2002年10月17日(木) 第1181号 主要ニュース全文
「テロは警告されていた」 NYタイムズ紙が暴露
 前日に米大使が最終通告 大統領に対策の決断迫る
爆薬RDXを検出 空軍中佐を事情聴取 バリ州警察
政府、テロ摘発に緊急政令 予防拘束が可能に
豪政府が懸賞金 情報提供者に1・4億円
安否問い合わせ119件 身元確認作業が大詰め
警察チーム7人到着 鑑識捜査に技術協力
岩野警部補も参加 テロ現場の鑑識捜査
「個人の裁量に任せる」 米大使が駐在員に
 国外退避要請の判断
再び爆弾予告電話 スカイラインビル
急進派4人を逮捕 マレーシア警察
解散した聖戦部隊 テロとの関連否定
閑古鳥が鳴くビーチ 経済への影響じわり
 飲食店ではリストラ 
支援国会合を延期 テロ事件の影響を見直し
輸出減少など懸念 JJC経済情勢懇談会
断食月は営業規制 ブロックMなど娯楽店
娯楽店襲撃事件に絡み FPI代表を事情聴取 警視庁
売春、賭博施設 15カ所を閉鎖 ジャカルタ
ビザ料金100ドルに 米国
フラッシュ・ニュース


「テロは警告されていた」 NYタイムズ紙が暴露
 前日に米大使が最終通告 大統領に対策の決断迫る

 「大統領閣下、近く、大型のテロが予想されます。真剣に取り組んでください」─バリ島の爆弾テロが発生した十二日を前に、米国政府はメガワティ大統領と最高首脳に、繰り返しテロ情報を伝え、インドネシア政府がアルカイダ系の国内テロリストの摘発に乗り出すよう迫っていた─と十六日付のニューヨークタイムズ紙が報じた。同紙は、テロに対するインドネシア政府の優柔不断さを批判的に取り上げ、テロ情報の根拠は、六月にボゴールで逮捕したアルカイダ幹部の自供に基づくものだったとしている。
 この緊迫したテロ情報は、「米国の施設とは限らず、米国市民を引きつける場所として知られる所」と説明され、具体的な場所や日時は明示しないものの、観光客が遊びで集まるディスコなどを示唆していたという。
 その際、米政府側は「彼らを包囲し、テロを抑止してほしい。米国への脅威を取り除くため、インドネシアが真剣であることを内外に示してください」と迫った。
 インドネシア側のあいまいな返答にいらだつ米国は、事件の前日にも、メガワティ大統領に最終的な決断を、おおむね、次のように迫ったという。
 「メキシコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、メガワティ大統領はブッシュ大統領と会談する予定です。もし、その時までに、行動を起こさないのであれば、米国は外交官を引き上げます。インドネシアがテロリストの温床になっている、ということを公にすることになります」
 ニューヨーク・タイムズ紙は、こうした米国の強い要求の背景には、(1)米中央情報局(CIA)が収集したテロ情報が、ほかでもない、今年六月、逮捕されるまで、インドネシア国内で活動していたアルカイダ幹部の自供によるものである(2)メガワティ大統領の決断を促すため、米国政府はインドネシアの捜査陣を招き、拘留中のアルカイダ幹部から直接、事情聴取する特別の便宜を図っていた─などのいきさつを書き、「バリ島でテロが起きた当日も、インドネシア捜査陣は、アルカイダ幹部を尋問していた」という政府筋の談話を紹介している。
 同紙によると、米国政府は、いまなお、メガワティ大統領の決断に疑問を抱いている。テロの現場を視察したのにテロの恐怖について、一言もコメントしていない─などと記事の最後で書き、マトリ国防相に、大事な発言を任せたとしている。
 危機管理能力ではあまり評価の高くないマトリ国防相が、閣議のあと突然、「アルカイダはインドネシアにもいる」と記者団に明らかにした。それが、インドネシア政府として、初めて、アルカイダが国内にいることを認めた重要発言だったとしている。

