、国会代表と今後の経済政策などについて協議した。ブディオノ蔵相は、主要支援国・機関である世銀、アジア開発銀行、日本政府に対し、協力関係を一層深めるためのロビー活動を行うとの方針を明らかにした。
蔵相は「十一月初めには個々に会合を行う予定。日程を早めることも検討している」と述べた。
一方で、国会特別予算委員会のパスカ・スゼッタ議員は同日、事件で破壊されたバリの施設修復などの資金確保に向け、インドネシアの最大の支援国である日本政府へ支援を要請するとの見通しを示した。
ページのトップに戻る金融市場は平穏 1ドル9015ルピア
十七日のジャカルタ外国為替市場は、今週初めのパニック売りで急落したルピアが対ドルで若干の上昇を記録した。
一ドル九〇二〇付近で取引を開始したルピアは、市場が平静を取り戻したことから取引量も低調に留まり、午後四時、一ドル九〇一五ルピアで大方の取引を終えた。
日系銀行の為替ディーラーは「インドネシア支援国会合延期はあまり、市場に影響を及ぼさなかった。市場は閑散としていたが、また爆弾事件が起こるようなことになれば、敏感に反応するだろう。経済への影響については二−三カ月後にじわじわ出てくるのでは」と分析している。
ジャカルタ株式市場の総合株価指数は十七日、前日比マイナス二・二七二ポイントの三五五・一〇五ルピアで取引を終えた。
ページのトップに戻る民主党旗揚げ ユドヨノ氏を 大統領候補に
スシロ・バンバン・ユドヨノ政治・治安担当調整相の大統領擁立を目指し、昨年九月に設立を決めた新党「民主党」が十七日、正式に旗揚げした。
初代党首となったブディ・サントソ・インドネシア大学政治社会学部教授は、「国民が直面する難題を平和的、民主的に解決できるのはユドヨノ氏と判断した」とユドヨノ氏の擁立を強調。全国に二百二十の支部を設立したことを明らかにした。
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■「犯行声明」のメール?
ジャカルタのマスコミ各社に、17日、ジェマ・イスラミア(JI)を名乗る者から、爆弾事件の「犯行声明」を装ったいたずらメールが送られていたことが分かった。直接バリの爆弾事件には言及せず、「アッラーの部隊が待ち受けているということを知らしめるため」とだけ言及している。調べによると、このメールは、中央ジャカルタのサリナ・デパート2階のワルネットで、legiankuta2002@yahoo.comのアドレスから送信。メディアのほか、さまざまなメーリングリストにも配信されていたという。(ドゥティックコム)
■厳重警戒の国会に空き巣
17日早朝、24時間体制で警備中の国会内のヌサンタラ第2ビル3階にある政党法案審議特別事務局に空き巣が侵入した。犯人は、特別事務局の窓に直径50センチの穴を開け、中に侵入。同事務局内は書類が散乱し、荒らされたものの、盗まれたものはなにもなかった。(ドゥティックコム)
■コンサート続々キャンセル
バリ島テロ事件の影響で、渡航延期勧告が出されたため、年末までに予定されていたロック・グループ「デフ・レパード」とロックギタリスト「イングウェイ・マルムスティーン」のジャカルタ公演の延期が決まった。また、ジャズ・ミュージシャン「ジョージ・ベンソン」の公演もキャンセルが発表された。(コンパス)