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「カネ要求された」

トミー氏恩赦で裏取引暴露
大統領に新たな疑惑?

 汚職罪で実刑判決を受けたあと姿をくらましたスハルト元大統領の三男トミー氏に、アブドゥルラフマン大統領が恩赦を与える代わりに、金銭を要求した疑いが深まり、国会が特別委員会を設置し、調査すべきだとの意見や、国家警察が大統領から事情聴取すべきだとの意見が出始めた。「刑執行を控えた被告人に大統領が会うこと自体が問題だ」という当然の批判もある。ブルネイ国王からの二百万ドル献金、食糧調達庁を舞台にした大型詐欺事件に続き、大統領をめぐるカネの疑惑が浮上し、国民の政治不信がうっ積しつつある。

 大統領によるトミー氏への恩赦をめぐり「カネが絡んだ」と最初に示唆したのはトミー氏のエルザ・シリフ弁護人。トミー氏の行方を追う国家警察がトミー氏の兄や姉妹から、一斉に事情聴取したことに反発するかのように、二十三日、この弁護人が暴露した。

 エルザ弁護人によると、トミー氏が大統領に恩赦を申請した直後の十月五日、大統領はボロブドゥール・ホテルのVIPルームに待機していたトミー氏と秘密に会談した。

 その際、大統領側が恩赦の条件として、なんらかの金銭を要求したという。インドネシア各紙によると、その要求額は、四千三百万ドル(四十七億三千万円)。

 エルザ弁護人は「大統領とトミー氏は、これまで数回にわたって密談している。金額はそれほど高くはないが、金銭の交渉があったのは確かだ」と語った。

 その後、大統領はトミー氏の恩赦申請を却下するが、その直前の十月三十一日、再びトミー氏や姉のトゥトゥット氏らとリージェント・ホテルで密談したという。

 これらの会談に、大統領の腹心であるイスラム指導者ヌル・イスカンダル氏(国会議員)が出席していたことがわかった。大統領はイスカンダル氏をトミー氏との交渉役に指名している。イスカンダル氏は、トミー氏やトゥトゥット氏らと接触したことを認め「トミーとの会談で金の取引はなかった。弁護士は会談に出席していないから、会談内容を知るはずがない。警察の調べを受けてもよい」と反論している。

 トミー氏側は一連の大統領との密談を録音テープにとっており、「会談内容のテープを公開する」と大統領を脅しながら、潜行しているとの見方もある。

 大統領の疑惑について、アフマッド・スマルゴノ国会議員(月星党会派)は「大統領と被告人が密会したあと、被告人が逃亡した。密談で何が話し合われたのか、国民が疑うのは当然だ。国会は特別委員会を設置すべきだ」と語る。

 大統領の親友でもあるイスラム指導者のヌルホリシュ・マジッド氏も「刑事被告人となった人物に大統領が会うべきではなかった」と語り、恩赦をめぐる大統領の動きを批判した。

 量販店「ゴロ」の不正土地取引で最高裁が下した禁固一年六月と罰金三百六億八千ルピアの判決を受け、トミー氏は十月三日、大統領に恩赦を申請した。大統領は「トミーが最高裁の有罪判決を検討してほしい、と要求してきたが、再審は最高裁の権限なので私の業務ではないと拒否した」と述べている。(2000年11月29日掲載)


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