■「バリも含まれていた」

 米ワシントン・ポストは十六日、事件の十四日前に、CIAが西洋人が集まる観光地が狙われる可能性を指摘、「報告書の中には、バリも含まれていた」と伝えた。
 また、同日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、東南アジアのテロ組織「イスラム共同体」(ジェマ・イスラミア、JI)の精神的指導者とされ、爆弾テロへの関与が指摘されているアブ・バカル・バアシル氏が、今年初め、サウジアラビア人から七万四千ドルの資金援助を受け、陸軍関係者から違法に爆発物や武器を購入したと報じた。
 ボゴールで逮捕されたアルカイダ幹部、アルファルク容疑者が、米の捜査官に供述したという。また、英国のテロ専門家ロハン・グナラトナ氏は資金の一部がバリ島での爆弾テロに使われた可能性があると指摘している。 

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爆薬RDXを検出 空軍中佐を事情聴取 バリ州警察

 バリ州警のブディ・スティアワン本部長は十六日、バリ島のディスコ「サリ・クラブ」前で起きた爆弾テロ事件で、現場から爆破に使用されたプラスチック爆弾C4の原料となる爆薬RDXが検出されたことを明らかにした。C4は米国製で、外国で出回っているとされているが、RDXは国内でも入手が可能で、警察当局は、入手経路などについて捜査している。
 これまでに目撃者ら五十四人から事情を聞いており、うちジャワ島からバリを訪れていたインドネシア人二人を重点的に聴取している。
 また、同日、現場の近くに住む元空軍中佐からも事情を聴いている。元中佐は爆発物の専門家で、米国で軍事訓練を受けた経験がある。約二年前に麻薬使用で除隊処分となったという。
 一方、同日付コラン・テンポ紙は、当局筋の話として、爆弾テロは外国人一人を含む八人のプロにより実行され、事件後、バリから逃亡したと報じた。
 同紙によると、八人は、爆弾が仕掛けられたとみられるキジャンとパンサーの二台の車で現場のディスコ前に停車。パンサーに乗っていた男が「エンジンが故障した」と言って、周囲にいた人に助けを求め、その後、キジャンに乗って走り去ったという。
 当局筋は「時限爆弾が使われたか、安全な場所まで離れてから遠隔操作のスイッチを入れたかのどちらかだ」としている。

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政府、テロ摘発に緊急政令 予防拘束が可能に

 政府は十六日、バリ島爆弾テロ事件を受け、テロ対策法の成立を急ぐ一方で、近く治安当局の強権発動を認める緊急政令を公布すると発表した。早ければ今月中にも公布される見通しで、政府は、この政令を法的根拠に、米国や豪州など国際社会が求めてきたテロ取り締まりの強化に乗り出す。
 ユドヨノ調整相は「緊急政令は、テロ対策法の内容とほぼ同じだ。法務人権相が準備を進めている」と語った。緊急政令は大統領の署名だけで成立する。テロ対策法の国会審議には数カ月かかるとみられるため、同法の成立までの暫定的な措置という。
 テロ対策法は、破壊活動に関与する疑いがある人物の予防拘束が可能で、緊急政令でも、同じ措置がとれる。
 国会の代表は同日、緊急政令について協議、布告を支持することを決めた。
 国家情報庁は、昨年から国内でテロリストが活動しているとの情報をつかんでいたが、「現行法では、事件を起こすまでは具体的な行動が取れない」(同庁筋)と指摘していた。
 一方、外電によると、パウエル米国務長官は十五日、「インドネシア政府は、現実を直視すべきだ。もはや国内にテロ組織が存在しないと言い逃れはできない」と摘発を迫った。
 米国や豪州は、シンガポールやマレーシアなど周辺国が「イスラム共同体」(ジェマ・イスラミア、JI)のメンバーを摘発する中、具体的な行動を取ってこなかったインドネシア政府を強く非難している。
 ユドヨノ調整相は、JIについて「国内に拠点はないが、バアシル氏らインドネシア人がマレーシア在住中に、幹部として活動していた」と語った。
 バアシル氏逮捕の可能性については、数日以内に米国での捜査を終え、帰国する捜査班の報告を待つとした上で、「国際テロ組織への関与が明らかになればしかるべき措置を取る」と述べた。
 同日、ジャカルタ入りしたバアシル氏は「JIなどという組織は存在しない」と主張、爆弾テロへの関与を否定した。

