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大統領、シンガポールを非難

「インドネシアの存在を無視している」
「マレーシアと共同で水の供給止める」
「東ティモールをASEANに入れよ」
「豪と西太平洋フォーラムを結成する」

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の非公式首脳会議に出席したアブドゥルラフマン大統領は二十五日、シンガポール在住のインドネシア人ビジネスマンを集めて開いた会合で、「シンガポールはインドネシアを金もうけのために利用するだけだ。教訓を与えるためにシンガポールへの水の供給を止める」と語った。首脳会議のホスト役を務めたシンガポール政府やリー・クアンユー上級相が「インドネシア軽視」の態度をとったため、怒りを爆発させた形だが、親善交流が目的である会議の直後に、ホスト役を頭ごなしに非難する大統領の傲慢ともいえる外交に、国内外の批判が集まるのは避けられない。

 「ASEANの団結を無視して、首脳会議が経済競争を強調したことに大統領は不満だった」

 大統領の最初の怒りは二十四日、会議の内容をレクしたウィマール・ウィトゥラール報道官によって明らかにされた。

 シンガポールのゴー・チョクトン首相が座長を務めたこの会議で、大統領は通貨危機で広がったASEAN内部の経済格差に触れた。しかし、シンガポールは、近く世界貿易機構(WTO)に加盟する中国など北東アジアの経済大国に熱中、通貨危機で破綻したインドネシアの意見を無視した会議運営に不満を抱いたようだ。

 この時の不満をさらに増幅させ、大統領はインドネシア人ビジネスマンに向かって「シンガポールは中国との関係だけを深めようとしている。ゴー・チョクトンが自己流にやるなら、やればよい。われわれにも考えがある」と語り、ゴー首相を名指しで非難した。

 ボルテージを上げた大統領は、外交アドバイザーのリー・クアンユー上級相にも矛先を向け、「東ティモールとパプアニューギニアをASEANに加盟させたらどうですか、という私の提案を、リー氏は拒否した。金がかかりすぎるというのが理由だった。それでわかった。シンガポールは利益追求だけを考えている国だ」と断言した。

 パプアニューギニアは長年、ASEANのオブザーバーだが、東ティモールをメンバーにするという議論はあまりも唐突。しかも大統領は、これら二カ国を含め外交関係が最悪の豪州やニュージーランドと組んで「西太平洋フォーラム」という新グループを結成するとまで宣言。シンガポールへの当てつけ提案をして見せた。

 「この提案にシンガポールは不満だろうが問題ない。シンガポールが豪州、ニュージーランドと防衛条約を結んだり、米軍と燃料供給協定を結んだりしたとき、彼らはインドネシアへ一言もあいさつしなかった」と八つ当たり気味の発言。

 これだけで収まらず、マハティール首相と会談した際、インドネシアとマレーシアが共同戦線を張り、シンガポールに供給している水をコントロールすると提案したことを明らかにし、「マレーシアは、いまや(シンガポールと対決できる)新しい友人が出来た」とまで言い切った。

 こうした外交上のやりとりとは別に、大統領の講演の中に聞き捨てならない言葉があった。「シンガポール人は基本的にマレー人を軽視している。われわれは存在していないかのように見なされている。リー・クアンユーも、私が間もなく辞任すると見なしているようだ」というもの。

 国内で大統領降ろしの声が強まっており、リー・クアンユー氏と交わしたであろうインドネシア情勢についての議論の中で、リー氏が、大統領の辞任を期待するような発言をしたとすれば、大統領が怒りを爆発させてもおかしくない。その怒りが「水を止めろ。シンガポーリアンは水が飲めなくなる」との脅しの発言を引き起こしたのかもしれない。

 「シンガポールはインドネシアの資源を利用し、インドネシア人が稼いだ金をかき集め、アジアで突出した繁栄を築いた」という平均的インドネシア人のやっかみ感情は、スハルト政権時代にもしばしば見られたように、シンガポールへの極端な傲慢さとなって表れる。

 シンガポールの安全保障の一角をなす水の供給を止めるという大統領の発言は、アジアに居座ろうとした英植民地主義との対決政策(コンフロンタシ)で、スカルノ政権がとったシンガポールへのゲリラ潜行作戦を想起させる外交戦略といえそうだ。(2000年11月27日掲載)

その他の発言要旨

 「国際貿易見本市で、ゴー・チョクトン首相は何度かブルネイ、マレーシア、タイ、シンガポールの名前を挙げてきたが、インドネシアの名前を挙げたことは一度もない」

 「ゴー・チョクトン首相が議長声明としてまとめた『英語使用の重要性を強調』はインドネシアになじまない。シンガポールの提案に従う必要なぞない。必要とあればわれわれはアラブ語を使う」

 「(中継貿易や金融センターの機能を生かして)シンガポールは、他人を利用した金もうけばかりしてきた。千ガロン三シンガポールドルでマレーシアから水を買い、市民には二十シンガポールドルで売りつけてもうけている」

 「マレーシアが水を売ることを拒んだら、シンガポールはインドネシアに水をもらいに来るだろう。われわれはバカにされている。水の供給をしばらく止めてやれば、シンガポール人の飲料水がなくなる。われわれは恐れる必要はない」


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