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2004年2月13日 じゃかるた新聞掲載

アクバル議長に無罪判決 1、2審有罪判決を破棄
 大統領候補選びに波紋 最高裁

 一九九九年の総選挙資金に絡む食糧調達庁公金横領事件で汚職罪に問われ、一、二審で禁固三年の判決を受けたゴルカル党党首のアクバル・タンジュン国会議長(当時、国家官房長官)ら三被告の上告審判決公判が十二日、最高裁で約八時間半にわたって開かれ、パウルス・エフェンディ・ロトゥルン裁判長は「被告が国家に損害を与えた事実はない」として、アクバル議長に逆転無罪を言い渡した。大統領の有力候補であるアクバル氏の無罪判決は、本人に政権取りの機会を与える一方で、汚職体質を払拭できないゴルカル党や同党と連合を模索している闘争民主党の戦略にも影響を与えそうだ。この日、アクバル支持派と有罪判決を要求する学生のデモ隊が最高裁に押し掛け、裁判は騒然とした中で行われた。

 ロトゥルン裁判長は「食糧危機に対処するため、ハビビ大統領(当時)が貧困者救済のために生活必需品の支給を決定したのを受け、アクバル被告は業者に委託した。支給が実施されなかったのは、(当時、官房長官だった)アクバル被告の過失ではなく業者の責任だ」と指摘した。
無罪判決に娘にほお擦りして喜ぶアクバル氏
無罪判決に娘にほお擦りして喜ぶアクバル氏
 一、二審の有罪判決について「不確定な証言を採用し、アクバル被告の資金流用を認定した。資金は業者に渡され、同被告が流用した事実はない。大統領を補佐する国家官房長官としての職務を遂行しただけだ」と述べた。
 ロトゥルン裁判長は、アクバル被告から資金四百億ルピアを受け取った社会福祉財団代表のダダン・スカンダル、建設会社経営者のウィンフレッド・シマトゥパン両被告に対し「生活必需品支給を実施せず、国家に損害を与えたが、資金は国庫に返却されている」と述べ、控訴審判決の禁固三年より軽い同一年六月を言い渡した。
 資金ねん出を命じたハビビ氏が訴追を免れているため、判決文で「大統領の命令に従っただけのアクバル被告の過失を認めることはできない。アクバル被告はダダン被告に配布を命じただけ」と強調した。
 ロトゥルン裁判長は「五人の裁判官のうち四人が、汚職撲滅法に照らし、被告人または他人が私腹を肥やした形跡がないと判断した」と指摘。一方、少数意見のアブドゥル・ラフマン・サレ判事は「アクバル被告はハビビ元大統領から託された貧困者救済資金を保管する最低限の努力もしなかった。これは国民の正義に反するばかりか、法律にも違反する」と述べ、アクバル氏の有罪を主張した。
 食糧庁公金横領事件 事件は一九九九年六月の総選挙直前の同年二月、ハビビ大統領が食糧調達庁予算外資金から食糧危機対策として緊急政策用の資金ねん出を命じたのが発端。
 ハビビ氏の側近のラハルディ・ラメラン同庁長官(控訴審で禁固二年、上告中)が六百二十九億ルピアを引き出し、このうち四百億ルピアがアクバル国家官房長官に渡された。
 同事件はアブドゥルラフマン政権下の二〇〇一年、リザル・ラムリ同庁長官やマーフッド国防相が暴露。生活必需品支給プログラムが実施されなかったことが発覚し、ゴルカル党の総選挙資金に流用された疑いが浮上した。しかし、捜査段階で同党の不正疑惑は立件されず、関与者個人の汚職事件として訴追されるにとどまった。

解説 裁判への不信感増幅
     政治家は有頂天だが しっぺ返しは選挙で

 メガワティ大統領と並ぶ最有力の大統領候補であるアクバル・タンジュン国会議長への無罪判決は、選挙勝利を目指す政治家にとって有利な展開となった。しかし、アクバル陣営も、連合を模索するメガワティ大統領の党も、タッグマッチで最高裁にロビー活動を展開したとされ、事前に「無罪判決」の新聞報道が流れるなど政治介入の疑いがある裁判だったことを国民に強く印象付けた。
1999 2.10 ハビビ大統領が食料調達庁の予算外資金の拠出を命じる