■米イ大統領が会談へ

 ハッサン・ウィラユダ外相は十六日、メガワティ大統領が二十五日からメキシコで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席、会期中にブッシュ米大統領と会談する予定であることを明らかにした。

■豪州と合同捜査班

 スシロ・バンバン・ユドヨノ政治・治安担当調整相は十六日、ジャカルタ訪問中のダウナー豪外相と会談後、両国が爆弾テロの合同捜査班を設置することで合意したと明らかにした。

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豪政府が懸賞金 情報提供者に1・4億円

 豪州政府は十六日、バリ島の爆弾テロ事件に関する有力な情報提供者に二百万豪ドル(約一億四千万円)の懸賞金を支払う用意があると発表した。詳細についてはインドネシア側と協議して決定する。
 ダリー・ウィリアムズ法務相は「テロ事件の責任者逮捕につながる有力な情報を得るために用意した」と述べた。

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安否問い合わせ119件 身元確認作業が大詰め

 在スラバヤ日本総領事館デンパサール駐在官事務所は十六日、バリ島爆弾テロ事件が発生した十二日以降、邦人の所在確認について百十九件の照会があり、このうち二十六人の所在が判明したと明らかにした。
 二十六人のうち十九人はすでに出国、七人はバリに滞在中。新たに邦人二人が軽傷を負っていたことが分かり、邦人の負傷者は計十二人となった。
 行方不明中だった横浜市青葉区あざみ野の会社員、鈴木康介さん(三四)、由香さん(三二)夫婦は、由香さんの搭乗予定だった十六日夜を過ぎても空港に現れず、二人が爆弾テロ事件に巻き込まれた可能性が高まった。
 ツアーを企画した旅行会社ジャルパック(東京)によると、二人は十一日からバリ島に入り、康介さんは十四日、由香さんは十六日のデンパサール発日航機で帰国する予定だった。二人とも集合時間に現れなかったため、同社は対策本部を設置した。
 また、在スラバヤ日本総領事館デンパサール駐在官事務所は十六日、バリ日本人会会員ら約二十五人を招き、海外安全セミナーを開催した。
 セミナーは、バリ爆弾テロ事件以前から予定されていた。一般的な犯罪防止策について話し合われたが、行方不明の邦人に関する情報収集についても、在留邦人の協力を求めた。

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警察チーム7人到着 鑑識捜査に技術協力

 インドネシアとテロ事件に関する情報交換や捜査協力のため、警察庁の国際テロ緊急展開チーム(TRT)の七人が、十六日までにバリ島入りした。爆発現場の鑑識捜査などに関する技術的な助言や指導を行う。
 今回のテロ事件では、米連邦捜査局(FBI)や英国、豪州の警察が捜査協力を申し出て、捜査員がすでに捜査協力を開始している。
 インドネシアではこれまで、国内のイスラム勢力の反発を懸念し、米国の治安当局などが国内で捜査活動することには強く反対していた。
 このほか、難航する遺体の身元確認の作業を支援するため、日本から法歯学の専門家らもバリ島入りした。

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岩野警部補も参加 テロ現場の鑑識捜査

 日本警察庁によるインドネシア国家警察改革支援プログラムで、ブカシ署に駐在中の岩野正行警部補(現場鑑識)が、インドネシア国家警察からバリ爆弾テロ事件の捜査支援要請を受けて、バリ島入り、事件現場の鑑識などを中心に捜査を行っている。
 岩野警部補は十六日、インドネシア警察科学捜査研究所の取り調べ作業について「資料の取り方、現場の区画捜査(メッシュ)の進行方法など、インドネシア警察は米連邦捜査局(FBI)の捜査方法をかなり取り入れているようだ。捜査上の不手際はほとんど見られない」と語った。

