台湾籍8被告に死刑 覚せい剤1トン密輸で 地裁判決

 バンテン州アニェル海岸で2017年7月、覚せい剤1トンが密輸、押収された事件で、南ジャカルタ地裁は26日、麻薬取締法違反などの罪に問われた台湾籍の男性8被告全員に、求刑通り死刑判決を言い渡した。被告側は控訴を検討する。地元メディアが伝えた。

 被告側は公判中、「(同海岸へ運んだ)袋の中身を覚せい剤だったとは知らなかった」などと刑減軽を求めたが、同地裁判決は「犯罪を正当化する、いかなる事由も見当たらない。麻薬と戦うインドネシア政府の政策にも反する」と退けた。
 同事件以降、インドネシア沿岸では1トンを超える覚せい剤密輸摘発が少なくとも2件相次ぎ、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)現政権は麻薬取り締まりのさらなる強化に乗り出した。外国人被告8人全員に極刑を言い渡した今回の判決は、薬物犯罪に厳罰で臨む現政権の姿勢を国内外にアピールする効果がある。
 地裁判決によると、8被告は17年7月中旬、シエラレオネ船籍の小型船を使って、袋入りの覚せい剤約1トンを、バンテン州セラン県アニェル海岸に密輸した。
 うち5被告は小型船の乗組員で、年齢は37〜42歳。同6月中旬に台湾・高雄市を出航し、ミャンマー南方沖で別の船から積み込んだ覚せい剤を同海岸まで運んだ。
 残り3被告は22歳2人と37歳1人。6月上旬、インドネシアに入国し、バンテン州タンゲラン市内に覚せい剤保管場所の民家を確保。同海岸に陸揚げされた覚せい剤を車で移送する役割だった。
 8被告は同4〜5月に雇われ、1人当たり1カ月2千万ルピアを受け取っていた。4億ルピアの成功報酬が約束されていたことも分かっているが、「雇用主」を含む背後関係や覚せい剤の製造・入手先、インドネシア国内での密売ルートなどは現在も未発表。
 麻薬取締法によると、5グラムを超える覚せい剤などの組織的密輸、密売で有罪が確定した場合、最高で死刑が科せられる。
 ジョコウィ現政権下では15年、同法違反罪などで死刑が確定した14人(うち外国人12人)、16年には4人(同3人)がそれぞれ処刑された。(坂田優菜)

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