6.7 総選挙実施
2002 3.7 最高検、アクバル氏を逮捕

7.2 国会、疑惑追及のための特別委設置を否決

9.4 1審で禁固3年の有罪判決
2003 1.17 控訴審で禁固3年の有罪判決
2004 2.12 上告審で無罪判決
 「汚職事件の被告人」の汚名が返上され「アクバル氏が大統領候補に指名される可能性は高まった」と同党幹部のテオ・サンブアガ氏。
 しかし、アクバル氏を無罪にした最高裁への不信感とともに、党のマイナスイメージは尾を引く。党内対抗馬のウィラント元国軍司令官らの巻き返しも予想される。
 大連合で安定政権を狙う闘争民主党とゴルカル党は、メガワティ大統領とパートナーを組む副大統領候補としてアクバル氏に白羽の矢を立ててきた。フィクサー役のメガワティ大統領の夫タウフィック・キマス氏が、アクバル氏を無罪とするよう最高裁判事に圧力をかけたとのうわさも絶えない。上告審を前に、タウフィック氏がパウルス・エフェンディ・ロトゥルン裁判長とシンガポールで密会したとまで伝えられた。
 政治評論家のアリフ・ブディマン氏は「(民族主義政党の)ゴルカル党の弱体化はイスラム政党の勢力拡大につながる恐れがある。闘争民主党にとって、すねに傷を持つゴルカル党はコントロールしやすく、格好のパートナーだ」と両党の連携の動機を分析している。
 しかし、最高裁が一、二審の有罪判決を破棄し、逆転無罪を言い渡したことに対し学生や市民団体が反発しており、反アクバル勢力がデモ隊を動員して世論をあおることも予想される。
 いずれにせよ、今回の判決が、「メガワティ大統領は汚職撲滅に消極的」との印象を一層強め、内紛続きの闘争民主党の支持率をさらに低下させることは間違いない。

「神に感謝する」 床にひれ伏し祈る アクバル議長

 「神に感謝している」─逆転無罪となったアクバル・タンジュン国会議長(ゴルカル党党首)は十二日、じゅうたんに額をこすりつけて、神に感謝の祈りを捧げた。
 アクバル氏はこの日、南ジャカルタ・ウィディヤ・チャンドラの公邸で、妻や娘二人とともに上告審の判決を待った。
 公邸には、ゴルカル党の関係者や報道陣ら約三百人が殺到。口を真一文字に結んだアクバル氏は、時折目を閉じるなど神妙な表情で判決を伝えるテレビに見入った。
 無罪判決が言い渡されると、妻がアクバル氏のほおに祝福のキス。ゴルカル党幹部らと抱き合って喜ぶアクバル氏の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
 アクバル氏は、報道陣が殺到しパニック状態となる中、「私の無罪を信じ、祈ってくれた家族や友人たちに感謝したい。私の上告は受理された」と語った。
 今後判決に対する抗議行動が予想されるが、「国民も、司法の最高機関である最高裁の判決を尊重してほしい」と呼び掛けた。
 大統領選への立候補については「ゴルカル党党内候補選のメカニズムに委ねる。全国の党の代表が七人の候補者の中からふさわしい人物を選ぶ」と語った。
 大統領候補の座を争うウィラント元国軍司令官やプラボウォ元陸軍戦略予備軍司令官も祝福に駆け付けた。

首都、スラバヤでデモ 学生と警官隊衝突

最高裁前に集結し、アクバル氏の上告棄却を訴える学生デモ
最高裁前に集結し、アクバル氏の上告棄却を訴える学生デモ
 中央ジャカルタの最高裁前で十二日、アクバル・タンジュン国会議長の上告棄却を訴える首都圏の学生評議会(BEM)、イスラム学生統一行動(KAMMI)、イスラム学生連盟(HMI)など学生団体約三千人と、アクバル氏支持派のゴルカル党青年団約三百人がデモ、最高裁敷地内に押し入ろうとした学生団体が警官隊と衝突し、約二十人が負傷した。
 最高裁前のムルデカ・ウタラ通りはこの日、全車線が通行止めとなった。学生は「アクバルを監獄へ」「逆転無罪は法の死」などと気勢を上げ、警官隊を挟み、約五十メートルの距離でアクバル支持者は大音量の音楽を流して対抗した。
 地方各地でも学生がデモ。スラバヤの東ジャワ州知事官邸前では、学生数百人がアクバル氏の人形を絞首台に吊り下げるパフォーマンスを演じ、「ゴルカル党解散を」などと叫んだ。
 マカッサル、バンドン、スマランなどでもアクバル氏の上告棄却を訴える学生デモが行われた。





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