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「個人の裁量に任せる」 米大使が駐在員に
 国外退避要請の判断

 駐インドネシア・米国大使館のラルフ・ボイス大使は十六日、ジャカルタ市内に居住する米国人駐在員とその家族数百人を中央ジャカルタのホテル・ボロブドゥールに集め、「インドネシアで滞在を続けるかどうかは個人の裁量に任せるが、滞在について十分考慮してほしい」と、バリ島爆弾テロ事件後のインドネシア情勢に対する米国政府の対応を伝えた。
 米国務省は十三日、「米国民へのテロの脅威が高まった」として、インドネシア国内に滞在するすべての米国市民に国外退避を勧告する「旅行警戒」情報を発令。政府職員のうち、緊急事態のための要員を除く、職員とその家族にも、国外退避を求めている。

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再び爆弾予告電話 スカイラインビル

 十六日午後零時すぎと同一時すぎ、中央ジャカルタ・スカイラインビル四階の日本食レストラン「酒菜」と、十八階の同ビル事務所に、男性の声で「二階の駐車場とビルのトイレに爆弾を仕掛けた。午後二時半に爆発する」との電話があった。警察の爆弾処理班が捜索したが、爆発物は見つからなかった。
 同ビルに入居する企業は業務を一旦中断し、同ビルに隣接するホテル・サリ・パンパシフィックに従業員を避難させるなどの対処に当たったが、大部分は爆弾がなかったことが確認された午後三時すぎに業務を再開した。
 同ビルでは九月四日にも、爆破の予告電話があった。

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急進派4人を逮捕 マレーシア警察

 マレーシアの警察当局は十六日、イスラム共同体(ジェマ・イスラミア、JI)とつながりがあるとみられる四人を予防拘束したと発表した。バリ島爆弾テロ事件との関連はないとしている。フランス国営通信社が伝えた。
 警察当局によると、四人のうち二人はアフガニスタンで軍事訓練を受け、もう一人はアルカイダのネットワークとつながっていた。
 マレーシアのイスラム急進派の予防拘束は、昨年十一月から合わせて七十一人目。

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解散した聖戦部隊 テロとの関連否定

 急進派イスラム組織、聖戦部隊(ラスカル・ジハード)のジャファル・ウマル・タリブ司令官は十六日、聖戦部隊が活動を休止したとの報道に対し「今月七日に解散した」と述べた。また、十二日に発生したバリ島爆弾テロ事件との関連については「全くの偶然だ。政治的圧力もなかった」と強く否定した。
 同司令官によると、聖戦部隊の上部組織である「スンナ・ワルジャマア専門家共同フォーラム」が、今月三日から七日にかけ、聖戦部隊の存続について協議した。
 同フォーラムのメンバーらは、最近の聖戦部隊の活動について「メディアへの露出度が高まり、政治勢力との結びつきが増えたため、本来の目的から外れている」と指摘。これが、共同フォーラムの教えに反するとして、解散を決めた。
 ジャファル司令官は今後、ジョクジャカルタのイスラム塾の塾長に就任し、若手イスラム指導者の養成に携わっていくという。

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閑古鳥が鳴くビーチ 経済への影響じわり
 飲食店ではリストラ 

 クタの街から観光客が消えた。閑散とした街で、店員は暇そうに座り込んで道路をぼんやり眺めたり、チェスに興じたり。仕事が、がくんと減ったのだ。観光客に依存するバリ経済に、爆弾テロは、計り知れないダメージを与えることになった。
 クタ・スクウェアのツーリスト・インフォメーションでは、毎日約五件、マリンスポーツなどの申し込みがあるが、事件翌日の十四日からゼロという。夕方早々にシャッターを下ろして店じまいしたり、「ビジネス・ダウンだから五○%引き」と、客を引く呼び子もいた。
 クタ・ビーチで二十年間、マッサージ師として働いてきたマデさん(六七)は十三人の孫がいるが、まだ現役だ。「客が減ると、食べていけない」と深刻な顔つきだった。同ビーチには約三百人のマッサージ師が働いているという。

