ホーム
2001年2月26日のトップニュース
大統領の危機を分析
「権力闘争の悪循環恐れ、
妥協を探る動きが続く」
ベルギーの研究機関
ベルギー・ブリュッセルの研究機関インターナショナル・クライシス・グループはこのほど、「インドネシア大統領の危機」と題するレポートを発表、現在の政治危機の結果、将来起こり得るシナリオが四つあると分析した。いずれの場合も「グス・ドゥル(大統領の愛称)が無傷で大統領であり続ける見込みはない」と結論づけている。
レポートでは、国会・国民協議会の動きでカギを握る闘争民主党とゴルカル党の両党が、大統領の弾劾について微妙な立場にあると指摘。ゴルカル党はスハルト体制のイメージを払拭し、次回総選挙で巻き返しを図るため、政権から距離を置き、様子見が最善との意見が大勢を占める。
闘争民主党は、仮にグス・ドゥルを追い落としてメガワティ氏が大統領に就任した場合、大統領追い落としの前例を作る危険があることや、他政党に借りができることを警戒。グス・ドゥルの辞任による政権禅譲を望んでいる。
■4つのシナリオを想定
こうした背景から、四つのシナリオが考えられるとした。
第一は、警告書に対する大統領の回答を国会が拒否、大統領弾劾へと突き進むケース。八月ごろに特別国民協議会を開催、大統領は解任され、メガワティ副大統領が昇格する。
この場合、大統領支持者と反対派の衝突が予想される。このためメガワティ氏はグス・ドゥルの辞任を望んでいるが、頑固で知られるグス・ドゥルがそうする見込みは薄い。
第二は、大統領権限を副大統領に委譲するケース。大統領が副大統領を首相に任命、自らは国家元首にとどまる。または、グス・ドゥルが病気を理由に引退を宣言、国家元首と首相としての権限をともに副大統領に委譲する。現時点では難しそうだが、グス・ドゥルの立場がさらに悪くなった場合、この選択肢を取る可能性もある。
第三は、警告書回答の期限である三カ月以内に、グス・ドゥルが国会の支持を取り付ける。内閣を改造し、民族覚醒党、闘争民主党のほか、ゴルカル党か開発統一党を閣内に取り込む。しかし、政党の支持を取り付けられる保証はなく、成功にはメガワティ副大統領の支持が不可欠となる。
第四は、東ジャワで起きたような支持者間の衝突が広がり、社会情勢が悪化するケース。憲法に則った手順を捨て、フィリピンで起きたような「憲法に反する解決」がジャカルタで再現される。その場合、国軍はクーデターを実行する主体とはならないが、重要な役割を果たすことになる。暴力や無秩序が広がり、ルピアが下落し経済が悪化、地方の分離・独立運動が活発化するという「恐怖のシナリオ」も考えられる。
メガワティ政権となった場合、アチェやイリアンジャヤでの軍のフリーハンドを許すことと引き替えに国軍の支持を取り付けることが予想される。
グス・ドゥル政権を引きずり降ろした勢力が今度はメガワティ降ろしにかかり、インドネシアの民主主義への信頼は失われる。この悪循環を恐れ、グス・ドゥルの信頼が失墜した今も、妥協を探る動きが続けられているという。
Copyright © 2000 PT. BINA KOMUNIKA ASIATAMA, BYSCH
All Rights Reserved.