大統領「政治集団の犯行」
聖夜の同時多発爆弾テロ
クリスマス・イブの二十四日、首都ジャカルタをはじめメダンからロンボクまで、全国十八カ所のキリスト教会を狙った同時多発爆弾テロの犠牲者は、死者十六人、負傷者百数十人に上った。アブドゥルラフマン大統領は二十八日、「犯人は政権を揺るがそうとしている集団だ。大統領としては警察当局に介入はできない。国家警察長官から数人の逮捕者の名前を聞いている」と語った。事件から四日が経過したが、犯人像など事件解明につながる手がかりは得られていない。
大統領は二十七日、重傷者が収容されたセント・カロルス病院を訪れ、「罪のない人々を犠牲にした野蛮で、非人道的な行為だ。こんなことは二度と繰り返してはならない」と爆弾事件の主謀者を非難した。さらに「事件の動機が政治的なものであることは明白だ」と語り、イスラム教徒による少数派のキリスト教徒攻撃を装った全国的な政治組識の犯行であるとの見方を示唆した。
国家警察は目撃者や負傷者らから事情聴取に着手。ビマントロ長官は「安全を守れなかったことを謝罪する。事件の動機や背後関係はまだつかめていない」と語った。
国家警察によると、病院で治療を受けている重傷者の中に犯行組識と関連がある人物がおり、回復を待って、組識の実態や活動資金について追及するという。
じゃかるた新聞は事件直後、カトリック大聖堂などジャカルタの爆破現場を取材し、ホームページ(試験公開中)で伝えたが、ジャカルタ・ポスト紙とコンパス紙は、二十六日付けで号外を発行、「血の日曜日事件」の大見出しで伝えた。
保守派勢力を代表するイスラム知識人協会(ICMI)のアディ・サソノ会長は「爆弾事件はキリスト教徒だけでなく国民全体を狙ったものである」と指摘し、「国の安定と平和を阻害する」と非難。法律援護協会のヘンダルディ氏は「旧体制の一派が民主化を妨害している」と述べて爆弾テロはスハルト旧政権につながる守旧派の犯行と断定した。
6州8都市
18カ所狙う
爆弾が炸裂したのはジャカルタ、スラバヤ、バタム島、スマトラ島、ロンボク島など全国六州八都市にある教会や学校。ミサに参加していたキリスト教徒の駐車中の車が爆破されるなどした。
国家警察によると、爆弾は全国で二十一カ所に仕掛けられ、このうち十八カ所がキリスト教会や駐車場など教会の関連施設。爆弾の数は三十個を超え、このうち十五個が爆発し十六人の死者を出した。
ジャカルタでは、東南アジア最大のモスクのイスティクラル寺院(中央ジャカルタ)の向かいにあるカトリック大聖堂前のほか、メンテン通りのカニシウス教会前、東ジャカルタ・マトラマンの聖フランシスコ修道院前、ココロニア教会前、東ジャカルタ・ハリムにあるオイクメネ教会前の五カ所が標的となった。
スハルト政権が崩壊して三回目のクリスマスは、華人の活動が自由になり、消費活動が活発になったこともあって、これまでになくミサに参加する人が多かった。ジャカルタの教会周辺の路上や駐車場は車でいっぱいだった。