■自宅待機も 

 リストラも始まった。ギフトショップ「ザ・バリ・ギフト」では、従業員の休みを月四日から同七日に増やし、一カ月様子見。その後、自宅待機などのさらなるリストラを検討する。売り上げの減少から、給料と同額程度だったコミッションが大幅に減る見込みで、従業員には大打撃となる。
 同店スーパーバイザーのダンティさん(三○)は客のいない店内を見つめながら、「いつもはすごく忙しく、閉店時間になって閉めようとしても『一分だけ』と、お客さんが入って来ていた。それが、爆弾事件の後、ぱったり途絶えた」と、半ばあきらめ顔だ。
 「だれがやったか? われわれには、すでに、(爆弾事件という)大きな問題がある。宗教を持ち出して、問題をさらに大きくしたくない。やったのは、ジャワ人とか、イスラムとかではなく、オラン・ギラ」と語った。
 HIS旅の情報センター(クタ・スクウェア)で、ジャワやスマトラ出身の同僚とともに働くスリナディさんも「バリにいる人はみんな、バリ人です」と言う。
 バリ人は観光産業で生きていることを自覚し、お互いの連帯感や、外国人へのホスピタリティーが強い。それにもかかわらず、自分たちの力を超えたテロ事件が起きたことに、やりきれなさがにじむ。

■浜辺からガムランの音

 受けた傷を癒そうとするかのように、街の各所で宗教的な儀式が盛んに行われている。クタ・ビーチでは霊を清める儀式が行われ、サーファーの遊ぶ浜辺に供物が並べられ、ガムランの演奏が鳴り響いた。
 爆発現場には引きも切らず、花輪や花束を届けに来る人が訪れ、花輪が山になっている。レギャン通りの両側には、寄せ書き用の白い布が数十メートルにわたって張られた。英語、インドネシア語、日本語などで、びっしりとメッセージが書かれている。
 「バリは私の家、テロリストの家ではない」「なぜバリ??? バリのために泣く」「事件を決して忘れない」「天国で安らかに」「私のバリを返して」「バリは死なない」「バリに平和を」−。

■渡航禁止にしないで 

 現場付近まで同僚とともに追悼に来ていた、旅行代理店に勤めるアノンさん(五七)は「ヒンドゥーにはカルマ・パラ、因果応報という考え方がある。犯人は、七回、動物の中でも最低のヤモリに生まれ変わるだろう。人間に生まれ変わったり、成仏することはできない」と怒りをぶりまけた。
 「日本政府は、渡航禁止の勧告を出さないでほしい。日本や豪州にとって、バリは第二の故郷。問題はあそこ(爆弾現場)だけ。ジャワのように、島の各地に飛び火することはない」と安全を力説した。
 レギャン通りの店で衣類を売るワヤンさん(四三)も「バリは何事もなく、平気。バリ人は事件を本当に悲しんでいる。バリの悪いことを書かないで。いいことを書いて」と訴えた。

■観光客3割は残った 

 旅行代理店「マデズ・バリ」のマデさん(二一)は「観光客の七割は帰ってしまったが、三割は残っている。残っている人たちにベスト・サービスをして、安全にも注意するつもりだ」と語った。「バリが元に戻ると信じている。亡くなった人のために、神に祈っている」。
 事件の影響は、「一カ月は様子見」「回復に一年ぐらいかかると思う」など、予測できない様子だ。クタ・スクウェアにあるHIS旅の情報センターのカウィアナさん(二六)は「ここはレギャンの次に、にぎやかだから、怖い。外国人だけでなく、バリ人も怖い。生活がどうなるか分からなくて心配」と打ち明けた。
 爆発現場に残されたすさまじい事件の傷跡のほかに、見えない傷跡がどれだけ深いものか、バリの人々は恐れながら見守っているようだ。
普段は観光客でにぎわうクタ・ビーチも閑散としている
普段は観光客でにぎわうクタ・ビーチも閑散としている

