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2000年12月16日のトップニュース

40年の経験、経営改善に

シニア海外ボランティア 元三井物産の深町恭一さん

世界飛び回った商社マン

「ガンガンやりたい気も」

 インドネシアの政府機関などに勤務するシニア海外ボランティアの新たな参加者約三十人が、今年もインドネシアに赴任し、それぞれの場所で仕事を始めている。農業、日本語教育、鉄道、水産、食品、放送など専門知識と実務経験を積んだベテランたちは、ジャワ島をはじめ、マカッサルやカリマンタンの地方都市に拠点を設け、それぞれの分野の教育や技術指導に当たっている。じゃかるた新聞は、シニアたちの体験や仕事についてインタビューし、掲載していく。第一回目は商社マン四十年の経歴を持つ深町恭一さん(元ジャカルタ・ジャパンクラブ理事長)に登場していただいた。
 中央ジャカルタ・スディルマン通り沿いにある国営バハナ・パカルヤ・インドゥストリ・ストラテギス(BPIS)社。社員約五十人の小さな会社だが、航空機製造のIPTN社や製鉄のクラカタウ・スチール社、爆薬製造のダハナ社など国営企業十社の持ち株会社として、経営指導を行っている。
 ここに、三井物産OBの深町恭一さん(六五)が、国際協力事業団(JICA)の「シニア海外ボランティア」制度を通じ、今年五月からアドバイザーとして勤務している。
 物産マンとして約四十年にわたり培ってきたビジネス経験と知識を生かし、国営企業の経営改善に向けての助言や、プロジェクトの立案・実施に当たっている。
 「シニア海外ボランティア」は、発展途上国のために貢献したいという中高年の知識や技能を生かすため、希望者から選抜して一年または二年の任期で途上国に派遣する制度で、いわば青年海外協力隊の中高年版だ。
 深町さんは大学卒業後、一九五八年に三井物産に入社。自動車の輸出入業務などを中心に、商社マンとして世界を飛び回り、高度成長時代の日本を支えた世代だ。
 一九八九年から四年間、同社インドネシア事務所長としてジャカルタに駐在した経験もある。当時、ジャカルタ日本人会(JJC)の理事長も務めるなど、インドネシアへの思い入れは深い。
 「九九年に退職してからゴルフや趣味の釣りなどをして過ごしていたが、のんびりした暮らしが自分に合わないことをすぐに悟った。元気なんだから、少しでも社会の役に立ちたいし、何より自分のためにも働かなきゃと思った」と深町さんは語る。
 友人とゴルフコースを回っている時に「JICAにこんな制度がある」と聞いて、迷わず申し込んだ。
 妻の千種さんを日本に残しての単身赴任。七年ぶりのジャカルタの印象について深町さんは「灯が消えたようだ」と語る。駐在時代には軒並みフル操業だった工場が、ほとんど停止状態に追い込まれているのを見てショックを受けたという。
 「土地も資源も労働力も豊富で、ビジネスチャンスはいくらでもあるのに、信用がないからお金が集まらない。昔は世界中からお金がなだれ込んできたのに」と、あまりの落差に感慨深そうだ。
 しかしそんな時だからこそ、いかに資金を調達するか、腕の見せ所でもある。深町さんはいま、日本企業を巻き込んで、リアウ州にパームオイルの搾油プラントを立ち上げようと準備を進めている。
 「BPIS社の社員はエリートぞろいだが、知識はあっても実務経験が少ない。国営だけに、営業力が弱いのも物足りない点だ。二年間の任期中に大きなプロジェクトを一つ立ち上げて、ビジネスとはこういうものだというモデルを示してあげたい。それが私にできる貢献です」と、やる気満々だ。
 「もともとガンガンやらないと働いた気がしないタチだから、ボランティアという意識はあまりない。でも働き過ぎて倒れでもしたら、送り出してくれたJICAに迷惑がかかるので、あまり無理をしないように気をつけているんですよ」と、深町さんは豪快に笑った。


シニアたちの第二の人生
知識と経験、総合力生かす


 シニア海外ボランティアは一九九○年にスタートした制度で、四○から六九歳までの人が対象となる。現在、インドネシアのほかヨルダンやパラグアイなど十五カ国に百九十人が派遣されている。
 前JICA総裁で、インドネシア大使も務めた藤田公雄さん(六八)が、今年十月に同制度を通じ、外相顧問としてサモアに赴任したことは大きな話題となった。
 受け入れ側の途上国では、最先端のハイテクよりも七○年代から八○年代の日本の技術が合っているケースが多く、総合的な知識・技術を持つ中高年技術者は歓迎されている。
 インドネシアには一九九八年から派遣が開始されたばかり。現在、調整員を含めて染色、造船、縫製、柔道、デザインなどさまざまな分野で四十四人が派遣されている。
 待遇は派遣国によって異なるが、インドネシアの場合は現在、基本手当が月額約二十四万円、住宅手当約二千二百ドルとなっている。

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