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2001年10月30日のトップニュース

マルディエムさんの証言

従軍慰安婦の記録映画

元NHKディレクターが完成

きょうジャカルタで上映

 日本軍の占領下、従軍慰安を強制されたジョクジャカルタの主婦マルディエムさん(七二)の証言と日イ関係のあり方を問いかけるドキュメンタリー映画「マルディエム彼女の人生で起きたこと」が、このほど元NHKディレクターでフリーの映像作家、海南(かな)友子さん(二九)の手で完成し、三十日午後九時半からクニンガンのウスマル・イスマイル・フィルム・センターで上映される。インドネシアの従軍慰安婦問題は長い間、政府レベルでは議論されない「封印された歴史」だったが、最近、教育省高官が、「小、中、高校の歴史教育のカリキュラムに取り入れる」と発言しており、この映画の上映は、インドネシア知識人の間で波紋を呼ぶものとみられる。

 この作品は、先月七日、山形市で開かれた国際ドキュメンタリー・フェスティバルで話題になり、ジャカルタで二十六日から開催中のジャカルタ国際映画祭にも参加。撮影、編集まで海南さんが一人で担当した。
 海南さんは一九九四年、NHKに入り、昨年五月、退社するまでNHKスペシャルなどのドキュメンタリーを手がけた。同年九月、かねて計画していたマルディエムさんをインタビュー取材するためジョクジャカルタを訪問した。
 映画は「歌手にしてあげる」と日本軍にだまされ、ジョクジャカルタからボルネオ島(カリマンタン)のバンジャルマシンに連れて行かれ、従軍慰安婦として働かされた戦時下の苦しい体験の証言を軸に、戦後のインドネシア社会の差別にもめげず、今日まで人間としての尊厳を維持、将来、このような問題を再発させないよう次世代に伝えるというマルディエムさんの熱いメッセージを込めたドキュメンタリーになっている。
 撮影は、ジョクジャカルタで活動する彼女の日常生活や、バンジャルマシンの慰安所や監視所の跡を訪ね、半世紀前の苦悩を語る場面も含まれている。
 「慰安所に監禁された時から、この苦悩を伝えるため、どんなことがあっても生き延びると決意していました」このように語ったマルディエムさんの言葉が、海南さんに記録映画を制作させる動機となったいう。
 マルディエムさんは、六十歳を越えた一九九三年ごろまで、この体験を家族にも語らないできたが、韓国や台湾への日本政府の賠償問題が浮上したころから、過去の経験を公にするようになったという。 
 戦後、インドネシアでは、日本軍の占領下の歴史について、強制労働を強いられたロームシャ問題や日本軍の残虐行為などが論議され、義務教育の歴史教科書に記載されてきたが、従軍慰安婦問題は、当事者の証言がなかったこともあり、採用されていなかった。
 ところが、最近、ジョクジャカルタで従軍慰安婦問題を取り上げたセミナーの場で、教育省の高官が、歴史教科書のカリキュラムに採用するとの意向を表明。コンパス紙などインドネシアの新聞が大きく取り上げている。記録映画は三十日のほか、十一月六日午後二時半から、タマン・イスマイル・マルズキのジャカルタ芸術大学でも上映される。
 



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