人影がなくなった土産物屋の通り
人影がなくなった土産物屋の通り


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支援国会合を延期 テロ事件の影響を見直し

 バリで起こった爆弾テロ事件の余波を受け、今月二十八、二十九日にジョクジャカルタで開催される予定だったインドネシア支援国会合(CGI)の延期が十六日、正式に決まった。
 インドネシアの経済支援について話し合う支援国会合を主催する世銀とインドネシア政府が発表したもので、日本など主要支援国の同意に基づいたもの。来年一月まで延期される予定だが、開催場所、日程など詳細は決まっていない。
 世銀のアンドリュー・スティアー・ジャカルタ事務所代表は「事件が経済に与える実際の影響を勘案し、そこから新たに生まれるニーズに応えられるように、インドネシア政府と協力体制を取っているところだ。困難な状況の中で、これまで以上にマクロ経済の回復と構造改革に向けた迅速な動きが重要になってくる」と述べた。

■今月末に非公式会合

 延期に伴い、世銀と支援国・機関は今月末、現地の代表による非公式会合を開催する。爆弾テロ事件が、バリやそのほかの観光地の経済に与える影響や、支援国会合に向けた準備などについて話し合う予定。
 関係者によると、支援国の中には、今回のテロ事件で大きな被害が出たところもあるため、それに配慮した措置。
 年内に開催するとの意見も出ていたが、イスラムの断食月(ラマダン)やクリスマスなどを挟むことから、来年初めまでの延期を決めたという。
 また、支援国会合は、全体の枠組みを公の場で決めるためのもので、世銀、アジア開発銀行、日本など支援国・機関は、それとは別に実際の事務的な手続きを進めている。そのため、インドネシアの国家予算運営には影響はないが、金融市場にネガティブな影響を与えることが懸念されているという。
 二〇〇一年十一月にジャカルタで開かれた前回会合では、二〇〇二年の財政支援として、三一・四億ドルの支援を決定。日本政府は七・二億ドルの有償・無償資金協力を表明している。

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輸出減少など懸念 JJC経済情勢懇談会

 ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)が半年ごとに行っている経済情勢懇談会が十六日、十四の商品グループ代表などを集めて行われ、バリで起こった爆弾テロ事件が、インドネシア経済に与える影響などについて話し合われた。
 JJC調査部会長の加藤裕之・日本貿易振興会(ジェトロ)ジャカルタセンター所長によると(1)運輸・サービス関連などバリの観光産業への影響(2)バリの経済の冷え込みに付随する建設需要や耐久消費財需要の落ち込み(3)インドネシアが「テロリストがいる危険な国」とのイメージを持たれることで、欧米系を中心とした外国企業向けの輸出減少(4)テロをきっかけに国内治安が悪化、エネルギー関係の安定供給が途切れる−などの懸念が出席者から提示された。
 しかし、「事件から数日しか経っていないため、本格的な影響はまだ見られない。今後の推移を慎重に注視する必要がある」としている。
 懇談会ではまた、現在インドネシアで活動する日本企業の経済状況、中国とインドネシア、日本とインドネシアの自由貿易協定(FTA)が実現した場合の日系企業への影響などについても話し合われた。
 経済状況については、堅調な個人消費に支えられ、順調に業績を伸ばす業界と、設備投資の大幅な落ち込みを反映し、苦しい状況にある業界があり、明暗が分かれる形となった。
 中国との自由貿易協定については、中国からの部品輸入による生産コストの低下に期待を示す見解が出た。さらに、密輸が減少し、公正な国際競争が期待される一方、完成品分野で中国との競争についていけず、インドネシアの製造業にダメージを与えるのではという懸念も上がった。

