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2001年3月3日のトップニュース

「大統領交代には不関与」

陸軍首脳55人の緊急会議

参謀長、権力政治へ中立を宣言

クーデターのうわさ否定

 外遊中のアブドゥルラフマン大統領の退陣要求と国民の政治不信が高まる中、エンドリアルトノ陸軍参謀長は一日、前参謀長ら最近まで陸軍トップにいた大物の陸軍首脳と現役の陸軍幹部五十五人を、東ジャカルタ・チランカップの陸軍本部に招集し、当面の政治情勢について意見を交換、治安の最高責任者として、「軍は中立を守り、クーデターのような形で軍が権力を奪取することはない」との立場を国民の前に明らかにした。アミン・ライス国民協議会議長を中心に展開されている大統領辞任に向けた政治キャンペーンに対し、軍としては憲法上の手続きに沿った大統領の交代の動きを見守るとの立場を明確にし、生臭い政治家の権力闘争と一線を画する姿勢を打ち出した。インドネシアの政治を長い間、牛耳ってきた陸軍が、大統領の交代を想定した政治情勢を議論し、中立宣言をしたのは異例。展望のない政治エリートのパワーゲームを突き放すことで、将来に向けた職業軍の地位を確保したものとみられる。

 約六時間にわたる非公開の会議のあと、エンドリアルトノ陸軍参謀長ら陸軍首脳が記者会見した。エンドリアルトノ参謀長は「会議に現役のすべての陸軍将校を招き、ウィドド国軍司令官の了承を得て開催した」と前置きし、「政治情勢や一部将校のうわさについても議論した。しかし陸軍内の和解を目指したものではない。陸軍には派閥はない」と述べ、クーデターのうわさを否定した。
 大統領を交代させる政治家の動きについてエンドリアルトノ参謀長は「もし、国民の多数が大統領の辞任を望むならば、憲法に沿って行うべきだ。その結果、辞任の決定がなされたなら、憲法上の決定として尊重されるべきだ。任期いっぱいやるべしと国会や国民協議会が合意すれば、それも尊重されるべきだ。われわれは政治ゲームをしているのではない。陸軍は憲法に反する方法で大統領を交代させる意志はない」と述べ、大統領の交代劇に陸軍は関与せず、また軍の政権奪取はあり得ないとの立場を説明した。
 国民の批判が強い大統領の外遊についてエンドリアルトノ参謀長は「大統領は帰って来るななどという声があるが、大統領の外遊が政治的に利用されないよう望む」と述べた。
 悪化の一途をたどる政治情勢については「どんなレベルであれ権力闘争は政治情勢を悪化させると政党が理解すれば、政治危機は長くは続かない」と述べて、エリート政治家の権力闘争を批判した。
 会議には、スバギオ元参謀長、ティアスノ前参謀長、ラジ元副参謀長ら、最近まで陸軍のトップにいた大物、チャニアゴ国軍総務担当参謀長、ウィジョヨ国軍領域担当参謀長、ワルヨ・ジャカルタ陸軍軍管区司令官ら現役の将軍クラスが出席。内部告発的な発言をする反骨のアグス・ウィラハディクスマ前陸軍戦略予備軍司令官も招かれた。

本名純・立命館大学専任講師(インドネシア政治)の話
 複雑に動く政治情勢を見ながら、陸軍の内部統一を図るために開かれた会議といえる。エンドリアルトノ参謀長は就任当初から強いリーダーシップによる結束を強調していた。
 大統領降ろしが強まり、政党間の交渉が行われ、カリマンタンで暴動が起こるなど政治情勢が流動化しているだけに、国軍にとっては追い風が吹いている。
 こういう状況で、アグス前戦略予備軍司令官などが上層部の方針と違うことを言えば、内部の分裂と受け取られ、不安定要素になる。
 軍は目的を持てば結束できる。陸軍への期待論が高まる中で、今後、どう出るかを確認したのだろう。
 エンドリアルトノ参謀長は外遊中の大統領降ろしには関与しないと言っている。陸軍特殊部隊など実行部隊を把握しており、政治家が一部将校に接近しても部隊を動かすことはできないはずだ。

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