首都圏広域が冠水 災害緊急事態を発令 5人死亡、被災者9万人に

 14日以降、首都圏一帯を襲った集中豪雨で、17日、ジャカルタ中心部のオフィス街や日本人が住むアパートなど広域が冠水し、交通や送電などが停止、人口約千万人を抱える首都機能はまひ状態に追い込まれた。被災者は9万人、避難者は1万5千人を超え、約60万人が避難した2007年以来、最大の洪水被害となった。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)ジャカルタ特別州知事は、27日まで同州に災害緊急事態を発令すると発表、政府、国軍、警察などが連携し、救助活動に取り組む方針を示した。(配島克彦、堀田実希、小塩航大)

 国家防災庁(BNPB)は17日午前7時、ジャカルタ中心部のチリウン川のマンガライ水門の水位が970センチに達したとして、16日のボゴールに続き、ジャカルタに最高度の洪水警戒レベル「シアガ1」を発令、水門を開放した。同9時に1020センチを記録したが、午後3時には930センチまで低下した。
 14日以降、洪水被害が深刻化していた東ジャカルタ・カンプン・ムラユの住宅地は水位4メートルに達した。
 冠水地域は首都圏の計25郡に拡大し、家屋浸水などの被害を受けた被災者は9万4624人、避難者は1万5447人に上った。家屋浸水の影響で計5人が死亡、うち2人が感電死だった。
 中央ジャカルタの大統領宮殿も30センチほど冠水し、午前中に予定されていたアルゼンチンのフェルナンデス首相とユドヨノ大統領の会談の開始が遅れた。
■目抜き通りは水没
 ジャカルタの目抜き通りのスディルマン通り、タムリン通りは、人の腰まで浸かる箇所が続出。トランスジャカルタのトサリ停留所周辺は、メンテン方面から氾濫した河水が流れ込み、濁流に巻き込まれた車やオートバイが立ち往生した。
 日系のIT企業が多く入居する同通りの中央ジャカルタのインドスルヤ・プラザやUOBプラザでは、午前10時過ぎに停電。インターネットが利用できなくなったため、昼前に業務を停止した企業が多かった。
 インドスルヤ・プラザにオフィスを構えるSMSインドネシア社の木林琢磨COO(最高執行責任者)によると、午前11時ごろ、ビルの前は60センチ程度冠水していたが、徒歩でビルを出て帰宅したという。
 ホテル・インドネシア前ロータリーは午前7時半ごろから冠水し、水位が50センチを超えたため、公共バスなど通行中の車が取り残された。タムリン通りの日本大使館前も30センチほど冠水した。
 スディルマン駅付近のラトゥハルハリでは西運河の堤防が数十メートルにわたって決壊し、線路を支える枕木が数メートル流された。
■邦人アパートも浸水
 邦人が住むアパートの中には浸水したところもあった。西ジャカルタ・グロゴルのアパートメント・グランド・トロピックは、1階の一部が浸水した。
 居住者の高井大樹さんは「アパート裏の道は川のような状態。2001年からここに住んでいるが、浸水したのは今回が初めて」と話した。地下駐車場が浸水し、管理スタッフがポンプなどで水をくみ上げているという。
 バンテン州南タンゲラン市ビンタロのジャカルタ日本人学校(JJS)は、木曜日に行っている部活動を中止し、全校児童・生徒を早帰りさせた。交通事情で数人が欠席した。18日は通常通り授業を行う予定。
■空港高速道は通行可
 バンテン州タンゲランのスカルノハッタ空港の離発着便に影響は出ていない。ジャカルタと空港を結ぶ高速道路は20センチほど冠水した場所もあるが、通行は可能。同日昼の時点で西ジャカルタ・グロゴル付近で水位50センチに達し、徐行運転する車で渋滞が発生した。空港当局は、西ジャカルタのクボン・ジュルックから北ジャカルタ・カプックを経由する高速道を利用し、時間に余裕を持って空港に向かってほしいと呼び掛けている。

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