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断食月は営業規制 ブロックMなど娯楽店

 ジャカルタ特別州政府はこのほど、十一月上旬からの断食月期間中、ディスコやマッサージ店など、夜間の娯楽施設の営業を制限すると発表した。パブやカフェなどの飲食店やカラオケ店などの営業は、午後八時半−午前零時半までとなる。
 州政府によると、一流ホテル内にあるディスコは、初日やイドゥル・フィトリ(断食月明けの大祭=レバラン)などを除き、断食月中の営業が許可される。
 娯楽施設所有者協会によると、規制を受ける施設の従業員は約二十五万人。その家族を含めると百万人以上に影響が出ると見積もっている。
 十四日には、州議会前で娯楽施設の従業員ら数百人が、断食月の営業許可とイスラム急進派の「イスラム擁護戦線」(FPI)の取り締まりを求めるデモを行っていた。
 イスラムの六信五行の一つである断食は、イスラム暦(太陰暦)の九月に行われる。断食月は、家族や親戚などと団らんし、宗教性を強める期間。断食月の新月の日から、次の新月までの三十日もしくは二十九日間行われる。今年は十一月六日ごろに断食月に入る。

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娯楽店襲撃事件に絡み FPI代表を事情聴取 警視庁

 ジャカルタ警視庁は十六日、「イスラム擁護戦線」(FPI)メンバー約四百人が今月四日、西ジャカルタや北ジャカルタの娯楽施設三カ所を襲撃し、メンバー十二人が逮捕された事件を扇動したとして、ハビブ・リジク代表を事情聴取した。
 午前九時ごろ、白装束に身を固めたメンバー約三百人と共に警視庁に出頭したハビブ代表は、逮捕の可能性について「うわさにすぎない」と語った。
 警視庁のアントン・バフルル・アラム報道局長は「ハビブ代表を逮捕するかどうかは、捜査次第だ。必要があれば逮捕する」と逮捕の可能性を示唆した。
 FPIは、断食月(ラマダン)の期間中やイスラムの祭日前に、飲酒、賭博、売春が行われているとされる歓楽街をしばしば襲撃することで知られており、ハビブ代表は十日、ラマダン期間中の娯楽施設の営業などに対する警察の対応を提案するため、国家警察を訪問していた。

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売春、賭博施設 15カ所を閉鎖 ジャカルタ

 ジャカルタ特別州治安局はこのほど、今年一月から七月の間に、売春や賭博に使用されていたホテルやディスコなど、合わせて十五の施設を閉鎖したと発表した。また、条例に違反する約百カ所のナイトクラブに警告書を送ったことを明らかにした。

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ビザ料金100ドルに 米国

 米政府はこのほど、入国審査の強化にともなう経費増を補うため、十一月一日からビザ料金を現在の六十五ドルから百ドルに引き上げると発表した。
 米国務省によると、昨年九月の米攻撃テロ事件以降、入国審査を大幅に強化したため、ビザの発給業務部門で赤字が出ているという。

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フラッシュ・ニュース

■学生数百人が豪州大使館で祈とう

 バリ島爆弾テロの犠牲者への哀悼の意を表そうと、ジャカルタ在住のバリ人と大学生数百人が16日夕、南ジャカルタの豪州大使館に花束とろうそくを持って集まり、日没と同時にに祈とうした。ジャカルタ国立大学のユリアンティさんは「爆弾テロで多数の豪州人が死亡したことにわれわれも深く傷ついている」と語った。(ドゥティックコム)

■人気ドラマの主演男優が交通事故

 15日午後4時15分ごろ、西ジャワ州プルワカルタの国道で、人気ドラマ「ジン・ダン・ジュン」の主人公ジン役の男優ロバート・シャリフさんの運転する車が、地元住民エンドさん(72)をはね、エンドさんはまもなく死亡した。ロバートさんは警察で事情聴取を受けているが、かなりのショックを受けているという。(ポス・コタ)

■ポソの隊員150人も帰任予定

 聖戦部隊のアブ・マリク・ポソ支部長は16日、聖戦部隊の解散を受け、中部スラウェシ州ポソに滞在する隊員150人も17日、活動を停止してスラバヤに向かうことになったことを明らかにした。マリク支部長によると、約1年の滞在期間中、ポソ周辺の治安維持活動を行ったほか、約1,000人の若手イスラム指導者の養成を行ったという。(サトゥ・ネット)

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