【トップに聞く 自動車販売】 期待超えるサービスを TAM 中田佳宏社長

 インドネシアの製造業をけん引する自動車メーカーのトップに、見通しや話題の電気自動車(EV)の展開を聞く。3回目は、販売台数国内1位、シェア3割を超えるトヨタ・アストラ・モーター(TAM)の中田佳宏社長(50)。「顧客に寄り添い、期待を超えるサービスを目指す」と語った。

 ――2017年を振り返って。
 中田社長 2017年の国内自動車市場は縮小、特に乗用車市場が停滞した。年初に金融庁(OJK)のファイナンシャル会社への規制強化があり、トヨタも、エントリーモデルのセグメントといわれる低価格帯は影響を受けた。16年はシエンタや低価格グリーンカー(LCGC)の多目的車(MPV)カリヤなどボリュームセラーの新型を投入、シェアを拡大してきた。しかし、17年は新モデルの少ない谷間の年で、LCGCは販売を拡大させたものの、シェアをレクサス込みで36.1%から34.7%に落とした。一方、資源関連需要やインフラ整備事業が拡大する中で、商用車市場は全体的に伸びた。トヨタもハイラックスやダイナなど商用車は前年比9%伸ばした。ただ、インドネシアでの我々の商用車比率は全体の2割で、8割を占める乗用車分野は3%程度落としている。
 ――ことしの見通しは。
 市場が大きくジャンプ・アップすることはないだろう。第1四半期が終わったところだが微増とみている。特に政治の季節到来にあわせ、先行きを見据えようと買い控えにつながる可能性もあるのでは。ことしは経済成長率などマクロ指標は順調に推移するが、マーケットが拡大するとは楽観視していない。市場には、競合社の素晴らしい車も入り、厳しい競争になっていくと予想する。
 ――戦略、取り組みは。
 残念ながら、センセーショナルな戦略ではない。トヨタの顧客に、引き続きトヨタを選んでもらうことを地道にやっていく。長いお付き合いに向けた顧客ケアに力を入れ、顧客の期待に沿うだけではなく、期待を超えるサービスを提供する。トヨタがインドネシアの地で培ってきた顧客との関係を改善、より進化させていきたい。もちろん、新型ラッシュを主軸に、新モデルを投入するなど攻めの戦略もある。期待は裏切らない。
 ――電動車(EV)のインドネシア展開について。
 インドネシア政府の進める環境への貢献、広い意味での電動化政策に、トヨタも精一杯貢献していく。しかし、インフラ状況や火力発電に頼る電力供給の状況など、今この国の置かれた環境、利用者視点のニーズを考えると、一足飛びにバッテリーEVへの移行は難しく、時間がかかると考えている。しかし、25年に20%をEVに変えるという政府方針に沿って、トヨタグループの持つ知見を積極的に紹介、アプローチしていきたい。トヨタは、インドネシアの自動車産業に貢献することを目的とし、今までは内燃機関(エンジン)を使った車を製造してきた。我々はそこへの影響を慎重に考えながら、インドネシアの発展に向けて、将来的にEV技術をどう紹介していくのか、中長期的視点で考えていきたい。(太田勉、写真も)

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