漁村に仮設住宅完成 強制撤去から2年 北ジャカルタ区 アクアリウム村

 北ジャカルタ区の漁村に仮設住宅3ブロックがこのほど完成した。2016年に強制撤去された住民を擁護したアニス・バスウェダン・ジャカルタ特別州知事が選挙公約を実現した形だが、国内外の観光客も訪れる同地区の再開発の青写真はまだ見えない。

 漁村は「アクアリウム村」と呼ばれ、プンジャリンガン郡パサールイカン地区の密集地にある。アホック元知事が16年4月、不法占拠だとして住居を強制撤去した。跡地では、海洋博物館など隣接するオランダ統治時代の建造物を生かした観光開発を進める計画だったが、住民の帰還支援を訴えたアニス氏が就任し、開発計画はとん挫。撤去後も同地区でテント生活を続けてきた住民のために、就任直後から仮設住宅の建設を進めてきた。
 建設事業は、州営建設プンバングナン・ジャヤが請け負い、建設費は同社が企業の社会的責任(CSR)の枠組みで約30億ルピアを拠出。3月末に3ブロック90ユニットが完成した。アニス氏はこのほど開かれた住宅受け渡しの式典に出席し、苦境に耐えてきた住民をたたえた。

■集合住宅建設案も

 1ユニットの広さは3.5×6メートル。台所はなく、屋外で自ら調達したコンロなどで調理する。電気・水道代は入居者が負担。男女8人ずつ計16人が利用できるトイレや水浴び場は3カ所に設置された。
 入居したのは同地区の住民登録証(KTP)を持つ世帯。基本は1世帯1ユニットだが、家族が5人以上いる3世帯はそれぞれ2ユニットを使用し、85世帯が計88ユニットに入居した。残りは健康診断や教育などで使用する公共の場となった。住民代表のダルマ・ディアニさん(41)は「テント暮らしよりも人道的な環境になった。賃貸ではなく、無償で提供された」と話す。
 州住宅局によると、すでに北ジャカルタ区マルンダや東ジャカルタ区ラワベベックの州営集合住宅に転出した家族もいる。また転居届などの問題で、仮設住宅の脇でテント生活を続ける住民もいる。
 イラン・バスティアン居住地区計画課長によれば、21年までに同地区に6階建ての州営集合住宅を建設し、全85世帯を収容する予定。
 しかし、「周辺にある歴史的な施設とともに、どう整備していくかを協議している段階」で、海洋博物館やスンダクラパ港など、同地区と隣接する観光地の新たな再開発計画は未定という。(中島昭浩、写真も)

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