ホーム
2001年1月19日のトップニュース

韓国人3人を本拠地へ

独立派ゲリラの誘拐事件

県知事が自由パプア運動と交渉

「軍との対立激化が背景」

 パプアニューギニア国境に近いイリアンジャヤ州メラウケで、独立派ゲリラの自由パプア運動(OPM)が、韓国系木材会社コリンド社の韓国人駐在員三人を含む社員十八人をら致し、身代金百万ドルを要求した事件で、ジャカルタ本社の金東煥副会長は十八日、「県知事と警察が近くOPM代表と交渉を開始する。ゲリラ指導者とは互いによく知っている間柄なので話し合いで解決できる」との楽観的な見通しを明らかにした。
 アンタラ通信などによると、人質となったのはコリンド社の合板工場のクン・クワン副代表(四九)ら。
 十六日午後七時ごろ、メラウケの北三百六十キロのアシキでクン・クワン氏らは、切り出した材木を同社の合板会社に輸送中、待ち伏せしていた数十人のゲリラ部隊にら致された。
 ゲリラは木材運搬の大型トレーラーのカギを奪い、パプア人の運転手や作業員を連行し、近くのゲリラの基地に立てこもった。
 ゲリラ側は、人質解放の条件として、コリンド社の森林伐採がもたらした環境破壊に対し、百万ドル(一億二千万円)の補償金を支払うよう要求。アシキ地区からの治安部隊の引き揚げを要求しているという。
 この身代金要求についてコリンド本社は「現地の記者が軍から聞いた話で、当社に直接要求があったわけではない。間違いではないか」としている。
 金副会長によると、事件を起こしたのはムラウケをベースにした自由パプア運動の指導者のウィリアム・オンデ議長で、オンデ氏とコリンド社は、長い間、友好関係にあったという。
 金副会長は「昨年、オンデ氏はジャカルタで大統領と会談した際、当社を訪れており、現地のスタッフとも協力関係にあった。オンデ氏が会社に敵対意識を持っているとは思わない」と語り、事件の背後には、昨年十月ごろから、独立運動に対する政府軍の締め付けが厳しくなったことがあると指摘している。
 メラウケのゲリラ組織はインドネシア国軍や行政当局とも関係を持ち、現地で唯一の外国会社であるコリンド社とも協調関係にあったという。
 コリンド社は一九七〇年代からカリマンタンを中心に木材業を基礎に発展してきた韓国系の総合商社。インドネシアに本拠地を置き、木材、古紙再生、資源産業、コンテナ製造、保険事業など手広く事業を展開する韓国企業として知られる。
 最近は、資源の再生・保護を重視、メラウケに広大な土地を確保、オイル・パームの育成、植林、造林のほか合板工場、紙パルプ製造などに力を入れている。現地の韓国人従業員は二十二人。


「脅迫はなかった」

 アシキ事務所

 
 コリンド社アシキ事務所のエミーさんによると、誘拐事件発生後、犯人側からの連絡が一切なく、クンさんらの状態は分かっていないという。エミーさんは「アシキに外国企業はコリンドしかない。これまでOPMからの脅迫行為などはなかったと思う。周辺住民とも特に問題はなかった」と語った。
 韓国大使館のソン・ジュエン・チル報道官は「ジャカルタの韓国大使館が特別な行動は取ることは難しい。インドネシア政府と警察に早急な解決を要請していく。イリアンジャヤという特殊な環境での事件であり、ジャカルタにいる韓国人に対し、警告は出さない」と語り、事態を静観する構えだと言う。

■環境支援が不十分? 
 イリアンジャヤの日刊紙チェンドラワシ・ポス・ムラウケ支局のジャスプリアナ記者は十八日、じゃかるた新聞に「最近、オンデ議長とインタビューしたが、彼は『非人道的な行為はしない』と語っていた。OPMは国軍、地方政府と良い関係を結ぼうとしていたし、表面的にはコリンド社とも良好な関係だった。だから、今回の事件には驚いた。コリンド社はこれまで環境保全への援助を行ってきたが、まだ不十分だったのではないか。OPMを失望させる何かがあったのではないか」と語った。

■96年にもWWF事件
 イリアンジャヤでは、一九九六年一月、ケリー・クワリックなどOPMのメンバーが世界自然保護基金(WWF)の外国人研究員七人を含む職員二十六人を誘拐、最後まで人質となっていた十一人を解放するため陸軍特殊部隊がOPM基地を攻撃、人質二人が死亡した。
 昨年十二月九日にも、木材会社の社員八人がイリアンジャヤとパプアニューギニア国境付近で誘拐され、二人が死亡、三人が行方不明、三人が重傷を負った。

 Copyright © 2000 PT. BINA KOMUNIKA ASIATAMA, BYSCH
 All Rights Reserved.