LRT試験開始 駅舎は名産品モチーフ 南スマトラ州パレンバン市

 南スマトラ州パレンバン市の次世代交通システム(LRT)の車両走行試験が21日夜、始まった。玄関口の空港から8月のアジア大会会場となるジャカバリン・スポーツ・シティ(JSC)までの全長23.4キロを結ぶ高架路線には、ご当地名物の練り物「ペンペ」の形をもしたデザインの全13駅があり、街の新たなアイコンとなりそうだ。

 21日午後9時半ごろに行われた試験は、最大乗員534人の3両編成1本が、南端のOPI駅から1.5キロ離れたデポ(車両基地)を出発。時速約10キロの低速で、同駅から次駅のジャカバリン駅まで走行した。通電がうまくいったかなど車両側のデータを収集し、今後の車両製造に生かす。
 6月中にOPIとジャカバリン、北端の空港駅の計3駅で3両編成を2本使用し、試験を本格化させる。6月末に全13駅を使って試験し、7月15日の開通を目指す。
 車両は、国営鉄道車両製造のインダストリ・クレタ・アピ(インカ)製。工場がある東ジャワ州マディウン市から4月11日に3両編成2本が到着。7月初旬までにもう2本、その後4本が届き、全24両が到着する。
 工事の進ちょく率は全体で89.2%。駅単体では、OPI、ジャカバリン、アンペラ、パレンバン・アイコンの4駅が95%、他は60%を超えた段階。スルタン・マフムッド・バダルディン2世国際空港と空港駅をつなぐ長さ約100メートルのスカイブリッジはほぼ完成。開通時には、特産品などのテナントが並ぶ予定。
 駅の外観は、魚のすり身とサゴヤシの粉末を団子にしたパレンバン名物「ペンペ」から着想。潜水艦のような形の「ペンペ・カパル・スラム」をモチーフにした。
 各駅への地上からのアクセスは、建設中の階段とエレベーター1機から。2階建ての構内には売店を設置し、階段とエスカレーター2機、エレベーター1機でホームに上がる。視覚的に駅を覚えてもらうよう、各駅ごとに天井の屋根の骨組みの色を変えた。
 2015年10月に国営建設ワスキタ・カルヤが着工。建設費は政府が負担し、総額10兆9千億ルピア。運営は国鉄(KAI)が担う。
 建設事業を担当するスラント・プロジェクトマネジャーは「当初は7月26日を開通予定日にしていたが計画が早まった」と明かす。
 17年8月に高架工事現場で、橋桁の設置作業中にクレーンが支えきれずに転倒、その3日後には作業員が身につけていたワイヤーが外れ転落死する事故があってからは、安全第一にいっそう努めてきた。
 高架下では緑地化が進む。今後州や市の公共事業局が駐車場を設置する計画だ。スラント氏は「車やオートバイから乗り換える人が増えてほしい」と述べ、30%の人が乗り換えれば中心部の混雑が軽減すると予測した。
 運賃は空港駅から次駅のアスラマ・ハジ駅までが1万ルピア、3〜8駅目まで1万5千ルピア、南端のOPI駅までは2万ルピアになる見込み。
 北ジャカルタ区クラパガディン〜ラワマングンの自転車競技場フェロドローム間で建設が進むLRTジャカルタは、進ちょく率は約70%。アジア大会で使用されるかは未定で、使用されない場合はバスなどを用意する。(中島昭浩)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly